始まり

文字数 15,100文字

「見張り、お疲れ様!」

兵士のうち一人が手をあげ、仲間の兵士に交代を促した。

そう、ここは、カルベロッカという城の地下で、兵士たちは不審者がいないか見張りをしていた。

「…今日も、異常なし、か…」

そう、一人の兵士がつぶやくと、その言葉を聞いたもう一人の兵士が痴話をしだした。

「そりゃそうだぜ。なんたって、ここは治安が良く平和な国だからな。それも特に王妃様が連れてきた現在の王が優秀で、頭脳明晰、国民の支持が高いからな」

そう、一人の兵士がしゃべり出すと、現在の王について話を続けた。

「なんでも、元は凄腕の魔法騎士で、近隣の町や諸国を救ってたらしいぜ。一見そんな風に見えないけど、王妃様も町に出掛け、魔物に襲われ危なかった時があって、そんな時彼が王妃様を救った」

「それから二人は出会い、交際を始め、王妃は彼を迎い入れた。王妃様にとって現在の王は尊敬に値し、愛しているのだろう」

兵士は二人の事を話し、もう一人の兵士に聞かせた。
そして、確か近々、王の一人弟子の魔法使いが遊びにくる事を伝え、話した。

「弟子?魔法使いの弟子がいるのか?」

それを聞いた兵士が、

「あぁ、いるぜ。髪がオレンジ色で12ぐらいの男の子が…。名前は確か…」


兵士が名前を言おうとしたその時だった!


バチィィッ!!

「えっ!?」

突然、兵士達のいる隣の部屋から凄まじい音が鳴り響き、兵士達は何事かと思い、鳴った部屋に向かった。
「!?」

そこは薄暗く、それほど広くない部屋だった。
地下にこんな部屋があるなんてと思い、二人は辺りを見渡し警戒した。


「おい!なんか奥にあるぞ!」

「えっ?」

それは、小さく汚れた青の箱だった。それもかなり年期がたってる物で、何百年前の代物だと兵士は思った。兵士は箱を手にし、
「さっきの音の正体はこいつから鳴っていたんだな。それにしてもこの箱は一体…。」



カパッ…

「おい!」
一人の兵士が箱をあけ、それを見ていた兵士が勝手に開けるなと促した。
が、時すでに遅しで、兵士は無意識に開け、箱の中身を確認しようとした。


「…何も入っていないじゃないか」

兵士が安堵した、次の瞬間、




…500年。長かったわ。口惜しい王家め。


ドシュッ!

「ガッ!」

ドスの利いた低い声の後に、箱の中身から、鋭い長い枝のような物がいきなり兵士の顔をめがけ貫いた。

「ひっ!」
その光景を見た兵士は恐怖した。そして貫かれた兵士は、みるみる体が干からび、枝から血を吸われミイラと化した。


パリンッ!

箱は割れ、箱の中から黒い煙が立ち込めた。
そしてその煙はみるみるうちに人のような物に変形し、恐怖でおびえている兵士の顔を見てこう言った。


「安心して下さい。貴方は殺したりしません。利用価値があるので…」

そう言い終わると、得たいの知れない黒い物体は怪しく目を光らせ、その物体に吸い込まれるように兵士の体はその場から消えた。

「…現在の王は上ですか。待っていなさい」

黒い物体がそうつぶやくと、体は消え、辺りは静寂な場に戻った。



場面がかわり、カルベロッカの王室。

そこに、山積みの書類におわれている王、エヴァンが、セッセッと書類の判子をうち、仕事に励んでいた。

それを見ていた、王妃、ティファーが、

「もう、そんなに無理なさらず、少し休んだらいいのに」

それを聞いたエヴァンは、
「レオも近々くるし、仕事は早く済ませておいたほうがいいと思ってね。レオ、楽しみだな~。私と初めて会った時はこんなに小さく可愛かったのに、今は12歳になったもんな~」

エヴァンはレオの事をツラツラと話し、


「あれから魔法上達したのかな?もともと才能あったし、私も鼻が高いよ」

レオとエヴァンが出会ったのは、レオが5歳の頃。
レオの町は魔物に襲われ、両親はその時に死んだ。
レオが一人身になって町をさまよっていた時、彼自身も魔物に襲われ殺されかけた。

「父ちゃん、母ちゃん、俺…」

レオは死を覚悟した。
生きてたって怖い思いをするし、このまま死のうとした。
魔物が彼の首を喰らおうとしたその瞬間、エヴァンが魔物の首を斬り倒した。


ドシャッ!

