十二聖刀
文字数 1,630文字
夜桜とハネケは連合軍の戦闘状況が映るマルチモニターを眺めつつ待機していた。
≪YUKI no JYOU≫同盟の龍騎兵隊と≪メガロポリスの虎≫同盟の鬼虎隊が激突していた。
約三倍の数で勝る鬼虎隊であったが、三つの龍頭をもつ龍騎兵隊の長距離レーザーに進軍を阻まれていた。
敵はどうも陸戦タイプの<地龍隊>らしく、龍騎兵隊では防御力最強の部隊であった。
ただ、鬼虎隊のイージスシステムを装備した黄金の盾によって防御され、じわじわと距離を詰められていた。
ハネケもそれでモヤモヤが一気に晴れた。
<ボトムストライカー>は通常、飛行ユニットを追加装備しないと飛行能力を発揮できない。
しかも、それはごく低空をグライダーのように滑空できるだけで、大空を自由に飛べるような代物ではなかった。
あくまで、地裂や川を飛び越えたり、高台から地上に降りる程度の補助的なものであった。
飛行ユニットは通常、高射砲のような本拠地の防御兵器か、射撃パーツを追加するしか攻撃手段はないはずであった。
ハネケは背中の聖刀をゆっくりと抜き去った。
銀色に輝く聖刀の名は<オリハルコン>という。
十二聖刀のひとつで、古代ギリシャの哲学者プラトンによれば、伝説の古代アトランティス大陸にあったという幻の金属の名前に由来する。
夜桜の<ボトムストライカー>は山岳地帯を駆け降りて、連合軍本拠地<スカイパレス>に向かった。
ハネケはしばらく、夜桜の<ボトムストライカー>を見送っていた。
ハネケは愚痴をいいつつ、会心の笑みを浮かべた。
上空に<天龍>部隊が現れた。
ハネケの<ボトムストライカー>に銀色の翼が生えて急速上昇した。