詩小説『通り雨の配達員』3分の雨景色。遠距離恋愛をしている人へ。

エピソード文字数 432文字

通り雨の配達員

傘を頬でさして、鞄で震える電話取り出す。
電話から零れた癖のある声。

聞き慣れていたはずなのに、懐かしい声になっていた。

今ちょうど街へ出てるの。
そう買い物するために。

何度もダイヤル回す手を途中で止めた番号。
バイバイとは言わない。
またねで途切れる電話。

雨粒つけたメモ書きを内ポケットにしまい、あなたの居ない日常へ帰る。

通り雨の配達員。
募る想い、不意をつく電話に託して。
時間の流れにも、遠い距離にも逆らって。

窓を叩く雨風に耳を澄ませば、コートの袖を濡らしたあなたを、この部屋に連れて来るような気がして。

淋しいなんて言わない。淋しいと思う自分に淋しく思えて。雨の匂いを連れて帰った私の居るこの部屋で。

3月の雨は配達員。
何気なくを装うけど、溢れる言葉が口で詰まる。時の流れにも、遠い距離にも切れない。長く細い紡ぐ糸。

通り雨の配達員。
募る想い、不意をつく電話に託して。
時間の流れにも、遠い距離にも逆らって。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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