「……」

その光景を見て、呆然とするレオ。そして、なぜだか顔から涙が流れ、レオはこの時自分は生きてるんだと思い、安堵と、…そして自分だけが生き残り何もできない無力さを痛感した。

泣いているレオを見て、エヴァンはそっと彼の前に手をさしのべた。

そして、エヴァンは、自分の元にきて力をつけ、一緒に戦おうと彼を連れてきたのだ。

エヴァンは嬉しそうだった。教え子が来るのを待ち望み、仕事に精を出し励んでいた。

その光景を見ていたティファーはニッコリと笑った。そして、彼のためにコーヒーを出そうと席をたち、部屋を出たのだ。
その様子を見ていたエヴァンが、

「ありがとう、ティファー。元気がでるよ」と言い、ティファーにお礼を言った。

エヴァンが、
「…さて、もうひと頑張り、するか」っと言い、仕事を続けようとした次の瞬間、


「キャー!」

「!」

ティファーの悲鳴が突然響き渡った。

「ティファー!」
エヴァンは席を立ち、部屋を出ようとした。…がその時、突然部屋が暗くなり、辺りは漆黒の闇に包まれた。


「…これは、一体?」
エヴァンは突然の出来事に戸惑いを隠せなかった。
そして腰にかけていた剣を引き抜き、警戒し、体勢を整えていた。

「なんなんだ?これは?」エヴァンは剣を握りしめ、額から汗が出ていた。


すると、突然暗闇から鋭い枝のような物が彼を目掛けて襲い、エヴァンは咄嗟にその枝のような物を斬った。

ザシュッ!

ドサッ!



白い、枝のような物。
エヴァンがそれを見ていたその時、

「…さすがですね、さすが、王妃が見込んだだけの男である」

「!?」

その声の主は、ゆっくりと暗闇からエヴァンの前に姿を見せ、青白い仮面をし、漆黒のマントを覆った一匹の魔族であった。

エヴァンはその魔族を見て、

「…何者なんです?あなた?」
エヴァンは顔から汗が出た。数々の魔物を倒してきたエヴァンだったが、その魔族からはただならぬ気配があり、警戒し、恐れた。

仮面の魔族はそんなエヴァンを見て、次々と技をぶつけてみた。

火炎、氷、風、爆発呪文を唱え、彼の実力を見ていた。

ドカッ、バシッ!バシュッ!
エヴァンは嵐のような呪文をかろうじて弾け返した。そしてすかさずカウンターとして、仮面の魔族の仮面を剣で斬ろうとした。

ピュッ!

僅かだが、仮面の魔族の仮面に傷を入れた。

仮面の魔族はエヴァンを見て、
「やはり、人間にしてはなかなかやるな。…決まりですね」と言い、攻撃の手を緩めた。

エヴァンは逆に攻撃の手を緩めず攻撃をしようとし、

「貴方が何者かわかりませんが、危険な人物には変わりない」

「悪いですが、このまま倒させてもらいます」

そう言い、エヴァンは仮面の魔族に襲いかかろうとした。

仮面の魔族はその光景をみて、

「…そうはさせません」と言い、エヴァンの前に突然黒いマントを出した。


「エヴァン!」

「!」

黒いマントから姿を現したのは、なんとティファーだった。だが、ティファーの体は白い枝のような物で拘束され、身動きができない状態だった。

ティファーのその状態を見てエヴァンは、

「…くっ!卑怯な!」
と言い動きを止め、仮面の魔族を睨み付けた。

エヴァンの表情を見た仮面の魔族は顔をにやけながら、
「見ての通り、彼女は人質です。一歩でも動いてみなさい。彼女は…」
ティファーはそんな状況の中、エヴァンに向かってこう叫んだ。それは、

「エヴァン!私の事は構わずこいつを倒して!こいつは…」

それを見ていた仮面の魔族は、
「…黙りなさい」と言い、白い枝で彼女の首を締め、声を出さないようにした。

「う、あぁ~」

強く首をしばりつけ、苦しそうに悶えるティファー。その光景を見て、エヴァンはやめてくれ、なんでもすると言い、仮面の魔族に貢願した。
それを聞いた仮面の魔族は冷淡な声で、

「…まずは、ひざまずきなさい、人間」
と言い、エヴァンの足を目掛けて鋭い白い枝を貫通させた。

「ギャアァァ!!」
エヴァンは悲鳴をあげ、持っていた剣は地面に落とした。

どくっ…どくっ…。

おびただしいエヴァンの血が地面を赤く染める。
エヴァンは立っていられなくなり、地面に倒れた。
「エヴァン!」

変わり果てたエヴァンの姿を見て、涙を流すティファー。
そんなティファーの姿を見た仮面の魔族は顔をにやつかせ、今度は出血で意識もうろうとしているエヴァンに近づいた。

