第22話 悩む女男の心そして秋の夜
文字数 7,806文字
場所を変え近所の公園にて、途中、
すっかり日の暮れた人気の無い公園は静かで、どこか物寂しい…
「ええ、まぁ…。でもいつも逞しく撃退してるじゃないですか?」
「うん…そうなんだけどさぁ…」
凛さんはホクホクの男爵コロッケを可愛らしく頬張ると、少し身を縮こまらせ頷いた。
あたしと伴はちょっとリッチに松坂牛コロッケを。一個をシェアしているので半分に割る作業がとても大切だ。
「普通だったら俺だってさぁ…わざわざつーちゃんに相談なんてしないよ。だって俺強いじゃん?」
「ええ、まぁ…そうですね。」
凛さんは見た目は美少女だが中身は逞しい男前なのだ。これまでもストーカーやら暴漢に襲われたりして、全て彼自身で撃退し、解決して来た。
なんでも小さい頃からよく連れ去られそうになったり、悪戯されそうになったりしていたようで…
その結果『自分の身は自分で守るべし!』と悟った凛さんは、自ら修行をしたとかしなかったとか(その辺曖昧)。そして今の逞しい彼が出来上がった訳だ。
「でもさすがに今回は怖かったっていうか…」
「寝込みを襲われたんですか!?」
「そしたらとっくに蹴り飛ばすなりして警察に突き出してるよ!」
「じゃあお風呂覗かれたとか?」
「熱湯でもかけて撃退してるよ!」
「…そうですよねぇ…凛さんだし…」
「もう!俺の話ちゃんと聞いてよ!!本当困ってるんだからね!!」
頬を膨らまし、コロッケ片手に怒る凛さんはやっぱり可愛い。とても成人男性とは思えない愛らしさだ。むしろ可愛いしかない。
こんな愛らしい生き物なのだ。世の男どもがストーカーやらするのも分からなくは無い。満員電車に乗れば痴漢は日常茶飯事だってぼやいてたし、銭湯へ行けばやたら注目を浴びるとかって事も。
しかし…そんな身に降りかかる危機を逞しく撃退するのが凛さんだ。それが今回はこんな深刻な顔をする程…。宮園家へ避難する程の危機的状況に陥っていると言う事だろうか。
「…またいつものパターンかなって、俺始めは様子見ようって放っておいたんだけど…」
「……」
「…やっぱりそいつストーカーで、俺の後付けてゴミまで漁ってるみたいでさぁ…さすがに気持ち悪くなったんんだよねぇ…」
「ゴ、ゴミって…犯人はそれを調べて何を得るんでしょうねぇ…」
「知らないよ!俺も知りたいよ!!」
「す、すみません…」
そりゃそうだ…。あまりにも異常な行動だったのであたしはつい問い返していた。
ストーカーか…。あたしにゃ縁の無い人種だなぁ…。そういうのってこんな風に可愛い人とかイケメンの人とかがターゲットになるんだよな?何となく適当なイメージだけど。
あとは有名人とか?
……ん?有名人て言えば………??
「…あんたもそういう被害に遭った事あるの?一応聞くけど。」
「一応って言うなよ!無いけど!!」
「やっぱり?あんたオーラ無し男だもんね…ごめん…」
「謝るなら聞くなよ!!」
やっぱこいつはアテにならないか…。
一応有名人である伴に確認を取ったが、やはり参考にはならなかった。やっぱこの場合は紫乃さんかな?
