第32話 side.夢乃
文字数 802文字
お父さんから、「お前が男だったらよかった」って言われ続けたせいで、男の子っぽくなったって言ってた。
長い前髪の奥から、ぎょろりとした鋭い瞳があたしを見てる。
薄汚れた体からは、変なにおいがした。
あたしのSNSアカウント名は「yumerin」のはず。
まさか…調べた?
君は俺のことをうそつきだと言ったけど、それなら君だってうそつきじゃないのか?勝手に信頼して、勝手に裏切るなんて…それも立派な嘘だろう?
………………その、通りだったから。
そして、こぶしを大きく振り上げた。
誰か認識する間もなく、その子は早くあたしの手を掴んで、ぐいっ、と引っ張った。
社交辞令が上手なんだろう。
亜希とかいう女の子は、言った。