シュルルシュル…。

今度はエヴァンに白い枝が巻き付いた。
エヴァンの体は次第に全身拘束され、身動きがとれなくなった。

「何するの!」
ティファーは仮面の魔族を睨み付けた。

仮面の魔族は冷淡な口調で、現在の王妃、ティファーにこう告げた。


「カルベロッカの王家の血を引くティファーよ。お前の先代の王妃によって、私は長い間この地下に封印されてきた。後一歩、私の野望が叶おうとしたその時、貴様の祖先によって、私の計画はことごとくうちくだかれたのだ。人間風情の分際で…、この500年、いくら憎んでも憎み足りん」

「だから私は、お前逹に最高のプレゼントを渡そうと思う。おまえ逹先代が築きあげた国が、今まで培った物が、現在の王、エヴァンによって崩壊するのだ」
そう、仮面の魔族が言い終わると、縛り上げたエヴァンの体を近くに寄せ、彼に聞こえるようにひっそりと言った。

「光栄に思いなさい、エヴァン。私に選ばれた事を…」

そう言い、仮面の魔族は仮面を取った。そしてすかさずエヴァンの首元に鋭い牙を立て、その牙で彼の首元を強く噛んだ。

「ぐぎゃあぁぁ!!」
エヴァンの悲鳴が部屋中に響き渡る。ティファーはそんな姿を見て、

「やめて!彼から離れて!」と言い、涙を流し叫んだ。



…ツゥー。

やがて、エヴァンの顔から生気が抜けた。そして脈も心臓の音もなくなり、彼は動かなくなった。

そんな姿を見て、仮面の魔族は彼の体を地面に落とした。そして冷たい瞳でジッと見て、無言で様子を伺った。

「エヴァン!」
ティファーはエヴァンに向けて叫んだ。動かないエヴァンを見て、

「…嫌、死なないで」と涙ながらに訴えた。

仮面の魔族は少し間をあけると、倒れてるエヴァンに、命令口調でエヴァンに命じた。

「…立て」


すると、エヴァンはその声に応えるように、ムクッと体を起き上がらせた。
そして彼は、低い唸り声を出しながら口を広げ、口からは歯が鋭い牙が二本生え、目は赤く血走り、爪は赤く尖った。

「…エ、エヴァン」
ティファーは絶句した。彼のあまりにも変わりように言葉を失った。

仮面の魔族はそんな彼女を見て、見せつけるように黒いマントからある者を出した。…そう、二人のうち生かして捕らえていたあの兵士である。


「…その兵士を喰らいなさい、エヴァン」

「!」
ティファーはその言葉を聞いて、
「…っや、やめてエヴァン!そんな事は!」

兵士も、エヴァンの顔を見て、
「陛下!やめてください!お気を確かに!私は…」

だが、そんな二人の言葉は虚しく、エヴァンは兵士の体を持ち上げ、獣のように首筋に喰らいついた。

ビジャァ!
兵士の血が地面に滴る。

「…上等」

仮面の魔族は冷淡な声でエヴァンを褒めた。エヴァンの口の周りは兵士の血で真っ赤である。

ティファーはあまりにも悲惨な光景を見てその場で気絶した。

おびただしい血もそうだが、何より愛するものがこんな変貌を遂げ、手を下した行為にショックを隠しきれなかったからだ。


仮面の魔族はティファーの姿を見て、満足気に笑みを浮かべた。



この魔族、狡猾で残酷である。
それもかなりの残虐性を秘めた、魔族の中の魔族。

一番人の弱い心をつき、人を迷わし操る。そういう事に長けた魔界でも一、二位を争う者だ。

ティファーの表情を見て満足した仮面の魔族は背を向け、血でほとばしってるエヴァンに向けてこう言った。


「…さあ、始めようか。私の復讐と野望を」

仮面の魔族はそう言い、エヴァンと仮面の魔族はその場を後にした。


………

…せんせい。

……先生。

エヴァン先生。

「ん?」

風がなびく中、幼いレオと若き日のエヴァンは民家の外の小さな庭にいた。そしてエヴァンの手にはこの時本を持ち、書籍にふけっていたのだ。

レオは幼な心に読書をしていたエヴァンに質問をした。


「先生…、先生は何故、人々を守る魔法騎士になったのですか?」

「!?」
「…魔物は怖くないですか?」


「…怖いよ」

「死ぬのは怖くないですか?」

「…怖いよ」
「…では何故そこまで人を助けるのですか?」

エヴァンはレオの質問に少しの間、沈黙した。
そして、悲しそうな瞳をし、レオに向かってこう答えた。




「…弟がいたんだ」

「!?」

「私が子供の頃、ちょうどレオと同じぐらいの弟がいてね」

エヴァンはレオにしみじみと語りだした。

「泣き虫で、おっちょこちょいで可愛いげのある弟だった」



「…でも、」

エヴァンの脳裏がその時浮かぶ。
その浮かんだ光景には、魔物がエヴァンのただ一人の弟ミシュランを手で掴み、エヴァンはその光景を見て魔物に叫んだ。

(やめろ!やめてくれ!両親が死んで、たった2人で生きてきたんた!)