「も~!!俺本気で悩んでるんだからね!!」
『す、すみません…』
「もう!伴ちゃんの事はどうだっていいでしょ!!今は俺の話を聞いてよ!!」
と、また凛さんに怒られた…。
そうだ…ちゃんと聞いてあげないと。わざわざあたしを頼って来てくれたんだから。
「そ、それで…凛さんはどんな目に遭ったんですか?ゴミ漁られる以外に…」
「うん…一通りの事は色々されたんだけど…。」
「されちゃったんですか…」
「未遂だけど…勿論。けどさすがに今回はびっくりしちゃって…。あのね、笑わないで聞いて欲しいんだけど…」
何故か少し恥ずかしそうに目を反らすと、凛さんはパーカーの裾をいじりながらもじもじ…黙り込み暫くしてからこう呟いたのであった。
「…下着盗まれたんだよ…しかも、洗濯する前の…」
『ええ!?』
「ちょっ、こ、声大きいよ!!恥ずかしいんだから…」
あたしと伴の口を慌てて手で塞ぐと、凛さんはつい辺りを見回し誰もいない事を確認するとほっと息を吐いた。
上目使いにあたしと伴を見上げ、ちょっと怒った様に睨むが迫力がまるでない。可愛いだけだ。
「…確かにこんなかわ…いや、まぁ…寝込みを襲うとかそういう気持ちは分からなくもないっすね…」
「やめてよ!俺そんな事されたら伴ちゃんのことボッコボコにしちゃうからね!!」
「いやしませんけど…!!俺女の子好きなんで!!いや…でも…う~ん…一晩一緒の部屋にいたら…」
「もう!!ふざけないでよ!!つーちゃんも頷いてないで何か言ってよ!!」
いや、何も言えません…。なんか伴の気持ちが分からなくもないと思ってしまったなんて言えやしない。
しかし…下着って…。しかも使用済みの洗濯前の物って…どんだけ変態なんだろうか?そのストーカー野郎は??
そしてどういう状況でそうなったんだろう…。なんか怖くて聞けない…!!
「それで逃げて来たんですか?」
「うん…さすがに怖くなって適当に荷物まとめて、昨日は漫喫に避難したよ…。コインランドリーなんて使うんじゃなかった…」
ああ、そういう状況で盗まれたのか…。良かった…。
恐らく洗濯物を置いてうっかり目を離した隙に盗られてしまったのだろう…。そうに違いない。
「確かに…それはちょっと怖いですね…。下着だからまだ良かったのかもしれませんけど、凛さん本人に危害を加えるなんて事にエスカレートしたら大変ですし…」
「そっちの方がまだマシだよ!!下着だよぉ!?しかもトランクスじゃなくてブリーフの方!!」
「その選択に何か問題でも??」
「トランクスよりブリーフの方が下着っぽいじゃん!!その選択がキモイ!!」
「…凛さん、恐怖の理由って下着盗まれたって事よりそっちの理由なんじゃ…」
「ち、違うよ…!そ、それもあるけど…つーちゃん、俺男だよ?なのに下着盗まれるって…それも同性に…!!何かそれが凄く嫌なの!!」
そっち!?まぁ…確かに複雑だろうけど…。
伴を見ると何故か『分かる!!』って感じで深く頷いているし…。あんたも同じ様な被害に遭った事あるの??
