第1話 この世を去る囚人

文字数 248文字

この世を間もなく去る囚人にとって現実で犯してきた罪も犯さなかった罪も

ほとんど区別がつかなくなっているだろう。

罪とは社会の中での約束事

やがて去っていく彼にとってもはや何の意味も持たぬ

彼を罵った世間の嵐も 今になっては蚊に刺されたほど

もう違う世界にいく彼にとってこの世の罪を責めても上の空

彼はやっとこの世から離れられると思っているのに違いない

やっと辛い人生が終わりを告げることしか頭にない

彼に向かって未だにこの世の罪を問うのか

それは余りに酷ではないか

彼は充分に苦しんだ

でもこれもそれも一幕の劇のようだ
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