決着。

文字数 2,041文字

助かりましたー…流石に生きた心地しなかったですよ。
流石に怪力の化物でも、あの深さに生き埋めにされれば抜け出せないわ。
あ!神楽坂くんは!
なんとか…生きてるよ…。
肋骨が2、3本折れてるけどね…。
あぁよかった。擦り傷だけですね。
え。
直接殴られてたら危なかったわよ。
ぎりぎり壁を割り込ませられたからよかったわ。
でも衝撃が確かに…。
砕け散った土の破片よ。
何はともあれ無事でよかったです。
庇うように飛び出したのに、別に割り込まなくても麻矢さんは避けてた。
そういうこと?
ふふん。
気持ちは嬉しかったですよ。
やっぱり格好つかないなぁ僕は…。
それはそうと、私のペンダント。
見つけてくれるのよね?
ちょっと待っててくださいね!取ってきます!
あ、それなら僕も…。
満身創痍でしょ。休んでてください。
ちぇ。
はい!これですよね!
あぁ、私のペンダント…。
間違いなく私のよ…。
お返しする前に、一つ確認事項が。
ねぇ、受け取ってからじゃダメなのかしら?
これ取り返したら、多分桜田さん、消えてしまいます。
…!!
ペンダントへの思いでこの世に留まっていた存在だから。
成仏、っていうのかな…。
…そう。
別にいいわよ。
実際それで未練は無いわけだし。
そう言うと思ってました。
私達がその、寂しいなーって。
私も寂しいわよ。
あなた達のおかげで、ようやくペンダントが戻ってくるんだもん。
大事な恩人よ。あなた達見てるの面白いし。
短い間だったけど、楽しかったわよ。
本当に感謝してるわ。
ツチコさんはもう現れないんですね。
もともとほとんど姿なんて現してないもの。
たった一度か二度公園にいただけで十何年も語り継がれるようになるんだから、噂はまだずーっと残るわ。
私がいなくなっても、ツチコさんの都市伝説が消えることは無い。
それを語り継ぐ人がいる限りね。
そしたら、最後にちょっとお願いが。
行かないで。っていうの以外ならいいわよ。
そもそもあなた達がそこまで私を引き止めてくれること自体不思議なんだけど。
吊り橋効果、ってことにしときますか。
神楽坂くんは単純に美人に目がないからってことにして。
ちょっと!
それで?何かしら?
はい、こっち来てください。
神楽坂くんも。
何する気?
桜田さん真ん中に。
神楽坂くんは右に。
わ、近いって…。
うふふ、ウブなのね。
もっとくっついてあげようかしら?
あんまりやると鼻血出すかもしれないので。
はい、こっち向いてー。
笑ってください!
はいチーズ!
すごいわね!カメラなのそれ!
えぇ。今の電話は進歩してますので。
目瞑っちゃったからもう一枚撮ってくれないかしら?
もちろん!
はい撮りますよ!
ねぇ、僕写真って苦手…
いいじゃないの!ほら!
わっ。
うわぁっ!
撮れました!
心臓に悪いのでやめてください…。
肩組むくらいいいじゃない。
もしかしてあなた達、手も繋いだことないんじゃないの?
私は気にならないんですけど、神楽坂くんはちょっと敏感なので。
もういいよその話!
あ、写真こんな感じです!
すっごく綺麗なのね!
よく撮れてるわね。いい笑顔してる。
…あとで僕にも送っといて。
はいはい。
さて。それじゃあそろそろ。
…わかりました。
はい。どうぞ。
ちょっと待って!
まだ何かあるの?
名前、教えてください。
お、口説くんですか?
茶々入れないでくれるかな。
桜田よ。知ってるでしょ。
下の名前もです。
…都智子。
都に、ともの智、子供の子。
ツチコって本名だったんですね!
えぇ。
奇妙な話よね。
都智子さん。
あなたは自分の最期について教えてくれましたね。
だけど、その犯人については何も言及してない。
あぁ、犯人ね。
別にもうどうでもいいの。
長いこと砂場に居すぎて、考えるの馬鹿らしくなっちゃった。
それでも。
僕達絶対に見つけます。
罪を償わせてやります。
別にいいのに。
大きく出ましたね。
たかが学生の私たちには大きなハードルじゃないでしょうか。
はっきり言って不可能に近いような。
麻矢さんが正しいわ。
気持ちは嬉しいけど、それで十分よ。
でも、神楽坂くんがやるって言ってますし。
私も手伝いますよ。
あらあら。
ありがとう。
それじゃあ、空から見守ってるわね。
えぇ。
見ててください。
あ!すみません!最後にもう一つ!
まだあるの?ほんとに最後にしてよ?
ペンダントの写真見てもいいですか!
いいわよ。
カッコいいでしょ。私の旦那様。
って言っても、結婚する前に私死んじゃったんだけどね。
やっぱり恋人だったんですね!
ほんとだ、カッコイイです!
女の直感、か。
…ん?この人どこかで…
まーた始まった。それっぽい反応。
うーん、気のせいかなあ。
それじゃ、いいかしら?
はい!
桜田さん!いや、都智子さん!ありがとうございました!
向こうでも元気でいてください。
私からも、ありがとうね。
あなた達二人は、私の大切な友達よ。
あなた達が幸せになるように、ずっと見守ってるわよ!
また会いましょう!
え、それって可能なの…?
また会える日を待ってます!
えぇ!80年くらい待ってるわ!
それじゃあね!
行っちゃいましたね。
あぁ。
帰りましょうか。
すっかり夜です。
送ってくよ。
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登場人物紹介

麻矢由香里

恵西高校の2年3組
超常現象は肯定派。

神楽坂浩二

恵西高校の1年1組。
超常現象は肯定派。

ツチコさん(?)。


公園の砂場に現れる女、という都市伝説。

地下に現れた謎の女性。
桜田と名乗っている。

魚田先生。

FBI部の一応顧問。興味が無いので最低限しか部のために働かない。

木浦
1年1組の図書委員

板垣。

1年1組。FBI部の幽霊部員その1

羽鳥。

1年1組。FBI部の幽霊部員その2

坂井。

1年1組。FBI部の幽霊部員その3

蔦凪百合子さん。

フラワーショップ蔦凪の店長さん。

おばさん。

いろんなおばさん。(使い回し)

モブ学生。

モブの学生

狐山博人。

3年3組。入部希望者、

マスター

喫茶『エル』のマスター。

少年。

とある場所で発見された少年。

少年。

とある場所で発見された少年。

麻矢由香里?

神楽坂浩一。

神楽坂浩二の兄。

恵西高校の三年生。

探偵部の部長…?

西園寺・ドラグノフ・桜子

2年3組の転入生。

モブ女子

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