第18話:兼六園観光と薫子探し

文字数 1,732文字

 また、茶屋街の芸妓さんと、お客様である旦那とのカップルが、夜通しの宴席を終えた後に訪れることもあった様だ。曲水には「花見橋」が架かっている。曲水には、お花以外にも風情を感じる色々な趣向が凝らされてる。ところどころにある瀬落としと呼ばれる小さな滝が、爽やかな 「せせらぎ」 を聞かせてくれる。

 その他、水の流れの中に日本庭園の粋である石や灯籠が置かれ日本的な風情を醸し出す。そして、兼六園の庭園美を演出する曲がりくねった小川は、木橋、花見橋、板橋、千歳橋、雪見橋、雁行橋、月見橋といった風情を感じる名前の橋の下を流れている。そして、最後に虹橋をくぐって霞ヶ池へと流れ込んで行く。

 広いな兼六園では、どういう順番で見学していけば良いのか迷ってしまうこともあるかと思いうが、そんな時は、曲水の流れに沿って散策されるのも良い。かなり歩いたので少し疲れ、タクシーで香林坊へ向かった。すると11時、近くなっていて、11時にオープンするレストランに入った。そこでランチを頼んで昼食を食べ始めた。

 料理を運んできた人に、昔からの老舗の水道工事、設備工事は、香林坊にあるのですかと、聞くと、よく知らないが、香林坊の百万石通りと駅近くに老舗の会社がある様ですと教えてくれた。もし、もっと知りたいのなら、店の者を呼びましょうかと言うので、手が空いた時、ちょっと教えて欲しいと告げた。

 すると10分で60歳過ぎの男性が来て会社の名前を知ってますかと聞くので知らないと言うと、金沢駅を抜けた北側に2,3軒と、もっと北の高速道路の北側に10軒位、広範囲にあると言い回るのは大変だから電話番簿を調べて行った方が良いかも知れないとアドバイスしてくれた。ここから一番近いのは、南へ行って5分の所にKR出張水道屋があると言った。

その人に、お礼を言って昼食を終えて珈琲とケーキも注文して食べると疲れも回復してきた。そして12時前に精算をして店の人にお礼を言って出て来た。言われた様に店を出て百万石通りを南下し5分してKR出張水道屋を見つけた。その会社に入り金沢で60歳台後半の外人さんの様な女性が、水道工事関係の会社の奥さんか、女主人をしていませんかと聞いた。

 すると受付の若い男性は、私にはわからないと言い、店主を呼んできますと語り、数分後、高齢の男性が来て、外人みたいな女性ねと言い、その人は痩せて、すらっとして赤毛の人か説明した。へー、そうですと言うと、もしかたら、わしらと同年代の軽部薫子ですかと聞いた。結婚したので姓は変わったのですが名前は薫子さんですと言った。

 その人なら、ここから車で20分位の北陸鉄道浅野川線の三ッ屋駅と近くのKB設備にいるが、3年前、旦那さんが倒れ心筋梗塞と亡くなったと教えてくれた。経営が厳しくなっている様だとも話した。現在、息子夫婦が、家に帰って一緒に住んでいると話した。旦那さんだった軽部真吉さんは、性格が良く、親切な男で、本当に惜しいことをしたとなげいていた。

 その話を聞いて気になったので電車で三ッ屋駅へ行き徒歩5分でKB設備へ着いた。そっと知られないように店を盗み見して店内を見ると中高年の細身で背の高い女性が座っていた。しかし、下を向いて何か書類を見ていて顔が見えなかった。数分後、電話がかかって来て顔を上げるた。顔を見ると年配で、昔とは、違っているが、顔には薫子の昔の面影が残っていた。

「顔を見て会っていくべきか、どうか、心の葛藤があり、直ぐに店に入れなかった」
「しばらく考え、もし、ここで会わなければ一生、会えないと思い心を決めた」
「店のドアを開けると、いらっしゃいませと言い薫子が顔を出した」
「私の顔を見るなり顔が青ざめた」

「もしかして清水君と言うと良く思いだしてくれたねと笑うと、やっぱりと笑顔になった」
「元気だったと聞かれ何とかと言い、実は、3年前、妻を亡くし傷心旅行だよと言った」
「すると、お気の毒にと言った」

「私も、最近、旦那が、急に亡くなった」
「最近の不景気で儲からなくなり店を閉めようと思っているのよと語った」
「幸い、旦那の残してくれた資産で、当面、生きていけると思う」
「でも、今年いっぱいで、この会社を辞めようと思っていると話した」
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