第79話  決着。

文字数 2,376文字


 ※


 次の日。いつものようにお兄ちゃんと学校に出かける。
 頑張れよと声を掛け合い、手を振るのはいつもと同じだった。


 もう……全然怖くない。

 早く赤木との決着をつけて、もう大丈夫だってお兄ちゃんに言いたい。


 今の僕には、学校の話よりももっと大事なことがあるんだ!

 

 
 

よぉ! 兄弟! 待ちくたびれたぜ!

 今日も自転車に乗ってきた虎にぃ。

 木刀を振り回して僕の近くに寄ってくるのはいいけど、危ないよ。

ねぇ。虎にぃは学校行かないの?
俺には必要ねぇよ。それよりも今はお前が一人前になるまでしっかり見てやらないとな
もぉ。焦るじゃん。そう言われると
すまんな。急かしてる訳じゃねぇから
でも僕。今日で学校の問題は解決するよ
マジかよ。やる気なのか?

向こうがやってきたら、だけどね。

どの道お兄ちゃんには、全部喋って大丈夫だって。言ってあげたいんだ

覚悟は……十分みたいだな。凛! 頑張って来い!
 虎にぃに見送られ、学校の前まで来ると、僕はランドセルをしっかり持つと、しっかり前を向いて校門を潜った。

 教室に入ると、先に来ていた赤木と目が合うなり、睨みつけてくる。僕も同じように睨みつけながら「なんだよ」と先制攻撃すると、赤木は何も言わなかった。


 一回り大きい赤木が僕に目を背けてしまう。

 続けて名谷や魚住にも視線をやると、すぐに横を向いてしまった。

 今までなら目を合わせただけでも足が震えていたのに、全然大丈夫だった。



 普通に自分の席に座ると、チャイムが鳴るのを待っていた。

 待っている間、昨日のドッジボールの事を思い出していたんだ。



 華凛と凛では全然違う表情に、僕は笑いそうになって、堪えようにも顔に出ちゃってる。

 昨日の赤木の慌てっぷりや、魚住が結構優しかったり、そんな一面を見たから余計に恐怖を感じない。


 


 そんな時大熊先生が教室に入ってくると、みんな喋るのを止めて前を向いた。


 朝の会が始まる。

 元気よくおはようございますというと、大熊先生はこんなことを言い出した。

今日は朝から席替えをするぞ。

黒澤。赤木。名谷。魚住。お前達は一番前の真ん中だ

 えぇ~~~! そんなぁ!



 すると赤木や名谷が猛反発したけど、大熊先生は聞き入れてくれなかった。

 こんな所で勉強なんて出来ないよ!



 昨日、聖奈お姉ちゃんが大熊先生に任せるって言ってたし……

 それで、こんな事するの? ひどいよ!

 しかも授業中、先生は僕達をじっと見ているんだ。

 慌てて前に向き直ると、今度は赤木や名谷。魚住を見ている。すっごい目がギラギラだった。



 完璧にマークされてる。
 これじゃケンカしたらすぐに怒られちゃう。
 
 どうにかして決着を付けないと、って思ったけど、これじゃ何も出来ないじゃないか!

 そして休憩時間。先生が教室から出て行くと、赤木も舌打ちをしてから立ち上がる。

「お前のせいだからな」と言って教室を出て行く。

 僕はその後姿に突進していた。

 前から倒れた赤木はすぐこちらに振り向いた。

【赤木】

て、てめぇ!

お前のせいだろ!

【赤木】

やんのかよ黒澤っ!

やってやる! お前は絶対に許せない!
凛くん……

 もう二度といじめられないよう。僕はお前に勝たなきゃならないんだ!

 突進から立ち上がった赤木は、一気に僕に詰め寄って来ると、上からパンチしてくる。

 僕は頭を守るように腕でガードすると、そのまま頭突きで再び押し倒した。

【魚住】

お前ら。もうやめろって! 次は先生も怒るぞ!

【赤木】

うっせぇ! こいつが先にやってきたんだろが!

 赤木に覆いかぶさるようにマウントを取ろうとしたけど、逃げられてしまう。

 その間にキックを受けると、後ろの机をなぎ倒して、クラスの女の子が悲鳴を上げ出した。

【赤木】

魚住。後ろからやれっ!

【魚住】

やだよもう……怒られるに決まってるだろ?


 僕はお構い無しに赤木だけを狙う。殴られても前進して、腕を掴むと思いっきり噛んでやった。

 叫びまくる赤木が離れると、僕はこいつの身体にどんどんパンチを打ち込んでいく。

くっそ。こいつ……
 赤木は後ろにあった自分の机を持つと、僕に投げ込んできた。かわそうとしたけど、腰辺りに当たってしまい、あまりの痛さに蹲ってしまった。
凛くん!

【赤木】

んだよ! みんな黒澤にムカついてんだろ! なんでやらねーんだよ!

 今度は椅子を持った赤木は、僕の頭上から振り下ろそうとした時、その後ろに見えたのは大熊先生だった。


 

 すぐに椅子を取り上げられた赤木は、後ずさったと思えば無我夢中で叫んでいた。

【赤木】

こいつが悪いんだ! こいつが先に仕掛けてきたんだ。俺は悪くない!

本当なのか? 黒澤

【赤木】

そうだ先生! 黒澤が先にやったんだよ! みんな見てただろ! 

後ろからこいつが、タックルしてきたんだよ!

まて赤木。黒澤やクラスのみんなに聞いてるんだ。

 誰も何も言わなかった。


 すると赤木は大声で「何でだよ!」と叫びまわっていた。

何で! 何で俺ばっかり! みんな。見てたじゃねーかよ!

【魚住】

確かに。先に手を出したのは黒澤です! でも……

でも。なんだ? 魚住。

 魚住はビビってしまってそれ以上言わなかった。

 他のみんなも、何も言わないでいると、大熊先生は僕を指名してくる。


 お前がやったのか。と。

……そうだよ! それが何だって言うんだ! 僕は前からこいつらに、赤木たちに……

 赤木の睨んだ顔が目に入ると、僕は止まらなかった。
 すでにやる気が無かったのか、その顔にパンチすると、押し倒していた。



 するとクラスのみんなも、先生に止めてと訴えた。それでも攻撃をやめない僕に赤木もやる気になり、二人同時にパンチが顔に当たった瞬間、大熊先生が喋り出した。

お前ら。ケンカするなら、グラウンドでやれ
 え?
よ~し。次の算数の授業は無しだ。みんなグラウンドに行くぞ
 クラスのみんなも、僕も赤木も唖然となった。
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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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