良く分からない乙女心ならぬ男心(?)に疑問を感じつつも、あたしは凛さんを宮園家に匿う事を承諾した。
これ以上エスカレートしたら大変だし…色々と…
*****
「凛君がストーカーに?」
翌日、学校帰りいつもの様に金木犀へと行くと、昨日の出来事を早速紫乃さんに話していた。
「そうなんですよ!それで紫乃さん…分ります?ブリーフとトランクスの…」
「こらこら、女の子がそんな事言うんじゃないよ…。」
「…それとも…紫乃さん恰好だけじゃなくてその…下着もふんどしとか!?」
「蕾ちゃん、やめなさい…。ほら、俺の下着事情より今は勉強だろ?ちゃんと集中しなよ?」
紫乃さんに冷静に諭され、あたしは渋々受験勉強の続きに励んだ。今日はちゃっかり静乃もいる。
確かに女子高生がやれブリーフだのトランクスだの…うん、ちょっとやばいよね。集中しよう。
「…ストーカーって言えば…紫乃さんは大丈夫なんですか?」
「え?俺?」
「ほら、たまに店の周りを女性の集団がウロウロしているって…中谷の奥さんが(漬物屋さん)心配してましたよ?『紫乃君優しいから心配だわぁ』ってスマイル商店街マダム達と…」
スマイル商店街のマダム達は紫乃さんのファンが多い。ので、彼を守ろうと日々対策を立てる親衛隊なるマダム組織がここ星花町には密かに存在している。
勿論紫乃さん本人は全く知らない…。マダムキラー恐るべし。
「ああ、それか…大丈夫だよ、俺は。それよりも蕾ちゃんの受験の方が心配だよ。ついでに凛君も…」
「あたしだって心配してるのに~。紫乃さんは自分の事に無頓着なんですよ。緋乃も心配してたんですよ?」
「え!?本当に!?」
「嬉しそうにしないで下さい…」
急に瞳を輝かせるので、あたしはため息をついて呆れた…
この人、本当緋乃の事になると駄目だ…
「と、とにかく…。凛君は今蕾ちゃんの家で保護されているって事だけど…蕾ちゃん、君も気を付けるんだよ?昨今のストーカーは何をするか分からないから…」
あたしと静乃の冷たい視線に気づいたのか、紫乃さんは慌てていつもの穏やかな爽やか好青年に戻るとそう言った。
「…あたし?何でですか?」
「被害に遭っているのは凛君だけど、周りの人間にも被害が及ぶ可能性もあるって事だよ…。蕾ちゃんは逞しいけど、女の子だし…何かあったらちゃんと俺に言うんだよ?いいね?」
「紫乃さんの手を借りるまでも無いと思いますけど…」
「駄目だよ。君は暴走しやすいんだから…。ね?静乃ちゃん?」
紫乃さんがそういうと静乃は深く無言で頷いた。
静乃まで…。まぁ、良いけど。
「ああ、何か俺も凄く心配になって来た…。蕾ちゃん、本当に大丈夫?凛君家で預かろうか?」
「…そしたら緋乃に被害が及ぶ可能性があるんじゃ…」
「あはは、嫌だな蕾ちゃん!その前に俺が何とかするから心配ないよ!可愛い妹には指一本触れさせはしない…」
「紫乃さん、ちょっと空気澱んでます…!!」
「…まずは我が家に対ストーカーの罠を幾つか仕掛けて…ああ、ちょっと警告する為に霊道を…」
「やめて!紫乃さんやめて!!怖い!!」
徐々に笑顔が黒くなって行く紫乃さんを止め、あたしは耳を塞いだ。
罠って何の罠ですか?紫乃さん??それってあなたの趣味ですよね?そして妹の…!!霊道どうするんですか?
本当、この人怖いわ…。そして黒い…。
「じゃあ、俺は静乃ちゃんを駅まで送って行くから。蕾ちゃん、ちゃんと真っすぐ家に帰って勉強するように。あと、くれぐれも無茶しちゃ駄目だからね?」
「わ、わかってますって…」
「本当に?俺一応後で様子見に行くけど…。凛君も心配だしね…」
「はぁ、それは構いませんけど…」
紫乃さん、やっぱり凛さんの事心配しているんだ…。何だかんだで優しいんだから。
金木犀の去り際、しっかりとあたしに釘を刺して紫乃さんは静乃と一緒に駅まで歩いて行った。
なんかあの二人の後ろ姿ってアンバランス過ぎるな…
「…じゃあ、あたしもそろそろ…ご馳走様でした。」
「ああ、なら俺も…店ももう閉めるところだし、俺が蕾ちゃんを送って行くよ。暗いし危ないだろ?」
「え?そ、そんな!聡一郎さんまで良いですって!!」
今日は珠惠は一足先に帰宅しているので、気づけば店内はあたしと聡一郎さんの二人だけだった。
彼も彼で五年前からあたしを知っている訳で…色々と面倒を見てくれた一人でもある。それは今も変わらない。
だからだろうか?たまにこうして気にかけてくれるのは…
