第16話:(最終章)達也、ソフトウェアも学ぶ

文字数 3,644文字

 そして成宮賢、スザンナ、達也の3人は3月24日、サンディエゴを出発し日本に向かった。家に帰り、4月から達也は、家から国立高校へ自転車通学がはじまった。国立高校は優秀な学生が多く達也は得意の数学、英語でクラスでベスト10に入れなく少しびびったが父が他人なんて関係ない自分の能力を高めることに専念しろと叱咤激励すると、再び、勉強に集中し始めた。

 6月過ぎた頃、達也が父に相談があると言うので話を聞くと週に1回、プログラムの勉強も受けたいと言いソニー時代の知り合いに頼んでもらえないかと言われ了解した。その後、成宮賢はソニー時代の後輩でプログラムの専門科3人に声をかけると、その中の1人で近くに住む若手の木谷仁が協力するといってくれた。その後、授業の時間が毎週土曜か日曜日の19時から20時の1時間と決まった。

 そして一緒に夕食をとろうと言うと木谷仁が独身なので、それはありがたいと喜んでくれた。月謝は5千円で了解してくれた。その後、木谷仁が教材本を5冊選んで達也に読んで置くようにと渡した。ソフトウェア塾は7月25日、夏休みに入ってから開始することにした。数日後、達也が父に受験勉強の方法で高校1年のうちに2,3年の単元まで先に学んだ方が良いか地道に今の勉強を着実にやるべきか質問された。

 しかしこの難問には正解はない。自分にとって、どっちの方がやり易いかの問題だと言い、むしろ達也は、どっちの方がやりやすいと聞くと先まで勉強してから復習するようにした方がやり易いと答えると、父が、とりあえずそれでやってみろと言ったが、その方法だと勉強時間は増えるぞと言うと、それは承知のうえだと達也がきっぱりと言った。そして参考書、問題集の費用として5万円を渡した。

 その週の土曜日、達也は東京へキャスター付きの旅行カバンを持って出かけ昼前に旅行カバンにいっぱいの参考書と問題集を買って家に帰ってきて父の所へ領収書を持って来て32000円かかったので18000円を返すというと父が笑いながら律儀だなと言いそれは勉強で疲れた時に好物を食べろ言った。その後、父が、指導したように6時間以上の睡眠を取ること。

 2時間に1回、又は、疲れを感じた時に休んだり仮眠したりしろという教えを忠実に守り勉強を継続していた。やがて夏休みに入り土・日のソフトウェアの授業を開始し与えられたテキストは既に読み終えて木谷仁の最初の授業を終えた時、父の成宮賢と3人で珈琲を飲みながら木谷仁が達也君は、やはり成宮先輩の子ですね、授業開始すると、いきなり矢継ぎ早に鋭い質問攻めで参りましたと笑いながら言った。

 テキストは全部読んで不明な点を今日、全て聞きました。集中力がすごいですねと驚いていた。実に頼もしいと話してくれた。数学が好きそうなので直ぐに、できるプログラマーになりますと言い、ソニーでもこんな人材と欲しいと思いますと話した。すると父が達也はシリコンバレーをめざしているんだというと、そりゃー豪気だと大笑いした。

 しかし父は冷静に達也もカリフォルニア大学サンディエゴ校で勉強しアメリカのソフト業界を目指してると真面目に言うと、こりゃー大変な仕事を引き受けたものだと言い大笑いした。しかし父の成宮賢が真面目な話、達也のためには、お金は惜しまないと真剣な顔で話した。だから切れ者の木谷仁君に講師をお願いしたんだと言うと了解しましたと答えた。

 達也君をびしびしと鍛えて上げるから、泣き言、言い訳はするなよと言うと達也が大きな声でわかりましたと答えた。そうてプログラマー養成講座の1日目が終わった。やがて夏休みになり達也は部屋にこもる日々が続き、さすがにスザンナも心配し外に遊びに行かないのと心配した。成宮賢に、お父さんからも息抜きの大切さを教えて上げて下さいと言われた。

 そこで達也を呼んで自分なりで良いから自分の息抜きを考えろと言った。すると剣道の道場に入って良いですか聞くので構わないというと自転車に乗り近くの道場に入門のお願いに行った。その後、週1回30分道場に通いだした。道場に通い始めると洗濯物が増え、また、その汗臭さが半端なものではなくてスザンナ驚いた程だった。