幼きエヴァンを見て弟ミシュランは泣き叫んで、

(助けて兄ちゃん!死にたくない!)
魔物は泣き叫ぶ弟と、助けを乞うエヴァンに向かって面白おかしく笑い、そしてエヴァンに向けて残酷な言葉を発した。

(ハハハッ!弟を助けたいか?子供。だが残念だな~。お前の弟はこの俺様の手によって殺されるのだ。醜く憐れに虫けらみたいによ)

(人間は俺達魔物の贄だ。生かすも殺すも俺達次第)

(力なき自分に一生涯恨め~!)

……





…そして弟は首を絞められ殺された。

エヴァンは下を向き、閉じた本の上に手をおいた。そしてその本の上の所で手が震え、その時のやるせない気持ちが押し寄せていた。

自分の手を組みながらエヴァンはレオにこう言った。

「自分は無力だった。レオと同じように憤りを感じ、自分だけ生きていていいのだと…、

でもだからこそこの生き残った命、人のために使いたい、守りたい、自分と同じ思いを二度とさせたくない、そう思い私は、魔法騎士になった」

そして、最後にボソッとエヴァンはレオにこう言った。それは、

「そうすれば、弟が救われる気がして…」


それを聞いたレオは、エヴァンにこう言った。

「俺もなります。先生みたいに修行して、みんなを守れる者に」

レオはエヴァンの話を聞いて決意を表明した。
そう、同じ思いをした者同士解ることで、二度と悲劇を起こさせたくない、力を蓄え守れる力があるならその力を使って皆を救う。
エヴァンの決意が、レオの夢に受け継がれる瞬間だった。


エヴァンはそのレオの決意を聞いてニコッとした。そしてレオの顔を見てエヴァンはこう言った。

「思えば私は、レオとミシュランを重ね合わせてかもしれないな」


「…レオ」

エヴァンはもう一度レオの顔を見てレオの名前を呼んだ。そして最後は寂しそうにレオに向かってこう言った。


「もし、私に何か起こったらその時は私を…」

「先生!」

ガバッ!

レオは目が覚めた。そうここは民家の宿屋の部屋で、人助けの任務を終えたレオは宿屋に泊まっていた。

「…夢か」
レオはベットから起きやがり胸をなでおこし、そして、

「…最後の先生のセリフは一体」と、一言つぶやいた。



「…まいどあり~」

「ごくっごくっごくっ…、あぁ~うめ~」

レオは店で買ったオレンジジュースを飲みほし、飲んだビンを店に返した。

「坊主、これから一人でどこ行くんだい?」

店の店員はレオに質問をした。レオは、

「先生に会いに。俺の先生、今、カルベロッカの王様してて、久しぶりに会いに行くんだ」

それを聞いた店員は驚いた顔で、

「へぇ~、そいつはすごいじゃねぇか。カルベロッカと言ったら、由緒正しき国じゃねぇか」

それを聞いたレオは満更でもないという顔をし、ニッと笑った。

だが、店員はちょっと曇った顔をしてレオにこう言った。

「でもよ~、最近あの国ちょっと変なんだぜ、なんでも昼間誰も人がいなくて薄暗くてよ。この間もあの国にちょっと用事があるからと行った奴もいるんだがまだ戻ってこなくてよ」

それを聞いたレオは驚き戸惑った。

「一体どうなってんだか」
店員の話をここで終わり、レオはとりあえず城に向かうとした。店員は、何かあったらすぐ帰れよと言い、レオを心配そうに見送った。



西へ3キロ、北に1キロ。
レオをカルベロッカに着いた。そして場内はあの時の店員のおっちゃんが言ってた通り誰もいなくて、辺りはシンとしてた。

「とりあえず中に入るか、…よっと」

レオは場壁の塀をよじ登り、そこから中に入った。


「誰かいますか~?いないか」
レオは町に入り声をかけた。

「ほんとに誰もいないんだな」

町の中は廃れ、物だけが残っている状態。それもなんか慌ただしく荒れてる雰囲気があり町は異様な感じだった。

「ひとまず城の中に入ってエヴァン先生と会おう。先生なら何か知ってるかもしれない」

レオが城に向かおうとしたその時、


カサ、カサ、カサ…

茂みの向こうから何やら音がした。

「誰かいるの~?」

レオは音がした方向に向かい声をかけた。

「誰かいますか~?」
レオはもう一度声をかけた。
すると羽をバサバサと暴れている音が聞こえ、鶏の鳴き声がした。

レオは音のするほうに近寄って見た。
するとそこに一人の人がおり、背をむけて立っていた。

「あの~、すいません」
レオはその人に声をかけようとした。すると、その人から背を向けた状態で鶏がバサッと落とし、振り向くと口の回りは鶏の血で赤く染まっていた。



レオは思った。

「なにこれ、ホラー?」


すると、レオの姿を見た町の住人が次々とその場から現れ、レオを凝視し、集まってきた。

そして町の住人は口々に、人間だ、人間がいるぞと言い、赤い目を光らせ、牙を出し、レオに向かって襲いかかってきた。


「わ~!」

レオは逃げた。どっからこいつら湧いてきたかはさておき、レオは城のほうに逃げ、扉の前まできた。

幸い、扉の鍵はかかってない。
レオはそのまま押し倒し、城の中に入った。


ズザァー!

