プロローグ

　俺『リック・ハシュート』は小さな田舎に住んでいる所謂『村人』だ。
　普通にこの村で好きな人と結婚して畑を耕してのんびり暮らすんだろうなぁ、て思っていた。
　そんな俺の人生が一変したのが６歳の時、ある占い師から『鑑定』を受け言われた一言がきっかけだった。

『この子は大魔導士になる素質がある』
　俺は生まれながらに高い魔力を持っていたのだ。
　そして、１５歳の時に王都にある『ベルジューナル魔法学院』に入学する事になった。
　親からは『大魔導士の話はともかく折角だから世間を勉強してこい』と言われ高い学費を払ってくれた。
　入学試験から俺は浮いた存在だった。
『高い魔力』とは言われていたがその年の新入生の中でトップになるとは思っていなかった。
　おかげで同級生の貴族のお坊ちゃん達に目をつけられて色んな妨害を受けたよ。
　しかも、教師もグルになっていたから質が悪い。
『身分関係無く才能のある人物を育成する』のがこの前学校の基本理念だったんじゃないのかね？
　それでも数少ない平民の同級生達と片寄あって過ごしてきた。
　そして、進級試験が行われて俺は上位にくい込む事が出来た。
　が、結論から言えば俺は学院を辞める事になった。
　理由は簡単、次の学費が払えないから。
　最初から『１年だけ』という理由で通わせて貰っていたから決まっていた事なんだけど。
　まぁ、貴族のお坊ちゃん達は目の上のたんこぶがいなくなったから良かったんじゃないかな？
　ただ、ライバル視されていた貴族のお嬢様からは『勝ち逃げなんて許さないわよっ！』とか言われたがどうでも良い。
　そんな訳で学院から故郷に戻って来た俺は学院で勉強してきた事を活かしながらのんびりと１年過ごしてきた。