114話 鷹狩
文字数 281文字
仁和の帝(光孝天皇)が、芹川においでになった。
今はもう、そんな役は似合わないが、
昔やっていた関係で、
男を、鷹狩の使いとして、お供させた。
男は、
色柄の狩りの服に、こう書きつけた。
年かさの私を 悪く言うな
この狩りの衣も 今日限り
狩られる鶴も 今日までの命と 鳴いている
この歌は、帝の受けは悪かった。
男は、自分の年のことを詠んだのだが、
もう若くなかった帝は、自分のことかと思ったらしい。
*
翁さび 人な 咎めそ
狩衣
今日ばかりとぞ 鶴も 鳴くなる
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