レオは急いで扉に体当たりしたせいか、そのまま床に転んだ。

レオはとっさにやばい!鍵をかけなくてはと思ったが、


…追ってこない。

町の住人はまるで消えたかのように、足音ひとつしなかった。

レオは、
「おかしいな~、あれは一体何だったのだろう」と思い、城の中を見回した。

すると城の中は異常に暗く、淀んだ景色になっていた。

「なんでこんな真っ暗なん?」
レオは疑問に思った。

「…以前こんなんじゃなかったのに」
レオがそう呟くと、暗闇の中から低い声で、


「…レオ」
と呼ばれた。

レオは振り返り名前を呼ばれた方向を見た。するとそこには暗闇の中でたたずんでるエヴァンがおり、レオの顔をジッと見てた。


「エヴァン先生!」
レオはエヴァンの名前を呼び近づこうとした。だが何か違和感を感じたのか、エヴァンの表情は固く冷たく氷のような瞳をしており、レオは足を止めた。


エヴァンはレオに、
「どうした?」
と聞いた。そして、

「奥部屋に食事を用意しているので来なさい」
と冷たい口調でレオに言った。

レオは心の中で、
「なんか暗くなったな、先生」
と思いながら、食事の間についていった。


コポコポコポ…
(エヴァンが赤ワインを入れる音)


「………」

レオとエヴァンは食卓のテーブルに席をついた。
そしてテーブルの上には飲み物と銀の蓋でかぶせられた食べ物が置いてあり、エヴァンはレオに向かってこう言った。


「…今日はあなたの好きなステーキを用意させて頂きました。さあ、覚めないうちに食べなさい」


それを聞いたレオは両手を上にあげ、顔を喜ばせ叫んだ。

「ステーキ!やった~。俺、めちゃめちゃお腹すいてたんだよね~。頂き…」
レオは蓋をあけ、ナイフとフォークを持ち食べようとした。…が、その前にレオはエヴァンに疑問をぶつけ、質問をした。

「…そういえば、先生、ティファー王妃が見当たらないんですが、一緒じゃないんですか?」


それを聞いたエヴァンは少し間をあけ、冷淡な口調で答えた。


「…ティファーは今体調が悪く療養中でね。現在は私一人で行動している」

そういい、エヴァンは皿の上に乗ってるステーキをナイフとフォークで切り、口に運んだ。


レオはエヴァンの態度を見て、やはりおかしいと思った。

なぜなら、えらく淡々とした態度で、エヴァン自身暗く冷たい人間になったからだ。
以前のエヴァンなら、何やかのアクションも出し、表情もやわらかく優しかった。それがここに座ってるエヴァンは、表情も暗く、冷たい。

そして、なによりそれに応じてか、全体的に部屋も暗い。

白をモチーフにしていた城だったが、薄暗く淀みきっている。

レオは思った。
これじゃ映画に出てくるドラキュラの城だ。



…ん?、ドラキュラ?

そういえば、町の連中も赤い目をし牙を尖らせ、鶏の血を吸ってた。

そう、まるで吸血鬼みたいに…。

レオはもう一度エヴァンの顔を見た。
そしてまた質問しようとした所、エヴァンもレオの方を見ており、レオは萎縮し、とっさにステーキを食べようとした。

…が、何故かレオが食べようとした肉があまり焼けてなくほぼ血塗れ近いレアだった。
(しかも、飲み物トマトジュース)


レオは試行錯誤しながらそのステーキを食べた。
(※よい子はきちんと焼いて食べてください。でないとお腹大変な事になります)

レオが下を向いて一生懸命食べてる時、エヴァンはずっと冷たい視線でジッと見ていた。

「………」


だが、この時、エヴァンはレオの顔を見ていなかった。この時なんと、レオの首に視線をおくっていたのである。

「ハァハァハァ…」

吸血衝動が彼を襲う。
やがてエヴァンは呼吸が乱れ、顔から冷や汗を出した。
そして左手で顔を抑え、無言で席を立ち、よろめきながらレオを置いて暗い部屋に吸い込まれるように消えた。


