11 事実の重みは

文字数 7,590文字

 夕陽に(さら)される荒野を操舵室からじっと睨んで、まるで我が子の帰りを待つ夫婦のようにやきもきながら、マノンとグリューはわけもなく立ったり座ったり中身のない短い言葉を交わしたりしていました。
 闇の気配がじりじりと地表を侵食しはじめたその時、地平線の向こうから砂塵を巻き上げて直進してくるバイクの姿を見つけるやいなや、二人はすぐさま階段を駆け降りて船外へ飛び出しました。
 こちらに手を振っている少女たちが無事であることを確認すると、二人はほっとして顔を見あわせ、笑顔で彼女たちを出迎えました――が、帰ってきた三人の表情がやけにこわばっていることに気づくと、たちまちその笑みはしぼんでしまいました。
 バイクを降りたミシスたちは、町で遭遇した出来事について報告しました。
 三人がお腹をすかせて帰ってくるだろうと早めにグリューが用意しておいてくれた夕食を、今夜はどうも外が落ち着かないということで、操舵室のなかで取ることにしました。
 それぞれに着替えや荷物の整理を済ませてテーブルを囲んだ一同は、日々恒例の〈大聖堂〉の印を結び、お祈りの言葉を唱えると、浮かない表情を払拭しきれないまま食事を始めました。
 いつもは甲板上に組まれるテーブルが、今は操舵室内の絨毯の上に置かれています。ソファにミシスとノエリィが並んで座り、マノンは操縦席の一つに、グリューは折り畳み式の椅子に座っています。レスコーリアは卓上のクッションに腰かけて足を伸ばし、触角をくねくねと揺らしながら、小さく切ったゆで卵を頬ばっています。
「もう一度だけ訊くよ」食べる気もなさそうにフォークでスパゲティをくるくると巻きながら、マノンが問いかけます。「たしかに、あのキャラウェイ姉妹だったんだね?」
「まちがいありません」ミシスがはっきりとこえたます。「わたしたち、あの人たちを見るのはこれで三度目なんです。最初はタヒナータの町のレストランでたまたま隣席した時、二度目はあの独立宣言の日の丘で、そして三度目が、今日の午後の本屋。他人の空似なんかじゃ、絶対にありません」
「わかった」マノンが厳しい顔でうなずきます。「いやはや、厄介なことになったね。まさかゼーバルトの側近級の兵士たちが、こんな目と鼻の先まで来ていたとは。それも、あの因縁の二人が……」
「自分らでおれたちの追撃に名乗り出たのか、それとも敗走の(せき)を負わされてのことなのか、詳しい事情は知る由もないが……」グリューがバゲットを切り分けながらぶつぶつと言います。「なんにせよ、気の滅入る状況だ。武力と実行力を持ったやつの行動の動機に私怨(しえん)も加わったとなると、これほど面倒な相手はいない」
 ミシスは小さくため息をついて、顔を伏せました。
 ノエリィがミシスの膝にそっと手を置きました。マノンとグリューも、少々遠慮がちに、ミシスの表情をのぞき込みます。
「……ミシス、きみが責任を感じる必要はないよ」静かにマノンが語りかけます。「あれは仕方のないことだった」
「そうだぜ」グリューがうなずきます。「きみが戦ってくれなければ、おれたちも連中も、今こうして生きていることはなかったんだ。きみはむしろ、全員の命の恩人なんだよ」
「……でも」こうべを垂れたまま、ミシスは消え入りそうな声でつぶやきます。「でも、頭ではそのことを理解できても、わたしが(ふる)った力で一人の女の人の人生をめちゃくちゃにしてしまったという事実の重みは、消えてくれないの」
 彼女を囲む一同は言葉を失いました。
 長い沈黙が続いた後、レスコーリアが一つ大きな咳払いをして、手についた食べかすをぱしぱしとはたき落としました。そして有無を言わせない調子で、口火を切りました。
「さて、いいかしら。とりあえず、今あたしたちが直面している問題を整理するわね」
 人間たちは一斉に顔を上げます。
「その一」言いながらレスコーリアは指を立てます。「このままここに身を隠し続けるべきか。それとも場所を変えるべきか。その二。ここに居続けるとしたら、バイクで移動する危険性が跳ね上がってしまったわけだけど、これからの補給はどうやっていくのか」
 グラスの水を一気にあおって、グリューが口を開きます。「ここを出てどこか他所(よそ)へ行っちまいたいってのがおれの本音だ。だが、熟考すればするほど、安易にこの場所を離れるのは得策とは言えないような気がしてくる」
「なんか……その気持ち、わかる」ノエリィが重々しくうなずきます。
「うん。おれたち、この場所を見つけるのすごく苦労したろ。これだけ隠れやすそうな環境でだって、そうだったんだ。もし知らない場所へなんのあてもなく移って、結局ここみたいな隠れ家が見つからなかったら、それこそただの骨折り損だ。土地勘のない場所をうろつくのは、それだけで危なっかしいってのに」
「それに、天候の問題だってある」マノンが続きます。「仮に別の土地で潜伏に適した場所が見つかったとしても、そこがこの地方みたいに晴天が続くとは限らない。みんなも知ってのとおり、太陽から放射されるイーノの安定供給が確保できなければ、この船の切り札である光学迷彩機能だって使い物にならない」
「丸裸の状態の時に誰かの目に留まることも、可能性としてはじゅうぶんありえるわけですね」ミシスが眉根を寄せます。
 レスコーリアが指を一本折ります。「問題その一の結論。いささか消極的な決断ではあるけれど、今のところはここに留まる。では次、その二」
 ノエリィが挙手します。「バイクの正確な型式とかまでは知られてないのなら、グリューに代わってわたしが買い出しに行けば大丈夫なんじゃないかと思います」
「それも一つの手かもしれん。しかしおれは、もうそれさえ危険だと感じるよ」グリューが首を振ります。
「わたしも」ミシスが同意します。「今日、町を見ていて思ったの。あんな大きなめずらしいバイクに乗ってるわたしたちと同年代の子って、ただの一人も見かけなかった。いくら駐車する場所に気をつけたって、町のまわりで少し誰かの目に留まっただけでも、すごく目立つんじゃないかな」
「そう……かなぁ」ちょっと悔しそうに、けれど納得せざるをえないように、ノエリィがしょんぼりと肩を落としました。
「やっぱりまたおれが行くよ」グリューが言います。「今度からはおれも変装して行く。バイクの色も別の色に塗装し直す」
「どうだかねぇ」マノンが脚を組んでため息をつきます。「これからますます厳しくなることまちがいなしの捜索の目を、その程度の偽装工作でかいくぐれるかな」
「で、結論は?」レスコーリアが平静に問いかけます。
「実を言うとね」手もとの皿をぼんやりと見おろして、マノンが言います。「生活物資の補充だけでなく、飛空船やリディアの整備もそろそろちゃんとやらなきゃいけない頃合だ。整備に関しては専門家じゃない僕や助手君の手だけだと、そのうちぼろが出るのは時間の問題だよ。これについては、明朝の定期連絡時にレーヴェンイェルム将軍に相談してみる」
 レスコーリアがうなずき、二本目の指を折ります。「補給関連は明日上司に相談」そして一同の顔を見まわします。「他、なにか異議は?」
 全員、首を振ります。
「……なんだか結局、今までどおり、どうしようもないって感じだね」
 ノエリィが空元気を振り絞って苦笑しました。


