第6話

文字数 257文字

   聖也⑤

 水の中に沈んでいるような感じがした。でも、息は出来る。とすればこれは、羊水のようなものなのか。
 そして、記憶が流れ出してきて、渦巻く。人は死ぬ前には、生涯の記憶が走馬燈のように蘇ると言う。時系列は目茶苦茶だが、これは、そういうことなのだろうかと聖也は思う。
 だが、だからといって、どう抗おうというものでもない。もう、どうにもならないのだから。
 どうにもならない?
 何がだ?
 ここはどこだ?
 今なぜ、こうしているのだ?
 分からない、何もかも。
 分かっているのは、私は、細川聖也。
 年齢は?
 年齢は――?
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