 夏休みが終わり9月になると楽しそうに剣道場へ通い、たまに竹刀で、ひたすら素振りの練習をする姿が見えるようになった。秋の学校のテストでクラス5位に入り英語、数学はトップになった。そして達也の目つきが鋭くなった気がした。ある晩、父と母のスザンナが達也に剣道は、勉強に役立ってるのと聞くと今迄より集中力がついたと言いメンタルが強くなった気がすると言った。
 
 スザンナが道場ではどんな練習してるのと聞くと最初の5分黙想して精神統一を計り続いて5分ずつの乱取り練習、この時は一瞬の隙も見せず相手のちょっとした隙を突く練習をひたすら続けて終了時も同じ様に黙想して精神統一を図った終了。だから20分の乱取りは全く休みなしで、かなり厳しいと言った。勉強も以前比べて格段に早くなり高校3年までの数学と英語は、ほぼマスターしたと告げた。

 今年中に、その他の国語、化学、政治経済も高校3年までの分野を終えられそうだと言った。木谷仁君がプログラムは、既にフォートラン、コボルなど古典言語は終了し順調だと言われた。そして、あっという間に2015年が終わり2016年を迎えた。冬休みも達也は勉強一筋の日々が続き、風邪も引かず学校に通った。3月の試験で主要5科目でクラス3位になり学年でもベスト8になった。

 特に、数学、英語は、ダントツで数回100点を取ったほどだ。2年に上がったときに、このまま行けば、合格確率、早稲田、慶応、橫浜国立、首都大学80%、東大、東京工業大学70%といわれ、早稲田、慶応、橫浜国立、首都大学はまず受かりますねと言われた。2年になっても、順調に過ぎていき夏休みを終えると、主要5科目の3年終了時までの参考書、問題集を全て終えた様だ。

 2年の冬の主要5科目のテストでクラストップ、学年3位になり東大、東京工業大学の合格確率80%になったと教えてくれた。特に最近は英語、数学は100点が多く、難しくなればなる程、達也に有利になった。やがて2016年も終わり2017年を迎え、1月の受験前の総合テストで、達也、遂に主要五科目でトップになり数学、英語、100点という結果を出した。

 そして大学見学に行き。緑の多い東京工業大学のすずかけ台キャンパスが気に入り東工大を受験することにし出願書を提出し受験して合格を勝ち取った。実は木谷仁も東工大出身。合格祝いパーティーを開き木谷仁、達也と両親の4人で大いに喜んで、この日は木谷仁と成宮賢はビールで乾杯の後、日本酒を飲み、母のスザンナはワインを飲み、達也は少しビールでを飲んだ。

 その後、成宮賢が突然、自分と祖父の成宮時達の話を始めて自分がその時の成宮時達になった様な気がすると言い感極まって涙を見せた。すると木谷仁が先輩が泣くなんて信じられないと言いあれだけ厳しい人だったのにと、もらい泣きした。そしてスザンナは達也を抱きしめると達也は恥ずかしいからやめろよと言ったが手を離さずスザンナの涙が達也の顔に流れた。

 次はアメリカに渡りシリコンバレーに挑戦するぞと雄叫びを上げた。そしてスザンナがリビングの2つのソファーに成宮賢と木谷仁を寝かし達也とスザンナは自分部屋で寝た。翌朝7時にスザンナリビングに来てトーストと、おにぎりどっちが良いと聞くと成宮賢と木谷仁が、とりあえず珈琲を入れてと言った。達也はおにぎりと味噌汁と目玉焼き、スザンナはベーコンエッグと珈琲を食べた。

 成宮賢と木谷仁は飲み過ぎたようで、さかんに水分を取っていた。30分位して木谷仁が帰りますと言い、その前に、皆さん、お手を拝借、達也君の東工大合格を祝って3本締めをしましょうと言い例の調子で3本締めをして終了した時、木谷仁が、おめでとう達也君、次はシリコンバレーで大暴れしてくることを期待するぞと肩をたたいて帰って言った。

 2016年3月に成宮達也は橫浜市緑区のすずかけ台キャンパスの学生寮に愛用の竹刀を持って入った。その後も継続し勉強を続けて、最近、流行りのAIの研究を始めた。その後、2017年から、NTTドコモでAI研究のグループに参加した。2019年の5月カリフォルニア大学サンディエゴ校の留学を決めて、5月10日の朝、成田空港から真っ青な大空に達也の乗った飛行機が大気を切り裂いて上昇していった。

 達也もシリコンバレーの中を切りさいて、大きな仕事を成し遂げろと成宮賢は、感慨深げに見送り、奥さんのスザンナは、達也の今迄の頑張りと別れ際の軽いキスをを思い出し大粒の涙がとめどもなく流れ出した。(終了)
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