「エヴァン先生!」

レオはエヴァンの名前を呼び、どこに行くのか呼び止めた。
だが、エヴァンはもうその場にはいなく、レオの事など無視をし出ていった。

レオはエヴァンの行動を見て、

「やっぱり、かなりおかしいな、先生。」
と言い、エヴァンが消えた扉に後を追った。


カンカンカン…。


薄暗い階段を一歩一歩降りるレオ。
レオはエヴァンの後を追うために地下の階段を降りた。
レオは辺りを見回して、

「あの扉からこんな地下に通じるなんて…。それにしても深いな。なんか牢屋とかあるみたいだけど、薄気味悪いな。」

レオはそう言いながら、たくさんの牢屋を見ながら歩いた。
そしてその中に一つ、奥の牢屋から何やら声が聞こえた。


「何だろう?誰かいる。」

レオは声のする方向に近づいてみた。

「女の人のようだが…。」

レオは薄暗い道の中、恐る恐る近づいてみた。

するとその光景には、女の人が暗い牢屋の中で上から両手をロープで吊るされており、そしてその女の人の対面にはなんと、赤い瞳をしたエヴァンがいた。


「エヴァン先生!なんで…?」

レオは何故こんな所でいるのか驚いた。
…っと同時に、なんたるアダルティックな光景なんだと、レオは思った。
吊るされた女はエヴァンに向かって泣きながら何か言った。それは、

「助けて下さい。陛下…。」

それを聞いたレオは、助ける?助けるってどういう意味だと疑問に思った。

すると女はもう一度エヴァンに向かって、

「助けて下さい。私…」

女の人が助けを乞うとエヴァンは怖い眼をして女に近寄った。そして彼女の後ろ首に手を回し視線を併せた。
彼女は涙をこぼしながら、最後に怯えてエヴァンにこう言った。それは、

「私…、


吸血鬼になんかなりたくない!」

そう女の人がが泣き叫ぶと、エヴァンは女の首元に鋭い牙でかぶりついた。

「いやあぁ~!!」

血が首筋を通してポタポタと地面に滴る。

そして吊るされた女はやがて意識を失い、グダッと吊るされたまま、前屈みに倒れた。

「………。」

エヴァンはその倒れた女の姿を見て、赤い瞳でジッと見た。

やがて、倒れた女は体が痙攣をおこし、口はつり上がり、獣のような低い声をだしながらエヴァンの方を見た。

「グゥゥ~…、シャアァ~。」

エヴァンは吸血鬼になった女に近づき首に手をかけた。

そして、そのまま女の血がついたままの口でキスをし、舌をからませ舐めあった。

クチュッ、クチュッ、クチュッ…。

その光景を見て、ドン引きするレオ。

レオは、
(何?この光景、何?このプレイ)と思いながら背を向けた。

レオは、この異常な光景を見て思った。

「一体何なん?先生が女の人に噛みついた瞬間、人間が吸血鬼になった。町の人も吸血鬼になってたし、まさか先生が吸血鬼を増やしているなんて…。」

レオはこの状況を見て、先生って吸血鬼なん?と思った。
…っと、同時にばかな、吸血鬼なんて存在するはずが…と、どうも疑問を持っていた。

そう、レオの中では吸血鬼はおとぎ話の話だと冷めていたからだ。

だいたいなんで先生が吸血鬼なんだよ。先生は俺とほぼずっと一緒にいたけど人間だぞ?


…吸血鬼なんて。


「…いや、まてよ。」
レオは一つピンとくる物があった。

「今って確か10月終わり頃だよな。」

「10月終わり頃といったらあの日だよな。」

「…先生、まさか。」

そしてレオはもう一度、吊るされた女の方を見た。すると、吸血鬼になった女の方はいるが、エヴァンがいない。

レオは暗闇の中、キョロキョロ辺りを見回した。

すると薄暗い闇の中、後ろからスーと長い赤い爪がレオの肩に絡み付いた。

ビクッ!

レオは硬直した。
なんかこの手、普通の手ではない。

そしてレオの後ろでエヴァンは、低い声でレオに向かって囁いたのである。

「…やっぱりついてきましたね、レオ。残念ですよ」

レオは後ろを振り返ろうとした。だが緊張で振り返る事ができない。

エヴァンはそんなレオの姿を見て、なおかつ口をレオの耳元に寄せた。

そしてそっと、エヴァンはレオの耳元で、愛しいレオと囁き、彼の首を舐めた。

ゾクッ!

レオはその行為に対し、身震いした。そして、いくらなんでも変態すぎだろうと思いレオはエヴァンに向けて振り返りこう言った。

「先生!いい加減にして下さい!いくらなんでもやり過ぎです!俺を騙そうっと思っても騙せませんよ!」
レオはエヴァンの方に指を差し、怒って怒鳴りつけた。そう、この時レオはハロウィーンも近い事ながら、国中みんなで演技をし、エヴァンが盛大にレオを騙そうとするんじゃないかなと思ったからだ。

レオの回想はこんな感じである。


パンパカパーン!

