初恋

文字数 936文字

初恋って、いつだったのかな。

あらためて考えてみると、よくわからないのだけれど。

照れとか、嬉しさとか、憧れとか、

それぞれに、衝撃的に感じた出会いがあったな。

あれ、かなでじゃないのか?初恋。
うん。ずっとそう思っていたし、今もこうして話し始めるまではそう思っていたのだけれど。

なんだか違う気もしてきたんだ。

消えない憧れ。

それは今も、ずっと残っているかな。

その気持ちに、「初めて」をあげたい、なんて思ったりしたんだ。

なんだか詩的だな。

その憧れというやつの正体は、わかっているのか?

そうだね。結局は、自分の中にある、言いようもない無力感や孤独を、埋めてくれる存在なのだと思うよ。

相手を大切に思っているようでいて、

相手を大切に思っている自分に、安心するような。

なるほど、深いな。

相手を思っているようで、自分の安心のため。

また自問自答して、自己嫌悪に陥りそうな感じだな。

まあね。

でもこればっかりは、仕方ないのかなと思っているよ。

人って、そんなに強いものではないと思うから、

自分を大切に思ってくれる人の支えによって、

助けてもらわないと生きていけないのだと思う。

そういう意味で、かなでの存在に、救われているんだな。
うん。そうだね。

この、相手のために、と思っている強さと、

相手に寄り添ってほしい、と願っている弱さとが、

どうして異性に向くのかっていうところが、

最近考えている問いだよ。

憧れの対象が、異性である、ということについて?
そう。

僕は自分のことを男だと認識していて、

憧れの対象として異性を意識している。

これって、あたりまえのことのようで、

考えてみれば、不思議なことだと思うんだ。

最近の、LGBTというようなことがらとも関係しているか?
そうだね。

そのあたりの考え方から、自分のことをあらためて考えるようになった。

好きってなんだろう、恋ってなんだろう。

僕の中からわき起こってくる、この感情の正体はなんなのだろうか、って。

考えたこともなかったな。

確かに、好意をもつことは性別に関係ないだろうが、それが恋愛になるとき、何が違うのだろうな。

そう。なんなんだろう。

まあ、どうしても性欲のことも避けて通れない話で、なかなか話しにくいんだけど。

でも、このことも、これから一緒に考えてみたいと思っているよ。

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登場人物紹介

名前:うきよ

一見なにも不自由なく生きてきたようで

幼い頃から言い知れぬ孤独を感じていた

それでも普通のどこにでもいそうな青年。

筆者本人の心の声。

名前:いさお

うきよの数少ない友人であり理解者。

聴き役であり、一緒に考えるだけでなく

一緒に悩み生きてくれる存在。

名前:かなで

うきよの姉のような存在であり

初恋の人でもあり、常に心の支え。

いまはお互いに「大切な人」という

関係の中で安心している。

名前:うきよ(子ども時代)

時おり登場するうきよの子ども時代の心。

時に問いかけ時に応える、心の声であり

今もうきよの中で生きつづけている

素直で正直な心のあらわれ。

名前:かつお

鰹ではなくカツオでもなくかつお。

よくわからない。

でも魚だということは確か。でも喋る。

ちなみにうきよは魚好き。

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