「凛の事も心配だけどな。俺、元刑事だろ?だからそれなりにアドバイスくらいはしてやれるんじゃないかって思うんだけどな。」
「ああ、確かに。そう言えば聡一郎さんって凛さんの相談に良く乗っていましたもんね。主にストーカーとか痴漢とか…」
「…まぁな。あいつもここで働いて結構経つし…それなりに心配にもなるんだよ。逞しい男の子だけどな?」
「あはは、確かに!」
手際よく店内の片づけをしながら、聡一郎さんはネクタイを緩めながらふっと笑った。
やっぱり恰好良い…。あたしの初恋の人だけあって見惚れてしまう。
あの頃はイケメン見て嫌悪感を示さなかったし、むしろ好きな方だったし。
ああ、憧れの人っていつまで経っても憧れなんだな…。恋心は今は無いにしろ。
「じゃあ、行こうか?忘れ物はないな?」
「あ、はい。でも本当良いんですか?家に珠惠一人なんじゃ…」
「今日はむめ乃が来ているはずだから…心配ないよ。」
「ああ、むめ乃さん!成程!!」
星花町のマドンナ事むめ乃さんは、聡一郎さんの幼馴染らしい。この商店街で小料理店を営む美人女将だ。
聡一郎さんはこの近所のアパートで珠惠と二人で暮らしている。親とは一年前に他界しているので、今の店は亡くなったご両親の形見みたいな物なのだといつか話していた。
兄と妹二人暮らし…。それは紫乃さんと緋乃の関係に似ているが両兄妹の性格が全く違うので、似ているようで全く似ていない。紫乃さんは珠惠の事を良く可愛がり構っているけど。
「蕾ちゃんの家なんて久しぶりだな。珠惠はたまにお邪魔してるみたいだけど…」
「ああ、はい。家の両親珠惠大好きなんで!あ、勿論聡一郎さんも。でもいつも顔合わせてるから新鮮味はないですけど…店隣同士だし。」
「ああ、確かに。美空さん最近仕事忙しいって?やつれて店頭に立ってるの最近よく見るから心配で…」
「あ~…相変わらずみたいですよ?あ!最近ですね、
「美空さんは紫乃さんの事昔から知っているんだよな?」
「そうなんですよ!あたしが五つの時に紫乃さんと緋乃がこの町に来たから…そうですね、中学時代から知ってるはずですよ?紫乃さんの事。」
「中学…?ちょっと待て…紫乃さんて今…二十四!?」
「そうですね。なんかあんな恰好であんな雰囲気なんで見えませんよね?あたしもつい最近思い出して…昔はちゃんとした恰好してたんですよ?学ラン着て。」
「紫乃さんが学ラン着ている姿すら想像出来ない…」
「性格はあんな風でしたけど…妹馬鹿で、ついでにあたしや忍の面倒も見て可愛がってくれて…」
そうだ…忘れかけていたけど…。紫乃さんと初めて会った時、彼は中学生で学ランなんかピシッと着ていたんだよな。イケメンで優しいのは変わりないけど。
「…でも驚いた…。あの人俺とそんなに変わらない年齢だったんだな…というか年下って…」
「聡一郎さんは確か…」
「二十六だよ…何か一気に自分が老け込んだ感じだ…」
「紫乃さんが特殊なんですって!あの人も普通にしてたら全然若いし。やる事がおじいちゃんっぽいけど…」
たまに陽当たりの良い場所(古書店で)でうとうとしてたりするし…
そんな他愛のない話をしながら、聡一郎さんと並んで歩く…
なんか新鮮だな…。こう、久しぶりに胸が高鳴るって言うか…
い、いや!別に好きとかそんなんじゃなくて…憧れの人が隣にいると妙に気分が高まるっていうか…
ああ、でも…やっぱり恰好良いな。私服でも。背も高いし足長いし落ち着きあるし…
「…そう言えば、桐原君は?蕾ちゃんと仲良いだろ?」
「え!?な、なんであいつが…??」
「昨日久しぶりに見たからどうしているのか思って…。確かアイドル志望なんだろう?」
「え、ええ…そ、そうなんですよぉ~!!もう日々頑張っちゃって輝いちゃっても~…!!あははは!!」
び、びっくりした…!いきなりあいつの話題を出してくるなんて!!忘れかけてたよあたし。
そ、そっか…伴があの有沢伴って事紫乃さん以外知らないんだよね。当然聡一郎さんも。
「俺そっちの方は詳しくないけど…大変なんだろ?」
「え、ええ…受験と両立しないとだからなんか大変だって…」
あ、これは本当に言っていました…。
伴はあたしと同い年。当然受験生で、進学を希望しているので多忙の中勉強をこなすのは相当疲れるとか。気持ちは分かる気がする。
でも悔しいのは…あいつ、意外とお馬鹿じゃないって事だ。最近はクイズ番組とか増えてアイドルも出ているからな…やっぱ馬鹿じゃ駄目なんだろうか?
