再会
文字数 889文字
シラコとエストラット両国の国境に小さな港町がある。大型船は入ってこれない。沖に島が1つあった。そこには豊かな魚場があり、大型船も直接入れる大きな港がある。両国は遥か昔から幾度と無くこの島をめぐって争いを起こした。やがて、周辺の国々からの脅威が増し、休戦することになった。島とそこへ渡る港町は両国共有の自治区とされた。貴族の支配はない。男達は皆漁に出る。漁に出れない老人と女性がこの地を治めてきた。
港は多くの人でにぎわっていた。この港と島は年に数回、海の水が引き陸続きとなる。その時は歩いて島へと渡ることができた。それを目当てにたくさんの観光客が訪れるのだ。その中にトットと牡鹿がいた。かれらは町外れの猟師の家に入った。しばらくすると、白い虎を連れたイゴーもやってきた。
「こうして集まるのは何年ぶりかなあ。」
イゴーの豪快な声が室内に響く。
「十年ぶりだ。」
トットの甲高い声だ。部屋には、ゼノとカナタもいた。
「その子が人の『器』ですか。」
漁から帰ってきた家の主がしゃがれた声でゼノに尋ねる。
「そうだ。他に馬とワシの『器』も丘に隠してきた。」
ゼノはカナタに額宛を外させた。以前にもまして模様は濃くなっていた。
「おれは変なやつに好かれちまって、結局ここまで連れてきちまった。」
トットは緋色模様の角の牡鹿の話をした。
「でかした。そいつは鹿の『器』だ。イゴーに預けた虎の子も『器』だった。」
ゼノは出された酒を飲みながらトットに告げた。
「皆さんはお知り合いですか?」
カナタが隣にいたイゴーにそっと尋ねた。イゴーは少し驚いた様子でゼノを横目で見た。
「なんだ、団長から聞いてないのか?」
そして自慢げにこう言い放った。
「小僧、聞いて驚け。そこの老人こそシラコで斬撃の速さでは随一と恐れられた、われらが近衛第一師団長、斬風のゼノンである。」
「昔の話だ。それに近衛第一師団はもう存在しない。」
ゼノはそう言うと酒を置いて立ち上がり、外へ出て行った。
「この話になるといつも逃げ出すんだ。こっぱずかしいみたいだ。」
イゴーはさら話を続けた。
港は多くの人でにぎわっていた。この港と島は年に数回、海の水が引き陸続きとなる。その時は歩いて島へと渡ることができた。それを目当てにたくさんの観光客が訪れるのだ。その中にトットと牡鹿がいた。かれらは町外れの猟師の家に入った。しばらくすると、白い虎を連れたイゴーもやってきた。
「こうして集まるのは何年ぶりかなあ。」
イゴーの豪快な声が室内に響く。
「十年ぶりだ。」
トットの甲高い声だ。部屋には、ゼノとカナタもいた。
「その子が人の『器』ですか。」
漁から帰ってきた家の主がしゃがれた声でゼノに尋ねる。
「そうだ。他に馬とワシの『器』も丘に隠してきた。」
ゼノはカナタに額宛を外させた。以前にもまして模様は濃くなっていた。
「おれは変なやつに好かれちまって、結局ここまで連れてきちまった。」
トットは緋色模様の角の牡鹿の話をした。
「でかした。そいつは鹿の『器』だ。イゴーに預けた虎の子も『器』だった。」
ゼノは出された酒を飲みながらトットに告げた。
「皆さんはお知り合いですか?」
カナタが隣にいたイゴーにそっと尋ねた。イゴーは少し驚いた様子でゼノを横目で見た。
「なんだ、団長から聞いてないのか?」
そして自慢げにこう言い放った。
「小僧、聞いて驚け。そこの老人こそシラコで斬撃の速さでは随一と恐れられた、われらが近衛第一師団長、斬風のゼノンである。」
「昔の話だ。それに近衛第一師団はもう存在しない。」
ゼノはそう言うと酒を置いて立ち上がり、外へ出て行った。
「この話になるといつも逃げ出すんだ。こっぱずかしいみたいだ。」
イゴーはさら話を続けた。