レオの回りにたくさんのクラッカーが鳴る。

レオがクラッカーに驚いていると、エヴァンが後ろから木のプラカードを持ってきて、レオに見せた。

そしてレオの前に来てエヴァンは満面の笑みを浮かべ、レオにこう言った。


「じゃ~ん!ドッキリ大成功!どうですか?私達の演技は?」

エヴァンは話を続け、

「ほら、もうすぐハロウィーンじゃないですか?せっかく久しぶりにレオに会うんだから何かサプライズしようかと思ってね」

エヴァンはレオの前でペラペラと話を続けた。そして彼の脚本は吸血鬼を題材にしたテーマを選んだとレオに言った。

レオはエヴァンのその言葉を聞いて、

「やっぱ、そうだろうと思いました。先生って昔からこんなおふざけ好きですもんね。…で、あの女の人はどこからスカウトしたのです?よく先生のこんな悪趣味のシーンに付き合ってくれましたね」

そうレオが話すと、エヴァンは彼女の方を向いて、

「迫真の演技でしょ、彼女女優の卵なんですよ(因みに私の口から血を出してる液体は口の中で赤いカプセルを噛みましてね)」
と、エヴァンはレオに言い、ニッコリと笑った。
それを聞いてレオは、
「そうですか、女優の卵ですか…。
(あんな役させられて可哀想に…)
所で…」

レオはエヴァンの顔をジッと見た。そして、エヴァンに向けて王妃は一体どこにいるんですか?と質問をした。
それを聞いたエヴァンはチラッと横目で見て、
「…姫は」
と、呟いた。

すると後ろからレオに向かって、
「レ~オ」
といきなりティファーがレオに抱きついた。

そしてレオに、
「大きくなったわね」
と言い、レオを前に向かせそのままぎゅうっと抱き締めた。

レオは心の中で、
(あの、すいません。パイパイがもろに顔にあたってるんですけど…)
と思った。

王妃はレオを抱き締めながらレオに、

「心待ちしたのよ」
と伝えた。

そしてエヴァンに、

「そろそろレオを交えて、ご飯にしましょう」
と言った。

エヴァンもそれを聞き、
「そうだね」
と答え、レオと王妃を連れ食卓に向かおうとした。


レオの回想シーンはここで終わりである。

レオはエヴァンにビシッと、
「こんな感じでしょ!」
と伝え指を指した。

そしてレオは、エヴァンに向けて、
「おふざけタイムは終わりです!」
と言い、周りをキョロキョロした。

そして、薄暗い暗闇の中で、

「王妃!先生の近くにいるのはわかってるんですよ!隠れてないで出てきて下さい!」
と、声をあげ叫んだ。

その時だった!


バコンッ!!!!


レオが辺りを見回してると、いきなりエヴァンが思いっきりレオに殴りかかった。


ガラガラガラ…。

レオは間一髪その一撃を避け、そして驚いた表情で砕けた壁を見て、驚愕した。

なんと、通常では考えられない破壊力があり、壁は大部分粉々になり、パラパラと音をたてていた。

「エ…、エヴァン先生?」

レオは恐る恐るエヴァンの方を見た。

するとそこには、恐ろしい形相をしたエヴァンがレオの方を見ており、目は真っ赤に血走り、口は裂け、睨んでいた。


「あっあぁ…、せ、先生?」

その光景を見て、たじろくレオ。
そしてレオはエヴァンを見てこう思った。


「何?この壁?この威力?普通じゃありえない割れ方してるんですけど…」

レオは驚きながら、頭の中でハッとして、

「そういえば本で読んだことがある。吸血鬼って人間の腕力が三倍になるって…」

レオはもう一度エヴァンを見た。するとエヴァンは低い声をあげながらレオの方を振り返り、襲いかかるような体勢だった。

レオは額に汗を流しながら、

「…先生まさか」

「冗談抜きで…」

エヴァンの顔が徐々に歪む。そして殺気を放ちながらジリジリと一歩一歩レオに近づくエヴァン。

「レ~オォォ~!!」

エヴァンはレオが聞いたこともない声で、名前を呼んだ。

そして、どす黒い唸り声をあげながら、レオに向かってこう叫んだ。それは、



「喰わせろ!レオオォォー!!!!!!」


「うっ…!ああぁぁぁ~!!!」

恐怖に怯え、全力で逃げるレオ。
それに連なってエヴァンも、喰い殺すような勢いでレオを追いかけ走った。


「ガアァァー!!!」

「ひぃ~!!!」

レオは急いで階段を登った。
深い長い階段を登るなか、エヴァンの荒れ狂った表情を見てこう思った。

やばい!逃げなきゃ殺される!