「…そ、そう!この間あいつオーディション受けたみたいで!!あ、何かはその…教えてはもらえなかったんですけど…」
これも本当だ。何でも朝ドラか何かの…だっけ??いや、何かの舞台だっけ??
「そ、それで何か歌のテストがあるからちょっと付き合えって言われて…もう凄く迷惑でしたよ!あたしほら…歌には自信ないので…」
「え?そんな事ないだろ?昔よく珠惠に教えてたし…店のピアノ弾きながらさ。上手かったけど?」
「そ、そうでしたっけ?あはは、あまり覚えてないなぁ…。ああ、そう!ピアノ!!あいつあたしにピアノ弾かせるんですよ!もう目キラキラさせてねだるもんだから何も言えなくて…」
これも本当だ…。あの久しぶりにピアノを弾いた夜から、伴はあたしに『ピアノ弾けよ!俺歌うから!!』と気まぐれにねだるのだ。本当に目を輝かせて。
しかも腹立つことに…あいつが隣で歌っていると楽しくピアノが弾ける…。調子も良い。しかも歌声も心地よくて気分が良いのだ。
なんだろう…?この変な想い出…??一月も前の事なのに何で今こんなに思い出せるんだろう?
「…じゃあ今度は金木犀でも弾いてみないか?」
「え!?そんな…」
「話聞いてたら、俺も蕾ちゃんのピアノ聴きたくなった。それに桐原君の歌声も気になるし…」
「え?そ、そりゃ…まぁ…上手いですけど(現役アイドルだし)…」
「あ、噂をすれば…あれ、桐原君じゃないか?」
「え!?」
何故こんなタイミング良く現れる!?
聡一郎さんが立ち止まり指をさすと、その先には確かに伴の姿があった。勿論オーラ無し男バージョンの恰好だ。
「…あれ?珠ちゃんのお兄さん?金木犀のマスターじゃないっすか!?何で蕾と?」
そしてなんでそんな軽いノリなんだ?あんた??
あたしと聡一郎さんの姿に気づくと、伴は笑顔で手を振りながらこちらへ歩み寄って来る。
何この展開?せっかく聡一郎さんとまったり帰っていたのに…
あ~…なんだろう?何か無性にドロップキックをお見舞いしてやりたいこの気持ち…??
「遅くなったし送ってもらってたんだけど…」
「え?お前その性格で夜道怖いの!?」
「蹴り飛ばすぞこら…」
「すんません…!!まぁ、一応女の子だしな!けど俺に電話すれば迎えに行ってやったのに。」
「『爺、今すぐ迎えに来て!』って?」
「かしこまりました、お嬢様…ってなんで爺なんだよ!?せめて執事とかセバスチャンとか…」
「じゃあ百歩譲ってパトラッシュで…」
「それ犬!話違ってくる!!」
そして本当にノリが良いな…こいつ…
あ~、何か思い切り顎にアッパーしたい…
良く分からないアグレッシブでバイオレンスな気持ちを抑え込み、あたしは伴と暫くいつもの漫才風なやり取りを続けていたのであった。
なんなんだ?この展開…??