メリーさんとの邂逅・三

文字数 1,168文字

うーん、詳しくって言われても………

関係がありそうな人形に心当たりは?


それは………ある。

あるんだ。

あるのか。


で、どこで拾ったんだ?

拾ったっていうか、もらった………んじゃなくて、押し付けられた。

誰に?

知り合いか?

うん、親戚の子。

なんか、怖いからあげるってさ。

女の子が好きそうな可愛い人形を、俺んちに置いてったんだよ。


ね、アタシ可愛かったでしょう?

どうして捨てたの?

あ、メリーさんは静かにしててね。

話が進まないから。

それで、いっくん。


怖いからってどういうこと?

人形が?

それとも、いっくんの顔が怖いから可愛い人形で相殺しなさいって、そういう親戚の子の思いやり?

え?

あ、そっちもあるか。


……僕はてっきり、人形のことかと。

いや、あっくんは間違ってないよ!?

くーちゃん、俺そんなに顔怖いかなっ!?

ん?

見慣れてるし、わたしは怖いと思ったことないよ。


……あぁでも、いっくんの危機感の無さには、ときどき恐怖を感じるかな。

確かに。

まぁ、それはそれとして。


親戚の子は、その人形の何が怖かったの?

えーっと。

人形から知らない女の子の笑い声が聞こえたり、いつの間にか足元にいたり……だったかな。


あの子、アタシをたくさん可愛がってくれたの。

だから嬉しくてなって、あの子のお話を聞いて笑ったり一緒にいたくて勝手に動いたこともあったわ。

でも、怖くないでしょう?

だってアタシ、可愛いお人形さんだもの。

わたしは怖くないよ。
僕も、怖くはないかな。

えっ、俺は怖いんだけど?

そう?

怪異なんて封印しちゃえばいいんだよ。


え、ふ、封印?

くーちゃんはいつも簡単そうにやってるけど、俺はごく普通の一般人だから出来ないよ。


なぁ、あっくんもそう思うだろう?

そうだね。

いっくんは怪異を引き寄せるだけで、他はポンコツだもんな。

それからな。

何処に行っても、何をしてても怪異をポンポン引き寄せる超ド級のホイホイは、普通とは言わないぞ。

うっ……。


そ、そういうあっくんだって、普通とは程遠いだろう!

そうだね。

怪異を一瞬で消滅できる僕は、普通とは言えないだろうね。

もちろん自覚してるよ。


消滅!?

ふふっ。

さっきからどうしたの、メリーさん。


あ、え………その、封印とかしょ、消滅って……?

うん?

そのままの意味だけど……

あぁ、そっか。


怯えないでよ、メリーさん。

僕もくーちゃんも、無差別に怪異を消してるわけじゃないんだ。

こちらに危害や迷惑を掛けてこなければ、基本的には無視してるから。


それとも、メリーさん。


──もしかして君、いっくんに何か悪さをしようとしてる?


えっと………その……


────もしもし、メリーさん。


………?


わたし、くるり。


僕は秋乃だよ。


……ほら、いっくんも。


え、お、俺は一樹……です。


え? なんで自己紹介してんの俺たち……?

分かってないの俺だけ?


……?………??


わたし達、今いっくんのお家の前にいるの。


えっ。

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登場人物紹介

喜多見 秋乃(きたみ あきの)

・愛称は「あっくん」

・高校一年生

・くるりと一樹とは幼馴染み

・何だかんだで面倒見が良い

・怪異に対しては文句なしのチート


怪異ホイホイ度:★★★☆☆

対怪異の攻撃力:★★★★★★

対怪異の守備力:★☆☆☆☆

対怪異の感知力:★★★★☆

百目鬼 くるり(どうめき くるり)

・愛称は「くーちゃん」

・高校一年生

・幽霊観察が趣味の変わり者

・怪異に対しては致命的な弱点があるものの、作中では一番のチート


怪異ホイホイ度:★★★☆☆

対怪異の攻撃力:☆☆☆☆☆

対怪異の守備力:★★★★★★

対怪異の感知力:★★★★★

相原 一樹(あいはら いつき)

・愛称は「いっくん」

・高校一年生

・好奇心旺盛で危機感が無い

・超ド級の怪異ホイホイ


怪異ホイホイ度:★★★★★★

対怪異の攻撃力:☆☆☆☆☆

対怪異の守備力:☆☆☆☆☆

対怪異の感知力:★★★★★★

くるりの祖父

・主に「当主様」「爺様」「お祖父様」と呼ばれている

・代々、霊能力者を輩出する百目鬼家の現当主

・怪異に逃げられるほど鬼畜、冷酷、非道な性格


怪異ホイホイ度:☆☆☆☆☆

対怪異の攻撃力:★★★★☆

対怪異の守備力:★★★★☆

対怪異の感知力:★★★★☆

いっくんの携帯電話

あっくんの携帯電話

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