池の鯉
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以前、とても印象的だったことです。
友人と、公園の池に向かいました。
池には噴水があって、そこの前のベンチに座ってマイナスイオンを受けるのがお気に入りでした。
池に到着した私たちの面前に、想像を絶する景色が広がっていました。
子供たちが数人、池に周囲の砂利 を大量に投入していました。
一言もしゃべらず、一心不乱に自分の足元の石をかき集め、大量に池に入れていました。
それほど大きな池でもないのに、ザクザク、ザザザーという感じでもうなんか小型ブルドーザーが数機で石を投入という感じがしました。
保護者と思しき女性が数人、近くでしゃべくっていました。
子供らの惨状にまったく気づいていない様子。
否、気づいていても、あえて無視しているようでした。
開いた口が塞がりませんでした。
何より、その惨劇を見ている人がたくさんいるのに、誰も何も言わず、素通りして行きました。
そして、パッと見て
黙々と池に石を投入している、小さな女の子の所へ行きました。
とりあえず、座って目線を合わせます。
笑顔で話しかけました。
笑顔で聞きました。
腹の中は煮えくり返っています。
池の中には、黒く見える鯉がたくさん泳いでいました。
小さい頃は、私もそういう遊びをしていました。
そして、黒は悪、白は善ということは、私にもすんなりとわかりました。
ブラック企業は成敗すべき物件ですが、身体の色で善悪を決めるのは問題があります。しかも、鯉に善いも悪いもありません。あっても私にはわからないし、人間が決めた価値に鯉は関係ありません。
女の子の動作が止まりました。
黒がいい子なら白が悪い子になるのでそう言いました。
これでもかというエンジェリック・スマイルにエンジェリック・ボイスで言いました。
トーンを下げ、悲しそうに言います。
元々、悪い子を成敗するつもりでやっていた子です。
悪い子ではないはずです。
すると、隣にいて話を聞いていた男の子が、
と言っておだてる褒めると、
と、他の子にも言って止めさせていました。
と、詐欺師張りの笑顔を子供たちに与え、友人のところへ戻りました。
と、嫌な笑みを浮かべていたので
と、言いました。
いい印象は持てませんでした。
親を通してよりも、子供に直接言う方が、この場合は良いように思えました。
そんな大らかではなく、自分の家の机に靴はいて乗ったら激怒するとかかもしれません。
目立つ子は、いじめのターゲットになりやすいように思います。
でも、それでも敢えて行ったのは、
だからです。
と、思いながらその場を逃げました。