(二)-11
文字数 345文字
次に会ったのが、下狛ユウジという五二歳の男性だった。ある小さな結婚相談所から紹介された。秩父在住の無口な職人で木工所に勤めているとのことだった。独身で実家暮らしらしい。一応地元の高校を出たそうだが、就職して以来ずっとその木工所に勤めているという。大変な口下手で、女性慣れしていないどころか人と話をしたこともほとんどないような人のようで、話もあまり弾まなかった。
そんな職人に敬意を抱くことはできたが、さすがに結婚生活を頭の中でシミュレートしても、あまり想像できない上に結婚生活がそのまま雲散霧消してしまうような気もした。また実家暮らしというのも、私の心理的ハードルを勢いよくグーッと押し上げていた。
そのため、その人については結婚相談所の方に、丁重に丁重にお断りを入れてもらった。
(続く)
そんな職人に敬意を抱くことはできたが、さすがに結婚生活を頭の中でシミュレートしても、あまり想像できない上に結婚生活がそのまま雲散霧消してしまうような気もした。また実家暮らしというのも、私の心理的ハードルを勢いよくグーッと押し上げていた。
そのため、その人については結婚相談所の方に、丁重に丁重にお断りを入れてもらった。
(続く)