満月の夜だから

文字数 563文字

たまには…お月見も、良いでしょ?
うん。
「もれいづる月の かげのさやけさ」だねぇ
は…?
百人一首だよ?
─ そうなんだ
上の句が「秋風に たなびく雲の たえ間より」
ん?
「月のかげ」って言うのは「月光」の事なんだけどぉ…
ちょ、ちょっと!?
─ どうかした?
その、スカートのお尻の方の裾から覗いてる…フサフサした感じのものは、何?
尻尾。
し、尻尾?!
ほら…今夜は、満月の夜だから
は…?
─ 月の光を浴びるど、出てきちゃうんだよねぇ
だよねぇって…
先祖に…狼男でも、いたのかもしれないねぇ
ほら、お月見、お月見。
あ!
どうかした?
─ い、急いで、隠さないと。
何を?
し、尻尾に決まってるでしょ!
別に、良いよぉ
他の人に見られたら、どうするの!!
大丈夫だって。魔女狩りとかが ある訳じゃないんだから
いや、魔女狩りは ないにしても…
過去に何回か、尻尾 見られた事あるけど…大丈夫だったし
へ…!?
ファッションかコスプレだって、見た方が、勝手に納得してくれてる みたいなんだよねぇ
で、でも…
ノリで、「実はこの尻尾、本物なんです!」って教えた事も ある。
へ…?!
─ 冗談だと思われて、信用して貰えなかったけど
そう…なん…だぁ…
どこか具合でも、悪くなった?
─ だ、大丈夫。
でも、しゃがみ込んでるし…
単に、世の中の 私の手への負えなさに、脱力しちゃただけだから。。。
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登場人物紹介

霜月さん

初音さん

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