第23話  兄弟(姉妹)の絆 3

エピソード文字数 2,923文字

あんなに仲が良いなんて、知らなかったわっ
俺もだ。車の中で喋った時に初めて、付き合いがあるって知ったからな

 取り残された俺達は、とりあえず平八さんと親父の件は各々が後で聞くという事で一致した。


 よし。ここからは俺達の話題に戻さないと。

 すると華凛が提案をする。

ねぇ。お姉ちゃん。さっき思いついたんだけど、もしかしたら写真とかあるんじゃないの?


ほら。写メとか。昔の携帯とかに残ってるかも

おおっ! お前冴えてるぞ
昔のが……あるの?
あるかもしれん。ちょっと待ってろ
私もガラケー探してくる! あったと思うよ
姉妹で自分の部屋へ向かうと、聖奈が俺の後ろに付いてくる。
へぇ~これがあんたの部屋? まぁまぁ綺麗じゃない
まだ引っ越してきて整理できてないし、あぁ~~どこにやったかなぁ~

 見当が付かないな。

 こりゃ見つけるのは至難の業だ。

昔の携帯だからガラケーだったはずだ。


写真くらいなら残ってるかもしれんが……これはまた後日見つけておく

うんっ! お願い。


昔のが残ってるのなら……見てみたい

 良い返事だった。昔だったら見せない笑顔。


 だけど俺も大分慣れたのか、普通に見れるようになっていた。

おね~~ちゃ~~ん! あったよ~~~!
 マジか。やるじゃねぇか!


 華凛の叫び声に、俺達はリビングに引き返す。

 部屋から戻ってきた華凛の手にはガラケーが握られていた。

あっ! それだそれ! 何でお前の荷物になってんだ?
ゲームしてたからじゃないかな?
そういう事か。電話使えなくなってもお前はパズルゲームしてたからな。それでお前にやったんだ
ねぇ。見せて!
待て。どんな写真が入ってるか、先に見せろ!
見せなさい! 先に私が見るのよ!

華凛。俺に渡せ! こいつに渡しちゃダメだ!

まずはプライバシー的に問題が無いか調べないと

 って言ったのに……

 あっさりと聖奈に渡す華凛だった。このバカ野郎! 

じゃあ一緒に見よう。なっ?
……分かったわよ

 と思ったら、充電が出来ておらず画面は真っ黒だった。よくよく考えりゃ、そりゃそうだと納得していた。


 華凛がガラケーの充電器を持ってくると、早速充電を開始していたが、こりゃ時間がかかるかもしれない。

そうだ聖奈。今の内にちょっと真面目な話をしよっか
ん? 何?
今日。お前が来たら言おうと思ってた事があるんだ

華凛にもちゃんと言わなきゃならないんだよ。


真剣な話なんだ。お前もよ~く聞いとけ

 黒澤家にとって、聖奈や平八さんとはどんな存在になるのか。


 入れ替わり体質を知ってる二人に、俺達はどう向き合うべきなのか、それを……聖奈や華凛にわかって貰わないと。



 ※



いいか華凛。聖奈や平八さんは俺達の秘密を知っている。それがどういう事なのかを、はっきり説明しないと
そんなの分かってるよ
 華凛。そんな軽く言うなよ。

 この話はな。しっかりと念頭に置いといて欲しいんだ。

聖奈にも俺達の事を分かって欲しい。その秘密がばれるとどうなっちまうのかを
そんなの分かってるわよ

 華凛みたいな返事をする聖奈。

 まぁまて。最後まで言わせてくれ。

まぁ何度も言ってきたので、分かってるとは思うが、俺達家族が聖奈や平八さん対しては……この身体の秘密にしてくれる代わりに、二人と疎遠になるつもりは無い。


ずっと仲良くしたいと思っている

それは……私達だってそう思ってるわよ
 当然と言っちゃ当然だが、しっかりとこちらの気持ちを伝えないと。

聖奈。俺達はお前の事を……特別な存在だと思ってる。


できれば……家族同然だと。そこまで俺は考えてるんだ

 入れ替わりを知り、秘密にしてくれる人間というのは、この先だって、もう現れないかもしれない。

俺達の全てを知って仲良くできる人間。

それは俺達黒澤家にとっては……とても貴重な人間なんだ。


だから俺達に出来る事があれば全面的に協力するし、今後ともずっと……良い関係でいたいと思っている

 ここまで言うと、ようやく聖奈も華凛も真面目に聞いてくれる。
うん……わかったわ
お姉ちゃん。聖奈お姉ちゃんともっと仲良くしてもいいの?

