3-7. 世界の本質
文字数 1,855文字
西麻布の焼肉店にやってきた一行は、シックな赤と黒のインテリアに彩られた個室へと通される。間接照明が質感の高い紅の壁面を照らし、高級感を演出していた。
「うわぁ……、すごい……」
ユリアは思わず声を出してしまう。
「ふふっ、今日はたくさん食べてね」
ヴィーナはニッコリと笑った。
「はい、早く座って! 食べるぞ~!」
レヴィアは浮かれて叫ぶ。
店員がやってくると、レヴィアは怒涛 の注文を始めた。
「青りんごサワーを二つと、大ジョッキ十杯な」
「えっ!? 十杯……ですか?」
「いいから十杯な。それから霜降り大トロカルビ二十人前、極上ロース二十人前、それから極上タン塩十人前……」
ユリアはその異常な注文数に圧倒され、
「彼女、まだ子供ですよね? そんなに食べるんですか?」
と、小声でヴィーナに聞いた。
「はははっ、レヴィアはもう二千年くらい生きてるドラゴンなのよ」
と、小声で返しながらうれしそうに笑う。
「ド、ドラゴン!?」
ユリアは目を丸くして驚き、レヴィアを見た。
「なんじゃ、お主の彼氏だってドラゴンじゃろうが」
レヴィアはそう言ってジト目でユリアを見る。
「いや、まぁ、そうなんですが……」
◇
歓談しているとドリンクが大量に運ばれてくる。
レヴィアは傍らにジョッキをたくさん並べ、
「さぁ、飲むぞ! カンパーイ!」
と、陽気に音頭をとった。
「カンパーイ!」「カンパーイ」「かんぱーい」
レヴィアは一気に大ジョッキを飲み干すと、
「プハー! 生き返るのう!」
と、上機嫌に言って、新しいジョッキを手に取る。
ユリアがその飲みっぷりに圧倒されていると、レヴィアが言った。
「うちの星の若いのもな、ドラゴンの女の子と結婚したんじゃ」
「け、結婚ですか!?」
「そうじゃ、今じゃ子供もおる」
そう言ってまたジョッキを飲み干した。
「こ、子供……ですか?」
「ドラゴン相手でも子供はできるらしいぞ?」
レヴィアがニヤッと笑ってそう言うと、ユリアは真っ赤になってうつむく。
「あらあら、うぶなのねぇ」
ヴィーナはニヤニヤしながらうれしそうにユリアを眺めた。
「お肉お持ちしましたー」
店員が肉を満載した大皿をいくつも持って入ってくる。
「おー、キタキタ!」
レヴィアはうれしそうに皿を受け取ると、二十人前の霜降り大トロカルビをそのままロースターに全部ぶち込んだ。
「えっ!?」
店員は思わず声を出す。
「大丈夫じゃ、もう二十人前追加じゃ!」
レヴィアはそう言って空いた皿を店員に返した。
レヴィアはロースター上で山盛りになった肉を適当に動かすと、箸でガッとまだ生の肉を何枚もつかみ、そのままパクッとほお張ると、ゴクッと丸呑みする。
「クハー! 美味いのう!」
そう言うとジョッキを一気飲みして、
「プハー! 最高じゃ!」
と、上機嫌に叫んだ。
するとジェイドも真似してガッと箸で肉をつかむと丸呑みし、
「おぉ、これは素晴らしい物ですね」
と、言って目を輝かせる。
「そうじゃろう、肉はやはり日本の霜降りに限るわい。カンパーイ!」
そう言ってレヴィアはジェイドのグラスにジョッキをぶつけ、また一気飲みした。
ヴィーナはそんな二人の様子に眉をひそめ、
「私たちは焼いて食べるから、この肉触らないで」
そう言ってロースターの一角に肉を並べた。そして、
「ドラゴンを肉食にしたのは失敗だったわ……」
そう言ってため息をつく。
「えっ!? ヴィーナ様がドラゴンを作ったんですか?」
ユリアは驚いて聞く。
「昔ね、ファンタジーオタクな管理者 がいて、勝手に作ってたのよ。で、それを黙認しちゃったの。食生活は人間と同じでって言っとけばよかったわ」
ヴィーナは渋い顔で肉を裏返しながら言った。
「我は肉食でハッピーですよ。肉だけ食べて生きていけるなんて最高!」
レヴィアはうれしそうに生肉をガッとつかんで上機嫌に言う。
ユリアは圧倒されながらつぶやく。
「ドラゴンなんて作れるんですね……」
「そりゃぁ何だって作れるわよ。あなただって管理者 になればいろんな生き物作れるわよ。……。あ、これ、すごく美味しい!」
ヴィーナは肉を上品に食べながら言う。
「生き物を作る……。なんでそんなことできるんですか?」
ユリアは首をかしげながら聞いた。
「ふふっ、あなたはこの世界は何でできてると思う?」
