第9話 テロリストの人質となる前鬼
文字数 1,390文字
(9)テロリストの人質となる前鬼
テレビは臨時ニュースを放送している。ピーチ・ボーイズが現れたA地区の様子が映し出されている。
ピーチ・ボーイズはテロ行為を行った逃走中、人質を取ってビルに立て籠っているようだ。
武たちがテレビを見ると、ニュースキャスターがピーチ・ボーイズについて説明している。
ピーチ・ボーイズのリーダーはダグラス・ピーチ。
シリアルキラーとしてこの惑星で有名なマイケル・ピーチの孫だ。
ピーチ・ボーイズは祖父の日誌でゲートの存在を知ったダグラスが設立したテロ組織だ。
ダグラスは地球で猟奇殺人サークルのメンバーを集め、この惑星に連れてきたらしい。
ダグラスがこの惑星に目を付けたのは、地球外で殺人を犯しても地球では罪に問われないからだ。
ピーチ・ボーイズは『宇宙人狩り』と称してこの惑星で殺人を繰り返している。
一般的なテロ組織は、民族解放、独立運動、宗教解釈を武力で解決するために組織される。
しかし、ピーチ・ボーイズは一般的なテロリストとは異なり、明確な活動目的がある訳ではない。
目的があるとすれば、殺人衝動の正当化くらいだ。
結局のところ、シリアルキラーの子孫はシリアルキラーだった。
ダグラス・ピーチは祖父と同じことをこの惑星でしようとしている。
― 無差別殺人を正当化するための鬼ヶ島伝説・・・
武は地球人としてピーチ・ボーイズの活動を恥ずかしく思った。
映像を見る限り、警察官はテロリストを包囲して応戦している。
だが、人質がいるため不用意に突入することもできない。人質に当たる可能性があるから、警察官は銃器で射撃することも躊躇っているようだ。
一方、テロリストは一般人を狙ってサブマシンガンで射撃を繰り返している。
武がテレビ中継を見ていたら、テロリストに銃口を向けられて立っている男が映し出された。その男が人質のようだ。
武はテレビに映った人質を見て、お菊さんに話しかけた。
「あの人、おじさんじゃない?」
お菊さんは目を凝らしてテレビ画面を見た。
「え? 本当だ。あれ前鬼だわ。どうして人質に?」
テレビのキャスターは「勇敢な兵士が一般人と人質を代わったようです」と状況を説明した。
「身代わりになったのかー。おじさん勇気あるね。偉いよ」武は嬉しそうに言った。
「勇気はあるんだけど、人質になるのは危険だよ・・・」
「おじさんを助けてあげられないかな? 僕としては地球人がこの惑星の人たちに迷惑掛けているのが申し訳ないんだ。それに、分子の合成ができるようになったから、僕も戦力になると思うよ」
「え? あそこに乗り込むの? さすがに危ないわよ。ピーチ・ボーイズを警察が包囲しているんだし、警察に任せた方がいいんじゃない?」
お菊さんは武のボディーガードをしている。
護衛対象の武が自分から危険に飛び込むのは、お菊さんとしては避けたいところだ。
「でも、おじさんのことが心配だし、近くまで行ってみようよ」と武はお菊さんに頼んだ。
お菊さんは返答に困っている。
ピーチ・ボーイズが占拠しているビルに入らなければ危険はないだろう。
それに、もしピーチ・ボーイズが銃撃してきても、銃弾を弾き返すくらいはできる。
「遠くから見るだけだったらいいわよ。でも約束して。絶対に危ないことをしないって・・・」お菊さんは武に言った。
「分かったよ・・・」
武はしぶしぶ言ったが、テンションは上がっていく。
― やった! 試し打ちができる!
テレビは臨時ニュースを放送している。ピーチ・ボーイズが現れたA地区の様子が映し出されている。
ピーチ・ボーイズはテロ行為を行った逃走中、人質を取ってビルに立て籠っているようだ。
武たちがテレビを見ると、ニュースキャスターがピーチ・ボーイズについて説明している。
ピーチ・ボーイズのリーダーはダグラス・ピーチ。
シリアルキラーとしてこの惑星で有名なマイケル・ピーチの孫だ。
ピーチ・ボーイズは祖父の日誌でゲートの存在を知ったダグラスが設立したテロ組織だ。
ダグラスは地球で猟奇殺人サークルのメンバーを集め、この惑星に連れてきたらしい。
ダグラスがこの惑星に目を付けたのは、地球外で殺人を犯しても地球では罪に問われないからだ。
ピーチ・ボーイズは『宇宙人狩り』と称してこの惑星で殺人を繰り返している。
一般的なテロ組織は、民族解放、独立運動、宗教解釈を武力で解決するために組織される。
しかし、ピーチ・ボーイズは一般的なテロリストとは異なり、明確な活動目的がある訳ではない。
目的があるとすれば、殺人衝動の正当化くらいだ。
結局のところ、シリアルキラーの子孫はシリアルキラーだった。
ダグラス・ピーチは祖父と同じことをこの惑星でしようとしている。
― 無差別殺人を正当化するための鬼ヶ島伝説・・・
武は地球人としてピーチ・ボーイズの活動を恥ずかしく思った。
映像を見る限り、警察官はテロリストを包囲して応戦している。
だが、人質がいるため不用意に突入することもできない。人質に当たる可能性があるから、警察官は銃器で射撃することも躊躇っているようだ。
一方、テロリストは一般人を狙ってサブマシンガンで射撃を繰り返している。
武がテレビ中継を見ていたら、テロリストに銃口を向けられて立っている男が映し出された。その男が人質のようだ。
武はテレビに映った人質を見て、お菊さんに話しかけた。
「あの人、おじさんじゃない?」
お菊さんは目を凝らしてテレビ画面を見た。
「え? 本当だ。あれ前鬼だわ。どうして人質に?」
テレビのキャスターは「勇敢な兵士が一般人と人質を代わったようです」と状況を説明した。
「身代わりになったのかー。おじさん勇気あるね。偉いよ」武は嬉しそうに言った。
「勇気はあるんだけど、人質になるのは危険だよ・・・」
「おじさんを助けてあげられないかな? 僕としては地球人がこの惑星の人たちに迷惑掛けているのが申し訳ないんだ。それに、分子の合成ができるようになったから、僕も戦力になると思うよ」
「え? あそこに乗り込むの? さすがに危ないわよ。ピーチ・ボーイズを警察が包囲しているんだし、警察に任せた方がいいんじゃない?」
お菊さんは武のボディーガードをしている。
護衛対象の武が自分から危険に飛び込むのは、お菊さんとしては避けたいところだ。
「でも、おじさんのことが心配だし、近くまで行ってみようよ」と武はお菊さんに頼んだ。
お菊さんは返答に困っている。
ピーチ・ボーイズが占拠しているビルに入らなければ危険はないだろう。
それに、もしピーチ・ボーイズが銃撃してきても、銃弾を弾き返すくらいはできる。
「遠くから見るだけだったらいいわよ。でも約束して。絶対に危ないことをしないって・・・」お菊さんは武に言った。
「分かったよ・・・」
武はしぶしぶ言ったが、テンションは上がっていく。
― やった! 試し打ちができる!