 食後のコーヒーが並べられる頃には、外はもうすっかり暗くなっていました。那由多の星々がまたたく夜空に、今夜は見事な満月も参加して、乾いた大地に無垢の光を注いでいます。
 ソファに座ったまま長いこと月を見あげていたミシスは、胸中で一人静かに意を決して、二人の科学者にたずねました。
「カセドラって、いったいなんなのですか」
 誰もがぴたりと体の動きを止めて、問いを発した少女に目を向けました。
「なんだい、急に」マノンが困惑の微笑を浮かべます。
 けれどミシスはにこりともしません。その決然とした面持ちの浮かぶ頬に、月光が白く反射しています。
 少女はさらに続けます。
「カセドラって、いつからこの世界にあるんでしょうか」
 コーヒーカップを手にして椅子に腰かけたグリューが、あっさりとした口ぶりで応じます。「教科書や本で読まなかったのか」
「もちろん読んだよ」ミシスはうなずきます。「〈顕導力学(けんどうりきがく)〉の興りと共におよそ三十年前から開発が始められた、っていうのはどの本にも書いてあった。でも、教科書なんかだと、書かれてるのはそれくらい」
「まぁ、そういうことだよ」足もとの絨毯の模様を目でなぞりながら、グリューがコーヒーをすすります。
「それで、もっと詳しく科学の歴史が書かれてる本を探して読んでみると、最初期にカセドラ開発に関わった科学者や開発者たちの功績なんかが解説されているくらいで、史実について書かれた内容は他の本とあんまり変わらなかった。……わたし、よくわからないの」
「わからないって、なにが?」青年はカップに唇をつけたまま首をかしげます。

