第10話 相続 庶民バージョン(夫の失敗例)

文字数 1,427文字

 夫の亡母の時の相続手順。これは不動産を所有する庶民バージョン。

3,000万円+(600万円×兄弟3人)=4,800万円

夫の場合、相続財産が4,800万円を超えたら相続税がかかるということになります。
以下は夫が行った相続手続き。


① 司法書士を決める。遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)

で作成する。

② 

な遺産分割協議書に相続人(夫、姉、弟)が署名捺印。
(四十九日の法要のときにやっていた)
(ハンコを押してもらうお礼?として”ハンコ代”10万円を姉と弟に渡していた)
(私はノータッチです。触らぬ神に祟りなし)

③ 数日後、姉から夫へ「ちょっと待った、不公平だ、遺産分割協議書を白紙に戻せ」との怒りの電話がくる。姉からの抗議電話をほぼ毎日受け続け、夫、ギブアップ。

④ 姉の方で別に司法書士をたてる。姉から新しい遺産分割協議書が送られてくる。

⑤ 姉が作成した遺産分割協議書に署名捺印。それに沿って相続手続き。

⑥ 不動産(自宅と雑種地)は夫が相続。その他の預貯金、生命保険、有価証券は姉と弟で折半。
(絶対預貯金の方が得、私のセンサーがそう反応している)

⑦ 「これでお終いだよ」
 「相続税が発生すれば、あとで税務署から申告書だか納付書だかが届くから(適当)」
 「俺んち? 来なかったよ」


 どうやら夫は、「俺は長男で跡取りなんだから」と財産を少し多めにいただこうと目論んだみたいだ。(ソフトな表現)故人の遺言でも無いのにフリースタイル過ぎる。
姉・弟にハンコ代をいくらか渡して遺産分割協議書に署名捺印させたけど、姉が自宅に戻ってから冷静になったか或いは誰かに相談したりして、「不公平だ」と気がついてしまったといったところか。
(ハンコ代は返してもらったそうです。「当たり前でしょ!」と夫)

 ちなみに夫が相続した実家は、空き家で建物は相当古いです。
土地も路線価26千円の道路から二項(にこう)道路を入ったところにあるので、評価は察してください。
「実家も売って現金にして、全部合わせて兄弟で均等割にしたらよかったのに」
と言ったところ、
「そんな簡単にはいかないの! 親父の兄弟が実家を守ってくれって言うんだもん」
だそうです。ちゃんということ聞いて偉いな。そして田舎は面倒くさいな。


 「俺の家は地元じゃちょっとは知られた名家」「株をひっくるめると財産は億くらいになるんじゃないかなー」
と常日頃吹いていた財産は、実際のところ4,800万円を超えなかった模様。大丈夫です。信じていなかったので。

 結婚前、夫が「実家以外にも広い土地がある」と得意そうに案内してくれた先は、傾斜のキツい雑種地(ざっしゅち)だった。
300坪=991㎡。広いことは間違いないけどさ。
あの土地の印象を読んでくださっている方にどう伝えたらいいだろうか。
……場末(ばすえ)の段々畑? (ゆる)やかな崖? (上手く伝われ……!)


 その雑種地は、管理していた夫の父が亡くなったあと放置されたままである。
手入れされなくなって久しい土地だが、毎年変わらずキウイがたわわに実るそうだ。他にも、柚子、梅、山椒の木などが、所有者が夫に変わろうがお構いなしにポテンシャルを保ち続けている。

 夫は近所の住民達に「実がなったら、どうぞ勝手に取ってください」と声をかけているのだが、そのうちの1人が律儀(りちぎ)にも、収穫したキウイや手作りした柚子ジャムを夫の職場に届けてくれるそうだ。

先日、タッパーにたっぷり入った柚子ジャムをいただきました。美味しかった。
田舎は面倒くさいけど、少し面白い。

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