1 ❀ 重黒木家

文字数 1,038文字

ヤスジィのサンバから逃げた三人は、山を()り里へ向かった。


まち外れにある建物の前で、鋼は「ここや」と立ち止まる。


うちん店や
へぇ、カッコいい!
大きい家だね

そうか? 入って、入って。


ただいまー。

鋼は照れながら、店舗の方へと入る。


お店には、電池や電球、蛍光灯などの消耗品は並んでいるが、大型家電は置いていない。


ここは修理専門店なのだ。

おかえり、鋼。


――っと、あら?

受付にいた女性は、萌栄と発を見ると席を立った。
萌栄ちゃんに、発くんやろ。そうやろ!?

その人は二人の手を取る。


エプロンに (じゅう)(くろ)()()() と名札をつけていた。

いらっしゃい。鋼から話は聴いているわ。

息子がお世話になっています

はじめまして、日高萌栄です
椎葉 発です、こんにちは

萌栄ちゃんも、発くんも、お母さんにソックリやぁ! 


二人とも強くて優しくて、私の憧れやった~。ものそお世話になったとよ。


さぁ、上がって! お茶用意すっからねぇ

お店の裏口を通って、外へ出る。


すぐそばに、修理工場の勝手口があった。


鋼の後ろについて『おじゃましまーす…』と、ためらいがちに二人も中に入る。


こげた鉄とオイルの匂いがする工場内では、大人たちがおのおの作業にてっしていた。

ライオンくらいの大きさのヘリコプターを男三人が囲んでいる。

あのヘリコプター、なに? 初めて見た

産業用の無人ヘリコプター。


今度、種や肥料をまくのに使うから点検しちょっと。


おーい親父ぃ、ホワイトボード一つ借りていい?

鋼、おかえりー。


萌栄ちゃんと発くんも一緒かぁ! いらっしゃーい

萌栄と発は『おじゃましています、こんにちは』と頭を下げた。
ごめんな、仕事あるんで大したもてなしできんけど…。ボード? 好きなの持ってけ~
鋼は、カベに立てかけられたホワイトボードの一つを持ち、もどってきた。

ああいう作業、見ているだけでわくわくするわ。


電気工事って、幅が広いのね

そうやねぇ。


忍者の仕事で使う機器とか、普通の店じゃあつかえんこともやっちょっと

ぼくのところも、普通の煙火店とちがって、忍者用の煙玉とかいろいろ作っているよ。

二人とも実家が濃いなぁ、ちょっとうらやま~

萌栄ちゃんのおじいちゃんは、村長やん。


代々、どこん()よりも強かったそうやし

村長って言ってもなぁ・・・。うーん。そんなにすごいもの? よくわかんない。

両親は、この村に来てから、村の役所で勤めている。


そのため、実家お店工場で、親は職人というのに、萌栄はあこがれるのだ。

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登場人物紹介

日高萌栄 (ひだか・もえ


中学2年生、13才の少女。

カピバラをこよなく愛する。

重黒木 鋼じゅうくろぎ・はがね


中学2年生、13才の少年。機械いじりが得意。

椎葉 発(しいば はつ)


中学2年生、13才。

萌栄の友達。花火師の孫。

黒木 殿下(くろき でんか)


萌栄のライバル

那須 雨音(なす あまね)


殿下の友達。

黒木 媛(くろき ひめ)


殿下の妹

日高 結芽(ひだか ゆめ)


萌栄のお母さん

日高 地平(ひだか ちへい)


萌栄のお父さん

日高 雲水(ひだか うんすい)


萌栄の祖父

重黒木 功(じゅうくろぎ こう)


鋼のお父さん

重黒木 理玖 (じゅうくろぎ りく)


鋼のお母さん

椎葉 康次(しいば やすじ)


発の祖父。花火師

黒木 智子(くろき ともこ)


殿下、媛のお母さん。

黒木 未夏 (くろき みか)


クラスメイト

中武 陽(なかたけ はる)


クラスメイト

那須 貴也(なす たかや)


クラスメイト

那須 由子(なす ゆうこ)


クラスメイト

お殿様。


西方の里を治める、お殿様。

南朝の忠臣、その子孫。

忠平(ただひら)


お殿様が助けた忍者。

加藤清正に仕えていたが、毒殺の濡れ衣をかけられ、逃げてきた。

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