? いったいどこから、そんな途方もない着想を得たんだろう。そのへんの事情が、どんな本にも書かれていないの」
 投げかけられた素朴な――しかし考えようによっては至極まともな――疑問を受けて、科学者の二人は揃って口を閉ざします。レスコーリアはテーブルの端に座って脚をぶらぶらさせながら、密かにミシスの瞳をのぞき込んでいます。
「カセドラ開発当初の記録は、当時の紛争や政権内のごたごたで大部分が紛失したと聞いてる」マノンが淡々と語ります。「それに残存した記録のなかには、とんでもない誤表記や意図的な改変の跡が少なくないらしい。現在の科学的見地からすれば信用ならない部分が多すぎる、っていうのが僕らの業界の通説だ」
「そう」グリューがうなずきます。「それにおれたち、いくら中央の所属とはいえ、一応まだ年少組みたいなもんだからね。何十年も昔の実情がどうだったかなんて、古参の人らから話に伝え聞く程度なんだ」
 代わるがわる話す二人の目を、ミシスはまっすぐ見据えました。その隣に座るノエリィの視線も、自然とそれに追随しました。
 ゆっくりと息を整えて、甘いミルクコーヒーを一口ぶん音を立てずに飲み込むと、ミシスはカップをテーブルに置いて背筋を伸ばしました。
「〈リディア〉の操縦者としての責任を背負って生きていくということは、以前みんなの前で宣言しました。今もこれからも、その決意に揺らぎはないつもりです。……でもわたし、正直に言うと、それは、いざという時が来たらリディアの力でみんなや自分の身を守っていきさえすればいいことなんだって、どこか短絡的に考えているところがありました。だけど、本当は、それだけじゃぜんぜん覚悟が足りてなかったんです。それが今日、はっきりしました。わたし、わかったんです」
 ノエリィが振り向いて、ミシスの横顔にじっと見入りました。
「誰かやなにかを守るということは」ミシスはかすかに喉を震わせます。「別の誰かやなにかを、時には激しく傷つけてしまうことにもなるんだってことが」
 マノンとグリューは同時に居ずまいを正しました。まるで誰かに背中を叩かれでもしたかのように。
「だからわたし、もっと知っておきたいんです」ミシスはじわりと両目を見開きます。「カセドラのこと。リディアのこと。そしてリディアだけが持っている、不思議な力のこと」
 しばしの静寂の後、グリューが額にかかる前髪をかき上げてなにか言葉を発しようとしました。
 けれどそれより少し先に、マノンが口を開きました。
「ミシス」
「はい」
「いくつも奇妙な出来事が重なって、こうして僕らはおなじ部隊に所属することになったわけだけど、僕は正直、きみとノエリィのことを、軍に関わる人間だなんてまったく思ってない。というか、思えないし、思いたくない。僕はさ、軍に籍を置いてけっこう長いけど、中身はやっぱり今でもただの研究者で、本当の軍人にはなりきれないんだ。きっと、甘いのさ。だから、これからもずっと、きみたちのことを軍属だなんて割り切って考えることはできないと思う。でもね、一方では、きみたちがそれぞれに覚悟と信念を持ってこの場に一緒にいてくれていることに、僕は心から感謝と敬意を抱いてる」
 グリューもまた大きくうなずき、その言葉に同意を示します。
「その決意はとても立派なものだ」マノンは続けます。「でも、この事態がすっかり終息して、きみたちが本来あるべき生活に戻る時に、余計な荷物を抱えたまま行ってほしくないんだ。できるだけ身軽に、なんの(かせ)もなく家に帰ってもらいたいんだよ」
「……やっぱり、リディアのこと、なにもかもお話ししていただくわけにはいかないんですね」ミシスは表情を変えずに問います。
「すまない。本来ならきみたちのような民間人には一生(えん)がないたぐいの機密情報が、リディアの開発計画にはいくつも含まれている。情報というのは、時に鉄より重く、時に宝石より価値があるものだ。重すぎるものや高価すぎるものは、ある場合には人生を大きく狂わせてしまいかねない。要するに、なるべくなら首を突っ込まず、深入りしないでいた方がいい領域も、この世にはあるってことさ。……それにさ、実を言うと、現場で開発に関わった僕らにしたって、最上層の連中からの命令に従って忠実に任務に取り組んだだけで、開発計画の内情をなにもかも把握できてるわけじゃないんだ。ちょっと――いや、かなり――情けない話ではあるけどさ」
 そう語る彼女のやりきれない表情を横目に見やり、グリューが深々とため息をつきました。そして少女たちに向かって、気の抜けたような苦笑を見せます。
「そう、中央の開発班にしたって、そんな扱いなんだぜ。こうして外から冷静に眺めてみて、改めて気づかされた。複雑怪奇な規律と秘密主義に支配された、まったくもって異常な世界だよ、あそこは」
