⒕ 不可解な襲撃者
文字数 1,136文字
二人は顔を見合わせる。
「何事だ・・・聖なる森の中で。」
ギルが鋭い声で言った。
「これは・・・多勢に無勢かもしれない。」
音のたつ感じからそう推測して、エミリオが眉をひそめる。
「盗賊か!」
ギルはやにわに立ち上がり、エミリオもさっと腰を上げていた。
二人は火を消したあと急いでズボンを履き、剣を手に取ると、現場へまっしぐらに駆けだした。
ところが、すぐさま駆けつけた二人は
そこで繰り広げられていた戦いは、案の定、多勢に無勢だった。しかし
さらに驚いたことには、もう一方の四人のうち三人を知っていた。ヴェネッサの町の酒場で会っていたからだ。額に赤いバンダナの
徒手武術 ―― 拳法 ―― というもの。それは、ギルとエミリオの頭に、知識としてはあった。恐らく、金髪の美青年はその達人だ。どうもまともに反撃に出ないだけで、襲い来るものを見事に
「相手はどこの戦士だ、
ギルは
二人には、さっぱり訳が分からない。相手が盗賊ならば頷けるが、何が気に入らなくて、少年少女を連れている、ただの旅人を襲うのか。喧嘩や、恨みがあるとも思えなかった。考えられるとすれば、何か望むものがあるということ。
そしてギルは、その
ともあれ、善悪ははっきりしていた。
エミリオは顔をしかめ、剣を握る手に力を加える。
「・・・加勢しよう。」
ギルも不敵に
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