ヴィーナはニヤッと笑いながら聞く。
「えっ? この世界……、ですか? うーん、生き物と物の集まり……、ですか?」
「情報よ。この世界は情報で出来てるの」
ヴィーナはそう答えるとジョッキをグッとあおった。
「うわぁ……、すごい……」
ユリアは思わず声を出してしまう。
「ふふっ、今日はたくさん食べてね」
ヴィーナはニッコリと笑った。
「はい、早く座って! 食べるぞ~!」
レヴィアは浮かれて叫ぶ。
店員がやってくると、レヴィアは
「青りんごサワーを二つと、大ジョッキ十杯な」
「えっ!? 十杯……ですか?」
「いいから十杯な。それから霜降り大トロカルビ二十人前、極上ロース二十人前、それから極上タン塩十人前……」
ユリアはその異常な注文数に圧倒され、
「彼女、まだ子供ですよね? そんなに食べるんですか?」
と、小声でヴィーナに聞いた。
「はははっ、レヴィアはもう二千年くらい生きてるドラゴンなのよ」
と、小声で返しながらうれしそうに笑う。
「ド、ドラゴン!?」
ユリアは目を丸くして驚き、レヴィアを見た。
「なんじゃ、お主の彼氏だってドラゴンじゃろうが」
レヴィアはそう言ってジト目でユリアを見る。
「いや、まぁ、そうなんですが……」
◇
歓談しているとドリンクが大量に運ばれてくる。
レヴィアは傍らにジョッキをたくさん並べ、
「さぁ、飲むぞ! カンパーイ!」
と、陽気に音頭をとった。
「カンパーイ!」「カンパーイ」「かんぱーい」
レヴィアは一気に大ジョッキを飲み干すと、
「プハー! 生き返るのう!」
と、上機嫌に言って、新しいジョッキを手に取る。
ユリアがその飲みっぷりに圧倒されていると、レヴィアが言った。
「うちの星の若いのもな、ドラゴンの女の子と結婚したんじゃ」
「け、結婚ですか!?」
「そうじゃ、今じゃ子供もおる」
そう言ってまたジョッキを飲み干した。
「こ、子供……ですか?」
「ドラゴン相手でも子供はできるらしいぞ?」
レヴィアがニヤッと笑ってそう言うと、ユリアは真っ赤になってうつむく。
「あらあら、うぶなのねぇ」
ヴィーナはニヤニヤしながらうれしそうにユリアを眺めた。
「お肉お持ちしましたー」
店員が肉を満載した大皿をいくつも持って入ってくる。
「おー、キタキタ!」
レヴィアはうれしそうに皿を受け取ると、二十人前の霜降り大トロカルビをそのままロースターに全部ぶち込んだ。
「えっ!?」
店員は思わず声を出す。
「大丈夫じゃ、もう二十人前追加じゃ!」
レヴィアはそう言って空いた皿を店員に返した。
レヴィアはロースター上で山盛りになった肉を適当に動かすと、箸でガッとまだ生の肉を何枚もつかみ、そのままパクッとほお張ると、ゴクッと丸呑みする。
「クハー! 美味いのう!」
そう言うとジョッキを一気飲みして、
「プハー! 最高じゃ!」
と、上機嫌に叫んだ。
するとジェイドも真似してガッと箸で肉をつかむと丸呑みし、
「おぉ、これは素晴らしい物ですね」
と、言って目を輝かせる。
「そうじゃろう、肉はやはり日本の霜降りに限るわい。カンパーイ!」
そう言ってレヴィアはジェイドのグラスにジョッキをぶつけ、また一気飲みした。
ヴィーナはそんな二人の様子に眉をひそめ、
「私たちは焼いて食べるから、この肉触らないで」
そう言ってロースターの一角に肉を並べた。そして、
「ドラゴンを肉食にしたのは失敗だったわ……」
そう言ってため息をつく。
「えっ!? ヴィーナ様がドラゴンを作ったんですか?」
ユリアは驚いて聞く。
「昔ね、ファンタジーオタクな
ヴィーナは渋い顔で肉を裏返しながら言った。
「我は肉食でハッピーですよ。肉だけ食べて生きていけるなんて最高!」
レヴィアはうれしそうに生肉をガッとつかんで上機嫌に言う。
ユリアは圧倒されながらつぶやく。
「ドラゴンなんて作れるんですね……」
「そりゃぁ何だって作れるわよ。あなただって
ヴィーナは肉を上品に食べながら言う。
「生き物を作る……。なんでそんなことできるんですか?」
ユリアは首をかしげながら聞いた。
「ふふっ、あなたはこの世界は何でできてると思う?」
ヴィーナはニヤッと笑いながら聞く。
「えっ? この世界……、ですか? うーん、生き物と物の集まり……、ですか?」
「情報よ。この世界は情報で出来てるの」
ヴィーナはそう答えるとジョッキをグッとあおった。