「……あの」唐突にノエリィが口を開きました。「今わたし、なんだか急に、前にマノンさんたちとレーヴェンイェルム将軍が伝話でお話ししてるのを聴いちゃった時のこと、思いだしたんですけど……」
 まるでずっと前に見た夢の内容を回想するような口調で、少女は慎重に言葉を探ります。
「たしか、発顕躯体(はっけんくたい)の〈青写真(あおじゃしん)〉はグリューが見つけて回収した……とかって、言ってませんでしたか」
 少女が言い終わらないうちに、科学者の二人の顔色がわずかに変化しました。
「聞きまちがいじゃ――」ノエリィが追及を続け、
「――ないよ」ミシスが後を継ぎます。「わたしも、たしかに将軍がそう言うのを聴いた」
 マノンとグリューは一瞬だけ顔を見あわせました。そしてすぐさま青年が息を吸って、発言する素振りを見せます。しかしまたもや、マノンが先立ちます。
「そうだよ。リディアの大元の設計図、つまり〈青写真〉は、助手くんが数カ月前に率いていた調査小隊が、任務遂行中に偶然発見したんだ。そしてその後すぐに国家最上層の組織の手に渡り、そこで管理、解読され、まもなく極秘裏に発顕躯体の第一号実験体〈リディア〉の開発計画が始動した。飛空船の開発を終えて次の任務に取り掛かる準備をしていた僕らは、急遽その計画の開発要員として抜擢されることになった……」
「第一号?」ミシスは(いぶか)しげに首をひねります。「ということは、リディア以外にも、顕術を使えるカセドラを造る計画があるってことですか?」
 マノンが首を振ります。「僕もおなじことを将軍に訊いたよ。でも、一号っていうのはただの慣例的な表現で、今のところ二体めの発顕躯体を建造する計画は、最上層の連中も持たないみたいだ」
「そうですか……」
 レスコーリアがアトマ族用の小さなカップに入ったコーヒーに蜂蜜を注ぎ入れ、スプーンで丁寧にかき混ぜはじめました。しばらくのあいだ、そのかちゃかちゃという小気味の良い音だけが、数本の燭台と月明かりに照らされる操舵室に響きます。
「――あれっ、ちょっと待って」ノエリィが再び出し抜けに声を上げました。そして眼鏡をぐいと押し上げ、身を乗り出して青年に詰め寄ります。「最初にミシスを見つけたのもグリューだったんだよね。どこかの砂漠で一人ぼっちで倒れていたミシスを……」
 雷に打たれたように、ミシスがその身を震わせます。「そう、そうだった。わたしを見つけてくれたのは、グリューが率いてた王国軍の地質調査隊だって、前に話してくれたよね。……どうして今まで考えつかなかったんだろう? ねえ、もしかして、そのリディアの設計図を見つけたのとおなじ場所で、わたしのことも見つけたの?」
「ちがうちがう」青年は強く手を振ります。「それはまったくちがう。きみが倒れてた場所とリディアの青写真を発見した場所のあいだには、だいぶ距離があった。順番で言うと、まず青写真を見つけて、それからその二日後、任務を終えて王都へ帰還する途上で、きみを保護したんだ」
「……そっか」思わずミシスはソファにへたり込みました。
 隣でノエリィもばったりと背中を倒します。「ふ~……。なんでかわかんないけど、一瞬ぞっとしちゃった」
「うん、わたしも。気味がわるかった……」
 少女たちはカップを手に取り、それぞれ自分好みの味に仕立てたコーヒーで一息つきました。
「それにしても大変なんだねぇ。研究とか開発だけじゃなくて、地質調査なんてことにまで駆り出されるなんて」青年の痩せた頬を眺めながら、ミシスが労うように言いました。
「まあね。おれだって――」
「あっ!」
 青年が肩をすくめたその瞬間、レスコーリアが弾かれるように宙へ飛び上がりました。
「どうした」テーブルに叩きつけるようにカップを置いて、グリューが立ち上がりました。その拍子にカップのなかの黒い液体が何滴か、赤い絨毯にこぼれ落ちます。
「敵かい?」マノンもまた素早く腰を浮かせます。
「すぐに船の色を変えて!」レスコーリアが指示を発します。
 即座にマノンが応じます。
 直後、操舵室の外に広がっていた赤紫の甲板が、周囲の岩壁とおなじ色に変化しはじめます。
「どこから?」ミシスは無意識のうちにノエリィの手を握りしめます。
「まっすぐ北の方向。かなり高いところ」レスコーリアは額の触角を棘のように突き立てます。「ここから見えるかも」
 グリューが燭台の火を吹き消すと、全員一斉に操縦席の方へ駆け寄り、正面に望む崖の狭間の夜空を見あげます。
 天上を埋め尽くす星々のなかに、ただ一つだけ、奇妙な動きを見せる星があります。レスコーリアが空へ向かって手を差し伸ばし、それにぴたりと指先の照準を合わせます。月明かりを映して時折りきらりと光るそれは、飛空船〈バディネリ〉にちがいありません。
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登場人物紹介