そうだ。聖奈や平八さんに限っては全てを喋ってもいいんだ。


俺に喋り難い事があったなら、聖奈に相談しても構わないんだぞ

そうよ華凛ちゃん。何でも聞いていいからね。
聖奈お姉ちゃん……
その代わり。私だってあんたたちに何か手伝って欲しい事があるかもしれないわよ?
もちろんだ。できる限りの事は協力するつもりだ

そんなの当たり前だろ? 


聖奈と平八さん。この二人には家族同然のように……俺はそう思ってるんだから。

だから聖奈。これからはお前ともっと仲良くしたい

そう言いながら、改まって頭を下げる。


分かってくれただろうか? とりあえず全ての気持ちを……吐き出したつもりだ。

わ、わかった……約束する。華凛ちゃん。あなたもよ
……うん。私も聖奈お姉ちゃんと仲良くしたいよ

 よし。ちゃんと言えた。実はかなり恥ずかしかったんだ。


 でもこの気持ちだけは、ちゃんと伝えないとって思ってた。

じゃあ華凛ちゃん。早速仲良くしましょ!

 両手を上げる聖奈。こっちに来いって言ってるんだろう?


 流石にいきなり抱っこはキツイだろと思っていたが、躊躇する華凛に飛び掛かる聖奈。


 あっさりと掴まってしまい、ほっぺたすりすりされてしまう。

良かったな華凛。もう一人お姉ちゃんが増えたぞ
あはっ。こ、こそば……あひひひひっ
私も妹と弟が出来たみたい。よろしくねっ

 まさか。聖奈とこんな仲良くなるだなんて。昔の俺が想像しただろうか。


 いや。何時まで経っても過去の事を言うのは聖奈にも悪い気がしてくる。


 今。こうやって華凛の相手をしてくれる聖奈を見てやらねば。

 

お姉ちゃん。私……ずっと家族だけしか仲良く出来なかったから。だから……凄く嬉しい


 思わず目を閉じてうんうんと頷いていた。

 華凛はずっと家族だけにしか笑顔を見せないからな。



 俺の前だからこんなに明るく振舞っているが、外に出れば全然違う。

 聖奈は昔から知っている関係なので普通だが、他の人の前だと……全く喋れないんだ。



 だから華凛にとって、全てを話せる人間が増えたのは非常に心強いのだろう。

 今回一番プラスになるのは華凛だと、俺はそう思った。

じゃあ今度、どっか一緒に行こっか?


私と平八が色んな場所に連れて行ってあげるね。


 華凛? ありゃ……マジかよ。  

 聖奈に抱きつかれながら、あっさりと泣いちまった。



 でもさ。華凛。分かるぞお前の気持ちが。

 本当に嬉しいんだよな?



 俺だって、同じ気持ちなんだから。



 気を許せる人間が増えるって事は、こんな簡単に泣いちまうくらい……

 俺達にとっては喜ばしい事なのだから。





 それに比べ、俺が小学校六年の頃なんて、相談する人間なんて誰もいなかったし最悪だった。



 親父くらいなもんさ。

 しかもあんまり帰ってこなかったし……



 あぁ……あんまり昔は思い出したくない。

 特に聖奈が転校してからは、つらい想い出しか蘇ってこない。





 色々あったな。ありすぎて困る。

 この入れ替わり体質を心底憎んだ、暗黒の時代だった。




 おかげで俺はこんなに……

 ひねくれ者になっちまった訳だが。





 だから俺は、この高校生活にはただならぬ決意を持って……生まれ変わろうとしたんだ。



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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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