第四章 ゴールデン・リボン(12)
文字数 2,228文字
ここから運と勘が全てのリボン引きガチンコ勝負が始まる。
最も懸念材料だった最後にピンク・リボンを押しつけられる恐怖も払拭され、肩の上にずっしりとのっかっていた引き番2番手という重圧が真綿のように軽くなった。
絶対によしえに追いついて、最終7回戦へ縺れ込んでみせる。
そのよしえが選んだホワイト・リボンは「-10P」。
背中が見えた。
15ポイント差。
『パス』がなければあと3巡のデスマッチ。
5巡目。
大きなプラスを引かないと逆転の目のない商社は、リスクは承知の上で「30P」狙いのレッド・リボンを選択。
だけど、そうは問屋が卸さない。
逆に「-20P」を引いてしまい、この回の商社の目は完全に消えた。
残りのレッド・リボンは2本。
「-30P」と「30P」。
どのプレイヤーにとってもここを選択することは一か八か、天国か地獄かの大博打となる。
万が一にも「-30P」を引くことは許されない沙織はホワイト・リボンを選択した。
お願い、プラスよ出て頂戴。
懸命に祈ったけど、結果は「0P」。
あ~ん、もう!
腹立たしいけど、ここは耐えるしかない。
一方よしえは、これ見よがしに「15P」を引き当て、リボン引きガチンコ勝負第1ラウンドはよしえに軍配が上がる。
かーーーーっ、腹立つわ!
でも、まだまだ勝負はこれからよ。
6巡目。
この回の勝利の目は完全に消えている商社ではあるけど、彼の選ぶリボンを固唾を飲んで見守った。
何故なら、その選択如何によってはこのゲームが決まってしまうかもしれないからだ。
商社が2位を狙って「30P」を獲りにレッド・リボン勝負にいった場合、商社が2分の1の確率をはずして「-30P」の方を選択してくれると、玄は労せずして「30P」を獲得することができる。
反対に商社が希望通りの「30P」の方を引いてしまうと、お決まりの『パス』2回攻撃によって、最後に玄は「-30P」を押しつけられるという悪夢が巡ってくる。
さて商社はどう出るか?
勝負に来るのか、来ないのか?
間違いなくよしえも画面に釘付けのはず。
果たして、商社の選んだリボンはホワイト・リボンだった。
賢明な選択だと思った。
仮にここで「30P」を引き、2位を確保できたとしてもよしえに勝たれてしまっては意味がない。
それならば、よしえが勝ちにくいリボンを残すことが、今は何よりも優先される。
「-30P」の在りかが分ってしまえば、よしえはそれを選択しないように回避し、且つそれを玄に押しつける作戦をとる。
よしえにとっては楽な展開だ。
商社はそれだけは避けたいはず。
だから最後まで「-30P」の在りかを不鮮明にし、よしえに楽をさせないようにする。
ホワイト・リボンの選択は賢明だ。
沙織の引き番。
勿論この巡目での冒険もできない。
それならホワイト・リボンを選ぶのが妥当、と思えるけど、事はそんなに単純ではない。
私がここでホワイト・リボンを選んでも他のプレイヤーもホワイト・リボンを選ぶから、次巡7巡目の引き番の時、やっぱり2本のレッド・リボンが巡ってくる。
その時、ホワイト・リボンの残りはない。
仮に、リスク回避で『パス』を使ったとしても次のよしえも『パス』を使い、商社が1本引いた残りのレッド・リボンが私に回ってくる。
つまり私はどう転んでもこの残っているレッド・リボン「-30P」、「30P」のうち1本は引かなければならないということだ。
問題はいつ引くか、それとも引かされるかだ。
悩み考えた末にホワイト・リボンを選択した。
いつかは引かなければならないレッド・リボンなら、ここで思い切って引く手はあったのだけど、今回の場合に限りもう1つの可能性に気付いたからだ。
商社が玄を助けるという可能性。
よしえに勝たせないようにするため商社が自ら「-30P」を引くことも考えられるのだ。そのために1巡様子を見た。
沙織が選んだ①の先には「15P」とあった。
ほっとため息が漏れた。
何とかプラスポイントを引くことができた。
まだ首の皮一枚繋がっている。
よしえは1つ目の『パス』を行使した。
これも想定通りの行動だ。
玄に最後のリボンを押しつけるためには『パス』は2回行わなければならないけど、商社に『パス』を期待しても展開によっては商社が『パス』を使わずリボンの方を引いてしまう可能性があるからだ。
そういう場合に備えて自分で『パス』が2回できるよう、この6巡目で1度『パス』を使っておく必要があるのだ。
よしえクラスなら当然の行動だけど、やはり隙はない。
近いようで遠い15P。
届くか、どうか?
