第39話 夫婦だからっていつまでも両思いとは限らない
文字数 1,598文字
明美は優和とはもう会うことはないと思った。
最後に優和に聞いてみたくなった。
それは明美の両親の関係についてのことだった。
母に好きな人がいて、それを父が知っている関係をどうして続けているのか。
優和の答えに期待はしていなかったが優和が何と答えるか興味はあった。
「夫婦だからっていつまでも両思いとは限らない」
優和は明美を突き放すように答えた。
優和は自分の経験をもとに答えているのか。
そうだとしたら明美は優和の答えに明美に対する優しさを感じた。
勘違いかもしれないが、明美は優和の言葉になぜか励まされていたのだった。
明美は優和の答えについて考えてみた。
それは明美が知らないだけで、父も別に好きな人がいるということなのか。
ということは双方別に好きな人がいるのに、夫婦であることを続けているということなのか。
明美の疑問に優和は言葉を付け加えた。
「今更、別れる方がめんどくさいんじゃない?」
そこに双方の合意があれば、たとえ結婚していたとしても自由に恋愛ができるということか。
だとしたら夫婦の間ではすでに愛はないということか。
優和の答えは全然ロマンチックではなかった。
でも現実はそういうものかもしれない。
明美は、なんとなく優和の答えで納得してしまった。
「でも夫婦の問題は夫婦にしか分からないよ」
優和の最後の答えはなんとなく希望があるような気がした。
明美は正人の答えが知りたかった。
正人は何て答えるだろうか。
でもその前に明美は正人とちゃんと向き合って話し合おうと思っていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
家に帰ると、正人はテレビの前にあるソファに座って、本を読んでいた。
明美は正人の横に座った。
なんて言葉を掛ければいいか分からなかった。
明美はただ正人の隣にいた。
「どうしたの?」
何もすることなく、そわそわする不自然な明美に、ついに正人から声を掛けた。
明美はその言葉に黙って、手を差しのべた。
明美は握手を求めていた。
正人は急な明美の行動にどうもできないでいた。
「なに?」
正人は冷たくその明美の行動を突き放した。
明美は思っていた以上に正人の反応に傷ついていた。
それは嫌悪感ともいえるような感情だと思った。
「握手?」
明美はどうしようもなく、ただその場の空気を誤魔化すように笑っていた。
明美の行動は相変わらず正人に配慮がなかった。
明美のその変わらない態度に、正人はずっと言えなかった言葉をついに明美に言わなければいけないと思っていた。
「あのさ」
正人の次の言葉を聞きたくないと思った。
でも明美のその願いとは裏腹に正人は言葉を続けた。
「少し考えたいんだ」
正人のその言葉は別居を意味していたことを知っていた。
明美はその後の言葉を聞きたくないとでもいうように、無意味な言葉を並べて、正人に次の言葉を話させる隙を与えなかった。
「私、すごく無神経だったよね?」
「一緒に暮らしているとどんどん遠慮がなくなって、正人も私と同じように考えてくれてると思っちゃって」
でもそんな無意味な言葉は明美を助けてくれることはなかった。
「ごめん」
「これ以上、言わなくても分かるよね?」とでも言うかのように、正人はその後の言葉はあえて言わなかった。
「夫婦だからっていつまでも両思いとは限らない」
優和の言葉が今更ながら自分にのしかかっていた。
「今更、別れる方がめんどくさいんじゃない?」
その言葉は明美に向けられた言葉だったのだ。
「でも夫婦の問題は夫婦にしか分からないよ」
夫婦でさえも分からない。
さっきまでの能天気な自分にそう言ってやりたかった。
最後に優和に聞いてみたくなった。
それは明美の両親の関係についてのことだった。
母に好きな人がいて、それを父が知っている関係をどうして続けているのか。
優和の答えに期待はしていなかったが優和が何と答えるか興味はあった。
「夫婦だからっていつまでも両思いとは限らない」
優和は明美を突き放すように答えた。
優和は自分の経験をもとに答えているのか。
そうだとしたら明美は優和の答えに明美に対する優しさを感じた。
勘違いかもしれないが、明美は優和の言葉になぜか励まされていたのだった。
明美は優和の答えについて考えてみた。
それは明美が知らないだけで、父も別に好きな人がいるということなのか。
ということは双方別に好きな人がいるのに、夫婦であることを続けているということなのか。
明美の疑問に優和は言葉を付け加えた。
「今更、別れる方がめんどくさいんじゃない?」
そこに双方の合意があれば、たとえ結婚していたとしても自由に恋愛ができるということか。
だとしたら夫婦の間ではすでに愛はないということか。
優和の答えは全然ロマンチックではなかった。
でも現実はそういうものかもしれない。
明美は、なんとなく優和の答えで納得してしまった。
「でも夫婦の問題は夫婦にしか分からないよ」
優和の最後の答えはなんとなく希望があるような気がした。
明美は正人の答えが知りたかった。
正人は何て答えるだろうか。
でもその前に明美は正人とちゃんと向き合って話し合おうと思っていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
家に帰ると、正人はテレビの前にあるソファに座って、本を読んでいた。
明美は正人の横に座った。
なんて言葉を掛ければいいか分からなかった。
明美はただ正人の隣にいた。
「どうしたの?」
何もすることなく、そわそわする不自然な明美に、ついに正人から声を掛けた。
明美はその言葉に黙って、手を差しのべた。
明美は握手を求めていた。
正人は急な明美の行動にどうもできないでいた。
「なに?」
正人は冷たくその明美の行動を突き放した。
明美は思っていた以上に正人の反応に傷ついていた。
それは嫌悪感ともいえるような感情だと思った。
「握手?」
明美はどうしようもなく、ただその場の空気を誤魔化すように笑っていた。
明美の行動は相変わらず正人に配慮がなかった。
明美のその変わらない態度に、正人はずっと言えなかった言葉をついに明美に言わなければいけないと思っていた。
「あのさ」
正人の次の言葉を聞きたくないと思った。
でも明美のその願いとは裏腹に正人は言葉を続けた。
「少し考えたいんだ」
正人のその言葉は別居を意味していたことを知っていた。
明美はその後の言葉を聞きたくないとでもいうように、無意味な言葉を並べて、正人に次の言葉を話させる隙を与えなかった。
「私、すごく無神経だったよね?」
「一緒に暮らしているとどんどん遠慮がなくなって、正人も私と同じように考えてくれてると思っちゃって」
でもそんな無意味な言葉は明美を助けてくれることはなかった。
「ごめん」
「これ以上、言わなくても分かるよね?」とでも言うかのように、正人はその後の言葉はあえて言わなかった。
「夫婦だからっていつまでも両思いとは限らない」
優和の言葉が今更ながら自分にのしかかっていた。
「今更、別れる方がめんどくさいんじゃない?」
その言葉は明美に向けられた言葉だったのだ。
「でも夫婦の問題は夫婦にしか分からないよ」
夫婦でさえも分からない。
さっきまでの能天気な自分にそう言ってやりたかった。