恵央駅
文字数 1,313文字
とりあえず、状況を整理しておこうか。
まず、この子が駅長。
駅長です！
で、こっちが車掌。
車掌です！
双子…？
そうだよ！
そうだよ！
かわいいですね！
かわいいのはともかく。
この子達があの機械でコピーされて、偽物が量産されてるんだ。
麻矢さんももう見たかい？
ふふん。二人倒しましたよ。
最後の一人から逃げてる時にここに迷い込んだみたいです。
で、とりあえず見つけたこれに隠れました。
…コピー機っていうのは？
車掌ー！
駅長ー！
とりあえず結果だけ言うと、麻矢さんの偽物まで作られちゃったみたいなんだ。
私の、偽物…。
化け物みたいな身体に私の顔とか嫌ですよ…？
そんなクソコラみたいなやつだったらまだよかったかも。
実は、きつねやまさんもここに来てるんだ。
あぁ、やっぱりいるんだ…
なんとなーく察しがつきました。
あの人、私の偽物と先に駅に戻ってるんですね。
そういうこと。
それじゃあ、行きましょうか。
タイムリミットも近いみたいですし。
行こう！
出発進行！
外は危ないから、静かにしてね！
はーい！
わかったー！
二人とも、随分懐いてますね。
兄曰く、レベルが近いから仲良くなりやすいとか。
なんとなく納得出来ました。神楽坂くんらしいですね。
15分後ｰｰ
恵央駅。
神楽坂、遅かっ、た、な…？
早く帰りましょう。
もう疲れました。帰りたいです。
はぁ…何してんですかあなたは。
由香里が…二人…！？
きつねやまさん、こっちが本物の麻矢さんです。
その人、偽物ですよ。
何！？
わー！あのおねえさんも双子なんだー！
僕達と一緒だねー！
早く行きましょう。
ほら、ちゃっちゃとその偽物始末してください。
偽物の麻矢さんは中身が全然違いますからね。
あくまで見た目と喋り方だけ真似してるだけです。
というか、こっちが本物なので見分ける必要もないですけど。
だ、だが！見た目は二人とも由香里なんだぞ！
始末だなんてそんな！
早く行きましょう。
電車に乗りますよ。
ゆ、由香里…。
本物の私が腕なんか組むわけないでしょ気持ち悪い。
早く気付きなさい馬鹿者。
で、でも小さい頃はよくこうやって…
余計なこと言わなくていい！！この馬鹿！！
小さい頃…？
ど、どっちだ！どっちを選べば…！！
というか、選べないよ！！
はぁ…。
なんですか、そんな小賢しい真似に引っかかるんですか。
小さい頃とたまたま同じようなことしてるだけでそんな簡単に騙されるんですか。
もういいです、なんかだんだん腹立ってきました。
麻矢さん？
本物って証明してきます。
恥ずかしいので見ないでください。
ゆ、由香里…？
お兄ちゃん。早く帰ろ。
あ、あぁ…
泣かないでください気持ち悪い。
ほら、どっちが本物かわかったでしょ。
で、でもやっぱり始末するのは…！
もう知るかこの馬鹿！！
勝手にしろ！！
神楽坂くん！帰りますよ！
ま、待ってくれ！！
なぁ、神楽坂くんからも何か言ってくれよ！
これはあなたが悪い。
そんなぁ！
間もなく、恵西駅行き、3時発、普通列車が発車いたしまーす！
駆け込み乗車はおやめくださーい！
駅長さん！車掌さん！また来ますからね！
ほんとに置いてくの？
どうせ死にやしませんよあんなの！
せいぜい偽物の私と楽しく過ごせばいいんじゃないですかね！
ドアが閉まりまーす！
出発進行ー！
由香里ぃぃぃぃぃぃぃぃ！！！！