届かなければ、勿論それで終わり。
今、商社も必死に考えているはず。
どうすればこの6回戦で玄に勝たせることができるかを。
勝たす確率が高くなるかを。
残っているリボンはたったの4本。
レッド・リボンが「30P」と「-30P」、ホワイト・リボンが「5P」と「-15P」。
現在、玄はよしえに15P負けている。よって玄が勝つには玄がプラスを引いてよしえがマイナスを引くことが最低条件となる。
商社の選択肢は3つ。
レッド・リボンか、ホワイト・リボンか、『パス』か。
一見どれを選んでも確率は5割で同じように見えるけど、おそらく商社が選ぶ選択肢は……。
そう、今まさに彼が選んだホワイト・リボンしかありえない。
明確な、論理的根拠がある。
最も懸念材料だった最後にピンク・リボンを押しつけられる恐怖も払拭され、肩の上にずっしりとのっかっていた引き番2番手という重圧が真綿のように軽くなった。
絶対によしえに追いついて、最終7回戦へ縺れ込んでみせる。
そのよしえが選んだホワイト・リボンは「-10P」。
背中が見えた。
15ポイント差。
『パス』がなければあと3巡のデスマッチ。
5巡目。
大きなプラスを引かないと逆転の目のない商社は、リスクは承知の上で「30P」狙いのレッド・リボンを選択。
だけど、そうは問屋が卸さない。
逆に「-20P」を引いてしまい、この回の商社の目は完全に消えた。
残りのレッド・リボンは2本。
「-30P」と「30P」。
どのプレイヤーにとってもここを選択することは一か八か、天国か地獄かの大博打となる。
万が一にも「-30P」を引くことは許されない沙織はホワイト・リボンを選択した。
お願い、プラスよ出て頂戴。
懸命に祈ったけど、結果は「0P」。
あ~ん、もう!
腹立たしいけど、ここは耐えるしかない。
一方よしえは、これ見よがしに「15P」を引き当て、リボン引きガチンコ勝負第1ラウンドはよしえに軍配が上がる。
かーーーーっ、腹立つわ!
でも、まだまだ勝負はこれからよ。
6巡目。
この回の勝利の目は完全に消えている商社ではあるけど、彼の選ぶリボンを固唾を飲んで見守った。
何故なら、その選択如何によってはこのゲームが決まってしまうかもしれないからだ。
商社が2位を狙って「30P」を獲りにレッド・リボン勝負にいった場合、商社が2分の1の確率をはずして「-30P」の方を選択してくれると、玄は労せずして「30P」を獲得することができる。
反対に商社が希望通りの「30P」の方を引いてしまうと、お決まりの『パス』2回攻撃によって、最後に玄は「-30P」を押しつけられるという悪夢が巡ってくる。
さて商社はどう出るか?
勝負に来るのか、来ないのか?
間違いなくよしえも画面に釘付けのはず。
果たして、商社の選んだリボンはホワイト・リボンだった。
賢明な選択だと思った。
仮にここで「30P」を引き、2位を確保できたとしてもよしえに勝たれてしまっては意味がない。
それならば、よしえが勝ちにくいリボンを残すことが、今は何よりも優先される。
「-30P」の在りかが分ってしまえば、よしえはそれを選択しないように回避し、且つそれを玄に押しつける作戦をとる。
よしえにとっては楽な展開だ。
商社はそれだけは避けたいはず。
だから最後まで「-30P」の在りかを不鮮明にし、よしえに楽をさせないようにする。
ホワイト・リボンの選択は賢明だ。
沙織の引き番。
勿論この巡目での冒険もできない。
それならホワイト・リボンを選ぶのが妥当、と思えるけど、事はそんなに単純ではない。
私がここでホワイト・リボンを選んでも他のプレイヤーもホワイト・リボンを選ぶから、次巡7巡目の引き番の時、やっぱり2本のレッド・リボンが巡ってくる。
その時、ホワイト・リボンの残りはない。
仮に、リスク回避で『パス』を使ったとしても次のよしえも『パス』を使い、商社が1本引いた残りのレッド・リボンが私に回ってくる。
つまり私はどう転んでもこの残っているレッド・リボン「-30P」、「30P」のうち1本は引かなければならないということだ。
問題はいつ引くか、それとも引かされるかだ。
悩み考えた末にホワイト・リボンを選択した。
いつかは引かなければならないレッド・リボンなら、ここで思い切って引く手はあったのだけど、今回の場合に限りもう1つの可能性に気付いたからだ。
商社が玄を助けるという可能性。
よしえに勝たせないようにするため商社が自ら「-30P」を引くことも考えられるのだ。そのために1巡様子を見た。
沙織が選んだ①の先には「15P」とあった。
ほっとため息が漏れた。
何とかプラスポイントを引くことができた。
まだ首の皮一枚繋がっている。
よしえは1つ目の『パス』を行使した。
これも想定通りの行動だ。
玄に最後のリボンを押しつけるためには『パス』は2回行わなければならないけど、商社に『パス』を期待しても展開によっては商社が『パス』を使わずリボンの方を引いてしまう可能性があるからだ。
そういう場合に備えて自分で『パス』が2回できるよう、この6巡目で1度『パス』を使っておく必要があるのだ。
よしえクラスなら当然の行動だけど、やはり隙はない。
近いようで遠い15P。
届くか、どうか?
届かなければ、勿論それで終わり。
今、商社も必死に考えているはず。
どうすればこの6回戦で玄に勝たせることができるかを。
勝たす確率が高くなるかを。
残っているリボンはたったの4本。
レッド・リボンが「30P」と「-30P」、ホワイト・リボンが「5P」と「-15P」。
現在、玄はよしえに15P負けている。よって玄が勝つには玄がプラスを引いてよしえがマイナスを引くことが最低条件となる。
商社の選択肢は3つ。
レッド・リボンか、ホワイト・リボンか、『パス』か。
一見どれを選んでも確率は5割で同じように見えるけど、おそらく商社が選ぶ選択肢は……。
そう、今まさに彼が選んだホワイト・リボンしかありえない。
明確な、論理的根拠がある。