◆ミシス・エーレンガート


≫主人公。エーレンガート家に家族の一員として迎え入れられ幸福な日々を過ごしていたが、思わぬ形でコランダム独立の騒乱に巻き込まれ、ノエリィと共に丘の家から旅立つことになった。

◆ノエリィ・エーレンガート


≫ミシスの親友であり家族でもある心優しい少女。望まぬ形で軍に連行されるミシスを独りにさせまいと、ほとんど押しかけるようにして〈特務小隊〉の一員となる。

◆マノン・ディーダラス


≫本職は科学者であり発明家だが、カセドラ〈リディア〉を守護するため急造された部隊〈特務小隊〉の隊長を務めることになった。同隊が移動式拠点として利用する飛空船〈レジュイサンス〉も、彼女の発明の賜物。

◆グリュー・ケアリ


≫マノンの腹心の助手。彼女に付き従い、ホルンフェルス王国軍極秘部隊〈特務小隊〉に所属する。飛空船での暮らしにおいては、もっぱら料理係と操縦士の役割を務めている。

◆レスコーリア


≫マノンたちに同行するがまま、〈特務小隊〉に加わることになったアトマ族の少女。相変わらず自分流に気ままな日々を過ごしながらも、密かに隊の皆を見守っている。

◆クラリッサ・シュナーベル


≫世界最強の顕術士一族として知られるシュナーベル家の長女。優れた顕術士ばかりで構成される王国騎士団〈浄き掌〉の副団長を務める。グリューとは許婚どうしで、マノンやレスコーリアとも旧知の仲。

◆ゼーバルト・クラナッハ


≫新生コランダム軍を率いる将軍。統一王国からの離脱と祖国独立の宣言を発し、全世界に対し戦後最大級の衝撃を与えた。

◆ライカ・キャラウェイ


≫新生コランダム軍に所属する軍人。エーレンガートの丘での失態の後、妹のレンカと共に小部隊を率いてミシス一行を追撃する。

◆レンカ・キャラウェイ


≫エーレンガートの丘で勃発したカセドラどうしの戦闘によって重傷を負い、その後しばらくのあいだ治療に専念していた。

◆ヤッシャ・レーヴェンイェルム


≫国王トーメ・ホルンフェルスの名代として、マノン一行に〈特務小隊〉としての任務を与えた。以後さまざまな手段を用いて、先の見えない困難な日々を送る同小隊を遠く王都より支援する。

◆ハスキル・エーレンガート


≫愛する娘たちと離ればなれになり、我が子同然の学院校舎が損傷してもなお、決して希望を失うことなく毎日を前向きに生きている。

◆ピレシュ・ペパーズ


≫幼少時より人知れず抱えていたカセドラ恐怖症の劇的な発作により、長期に渡って入院生活を送っていた。恩師ハスキルに護られながら、徐々に回復へと向かう。

◆ドノヴァン・ベーム


≫十年ほど前に王都から忽然と姿を消した、伝説的な大科学者。レーヴェンイェルム将軍の幼馴染みにして、マノンの恩師。現在の彼の動向を知る者は極めて少ない。

◆プルーデンス


≫ベーム博士と共に暮らすアトマ族の少女。博士とおなじくアルバンベルク王国の出身。幼い頃から過酷な環境を生き抜いてきたためか、非常に気立てと面倒見が良い。

◆〈リディア〉


≫ホルンフェルス王国軍が極秘裏に開発していた最新型のカセドラ。本来ならカセドラが備えるはずのない、ある極めて特異な能力をその身に宿している。操縦者はミシス・エーレンガート。

◆〈フィデリオ〉


≫コランダム軍が新たに開発した特専型カセドラ。操縦者はライカ・キャラウェイ。

◆〈コリオラン〉


≫フィデリオと同一の鋳型を基に建造された姉妹機だったが、リディアとの交戦の末に大破した。かつての操縦者はレンカ・キャラウェイ。

◆〈□□□□□〉


≫???

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