2 プロテスタントの妻
文字数 364文字
猩紅熱だった。子どもの看病をしていて、罹患したという。
彼女を、カプチーナ礼拝堂(ハプスブルク家代々の墓所)に葬るには、異論が出た。
ヘンリエッテは、プロテスタントだったからだ。
クリスマスに、ツリーの蝋燭に火を灯すという習慣をオーストリアに持ち込んだのは、彼女だ。
カール大公妃ヘンリエッテは、ハプスブルク家が始めて迎えた、プロテスタントの配偶者だった。
ウィーンの宗教的な寛容特別地域には、彼女の為に、プロテスタントの祈祷館が造られていた。だがこれは、彼女の死により取り壊された。
「生きていた時に我々と一緒にいた者は、死して後も、一緒にいるものだ」
皇帝はそう言って、
カール大公妃ヘンリエッテ