爪や牙も怖いが、なによりあの血走った赤い眼!
一匹の獲物を狙う眼であり、俺を餌としか見ていない。


あんなっ、優しい先生が、こんなっ、ユーモア溢れる先生が、ここまで豹変するなんて…。

なんで?
なんで先生が、あんな恐ろしい吸血鬼なんかに!?

レオは逃げる中、エヴァンに対して恐怖でいっぱいだった。っと同時に、なぜエヴァンが吸血鬼になったのか疑問でいっぱいだった。

階段を上り終わると、例の食卓があった部屋に出てきた。
レオは急いでその部屋から飛び出し、ひとまず隠れる部屋を探した。

「どこか、どこか身を隠さないと…」

レオは急いで、エヴァンに見つからないよう、安全な場所の部屋を探した。

すると数多い部屋の中、一つの部屋が目に入った。

そこは、大きくて広い部屋。だが、そこの部屋には隠れる事ができる小さな小部屋が存在しており、レオはその部屋の隙間に入って隠れる事にした。


「…ハァハァハァ」
息をきらし、口を押さえるレオ。

レオは隠れながら、
「絶対に捕まっちゃ駄目だ。もし捕まってしまえば、首を絞められ殺される」

レオが口を塞ぎ、待っていると、


カツンッ…、カツンッ…、カツンッ…。


どこからか知らないが、渡り廊下を歩くエヴァンの足音が、カツンカツンと音を鳴らしながら近寄ってきた。

「…………」

レオが息をこらし、口を押さえていると、エヴァンは上機嫌な声で、


「レ~オ~♪出てきなさい。隠れても無駄ですよ~。先生喉がかわいちゃって、君の血が欲しくてたまらないんだ。何人も、何人も、多くの血を頂いたんだけど、飲めば飲むほど渇きが酷くなっちゃってさ」

レオはエヴァンのそれを聞いて、

「絶対に普通じゃない、先生、頭イカれてる」
と思い、エヴァンに見つからないよう、一生懸命震えながら、身を潜めた。


エヴァンはしつこくレオの名前を呼び、

「レ~オ♪出てきなさい。出てきたら優しくしてあげますよ。痛い思いはしたくないですよね。なに、一瞬で終わりますよ。先生を助けて下さいよ。昔はなんでも助け合った仲じゃないですか」


「レ~オ♪」

カツンッ、カツンッ…。


そう言い、エヴァンはレオの部屋の前を横切り通りすぎた。そしてそのままエヴァンはレオの名前を呼びながらカツンッカツンッと足音を鳴らし、やがてその足音が聞こえなくなった。


レオは、
「…行ったか」
と口に出し、安堵の表情を浮かべ胸を撫で下ろした。そして大きく深呼吸をし、
「めちゃくちゃ怖かった」
と足が震え、涙目になっていた。

やがて、少ししてから落ち着き、暗闇の中、レオは辺りを見回した。

そして、一刻も早くその場から離れようとした所、壁の向こうからボソっと恐ろしい声が聞こえた。

壁伝えで話す声、それは眼を赤くしたエヴァンだった。


「…知ってるんですよ、レオ。ここに小部屋がある事を…」

ピシッ!!!

「!!」

「やばい!!」

レオは壁のひび割れを見て急いで小部屋から出た。


バカンッ!!!

ガラガラガラ…

小部屋の壁が、ガラガラガラと崩れさる。
エヴァンは右手で壁を押さえ、壁をなぎ倒した。
そして崩れた壁からレオのいる部屋に入り、笑みを浮かべながらレオが逃げた場所まで歩み寄った。

「クックックックッ…」

不気味な笑いをしながらレオに近づくエヴァン。
レオはエヴァンの表情を見て、

「やばい!殺される!このままじゃなぶり殺しにされるか、血を吸われ喰われる…。なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ…、くそっ!戦わないと…、殺される!」


バッ!

レオはこのまま何もしなければ殺されると思い、戦闘体勢に入り、構えた。

エヴァンはそのレオの姿勢を見て、右手の人差し指の赤い爪をペロッと舐めた。そしてレオを凝視し、ニヤケながら彼を睨んだ。


そう、ここにはかつて英雄だった魔法騎士のエヴァンはいない。
ここにいるのは血塗られた一匹の吸血鬼と、魔法使いのレオだけ。

レオは頬から汗をかきながら、頭の中で試行錯誤した。

相手は吸血鬼、腕力は人間の数倍はあるので、絶対にくらってはいけない。
くらえば命ないものと思い、心して注意せよ。

後、絶対に捕まってはいけない。捕まれば首を絞められ、確実に殺される。

以上の二点をふまえ、最新の注意を促せよ。


ボッ!!

レオの右手の拳から激しい炎が舞う。
レオはエヴァンの方に睨み付けて、

「手加減はしませんよ、先生。全力で戦わせて頂きます」

といい、戦闘体勢に入った。
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