第5話(7)

エピソード文字数 1,199文字

『にゅむむんっ。育月ちゃんに、てやーっ』
『育月先生、打ち返しやー! 負けたらいかんぜよっ』
『は……はいっっ。え、えいっ……ですっ』

 ゆーせー君が休んでる十数メートル先では、和気あいあいとビーチバレーをやっている。
 ふぉっふぉっふぉ。若いモンは、元気が溢れとるのぅ。

「従兄くん? 老けたように見えるわよ?」
「お前らのせいだ。お前らのせいで、まだちょっとラリッてるんだよ」

 俺は側頭を軽く叩き、脳を調整する。コン、コン、コンコン、コン。慎重にやって無事調整が終わったので、三人のビバを眺めますです。

『ビバ? ビバってなんだ?』

 ビーチバレーのこと。長いから略してみました。
 よろしかったら、皆様もお使いください。え、使いませんか。そうですか……。

「ねえ、従兄くん。あの、さ」

 誰にも支持されずショボンとしていたら、シズナが肩を窄めて見つめてきた。む? なんだ?

「オイル、塗り合いっこしましょう。一塗ずつ交互に」
「……そりゃ、なんとも斬新な塗り方だな……。バッカじゃないの?」

 ソレをやると衆人の目を引き、大恥を晒すことになる。最近は勝手に写真を撮られてネットに上げられるので、そういうのは嫌です。

「そう、だったら私にオイルを塗ってくれない? これならいいでしょう?」
「よくない」
「そんなっ!? 『レベルの高いお願いの後にレベルの低いお願いをすれば、相手は許可する』って本に載っていたのに……!」
「あのねぇ。俺にとっては、それってレベルが低くないからな――っと悪い。ちょいと育月のトコに行ってきますわ」

 ここで、トークを中断。金髪と茶髪の男性が話しかけようとしていたので、駆け足で三人のもとに動いた。

「ねえ。キミって、テレビに出てた色紙育月ちゃんでしょ? 俺らと遊ばない?」
「女の子3人と男2人で、バランスも丁度良い。一緒に遊ぼうよ」

 動いていると、思った通り。ソイツらはナンパを始めた。
 しかし……あとで喋った眼鏡で茶髪の人、女の子3と男2でバランスが良いって。無理ありすぎです。

「ね、いいでしょ? いいよね?」
「ウチらと遊べば、きっと楽しくなるよ。だから――」
「あー、スンマセン。この子らは自分と来てるんで、アナタ達とは遊べないんですよ」

 俺は育月の前に入り込み、ペコッと腰を折り曲げる。
 こちらのメンバーは、女子4と男子1。実はとってもバランスが悪いので、お相手できません。

「すみませんねぇ。お引き取りください」
「あ? 急になんだよお前。邪魔だ邪魔」
「オマエ、その子達と全然釣り合ってねーよ。どっかいってな!」

 男性達はこちらを軽く睨み付け、お断りしたのに退こうとしない。
 残念なことにこういうタイプは、首を縦に振るまで引き下がらないからなぁ。……仕方が、ない。

 あっちの俺を、出すとしよう。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

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