壹話✶光を求める者

文字数 1,171文字

「おめでとうございまーす!!!!
見事貴方は、ノーランディア学園への
入学を認められましたー!!」

その知らせが来たのは本当に突然だった。
まさか自分が選ばれるなんて貧乏人は
誰も思わないし、そこは“エリート学園”
というイメージが強いからだ。
だから俺が選ばれるなんて。

「何かの間違いじゃ無いんですか?
手違いでしたーなんてことは?」
「やだぁ、ありませんよ~!」

変な事言わないで下さい、と
言わんばかりの表情でその知らせを
運んできた女……名前は確か“セヱラ”と
いったか。が言う。

「魔法学園の生徒に選ばれれば、
将来はもう保証されていると言っても
過言では無いですもんね!
突然言われたら普通信じませんよね。
でもご安心下さい!詐欺では絶対に
あ り ま せ ん!」

愛想よく笑ってハキハキと伝える彼女の
言葉に一先ず俺は現実を受け入れる事にした。

いつまでも受け入れなかったら折角の
チャンスを捨てることになってしまうかも
しれない。それだけは絶対避けたいのだ。
何故ならばウチは金も未来も無いから。
魔法使いになれば未来は安泰。
つまり金にも困る心配は無くなる訳だ。
将来の事を考えて、そして自分の今の人生を
考えれば魔法学園へ入れば何かが変わる。
いない友達だってきっとできる。
好きな勉強だってできる。きっと。

「さぁ、それでは説明をお聞きになって
入学を希望しますか~?」
「も、勿論です。お願いします……」
「はいはーい、じゃ、一度しか言わないので
しーっかり聞いていて下さいねー!」

そう言った彼女のへ理解した、の意で
頷くと彼女は説明をし始めた。
その学園について、教育方針等の事だ。
学園に入るのに金はかからない。
むしろ無償で色んな事をさせてもらえる
らしい。それもこれも全て、金については
この王国の聖王がどうにかしてくれている
らしい。そこについては彼に感謝せねば
ならないと思う。また、あの学園は
西洋式で始業式と入学式は秋にあるらしい。
その前に全寮制の為生徒達は荷物を運び
入れ、暮らしにある程度馴れなければ
ならないのだというが。俺に関しては
特に持っていく荷物は無いので前日にでも
着けばどうにかなるだろうだなんて
彼女に言われた。まるで“貧乏なんだから
持っていける荷物なんて無いでしょう”
とでも言われている感じがして嫌だった。

「という訳で、8月31日に学園で待って
まーす☆宜しくねー!」

能天気に説明を終えたセヱラは瞬間移動
魔法か何かでさっさと消え去る。
それを俺は憧れと、希望と、そんな目で
見送ったのだった。





この出来事が、俺の人生全てを確かに、
変えてくれたんだ。本当だったら
普通の妖として嫌われながら生きるだけ
だったら筈のものを──────。
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登場人物紹介

胡龘 如月/Koryu Kisaragi


白銀色の髪と緋色の瞳を持つ

妖の少年。霊鬼という種族で、

角を持った人の姿をしている。

普段はフード等を被ってあまり

顔が見えないようにしている。

和風のものが好き。趣味は

将棋と刀の腕を磨くこと。

ルーリアレナ・ロフェニカドール・ノーランディア


この国を統治する神龍の王族。

しかも直系の王女の身である。

母親からの悪口雑言を日々

受けていた為少し人見知りだが、

心優しく友達想いな性格。

また、甘いお菓子などに目が無く

特に庶民的な菓子を好む。

ココナッツ


ルーリアお気に入りのテディベア

であり、親友。少し攻撃的で、

彼女と正反対に毒舌な一面も

持っているが基本的には良い子。

妖の一種であるが術者に囚われた

身であり、ルーリア無しでは

動くことすらままならない。

セヱラ・シェパード


魔法学園卒業生であり配達屋の

女性。学園への入学を認められた

者の元へと知らせを届けに行く事

が仕事なので夏以外は基本的に

暇人を極めているらしい。

実は優等生だがその力の程度は

分かっていない。

セロン・ナイヴァリス


ただのナルシストな少年で

主人公組と同学年。紫音に目を

つけてちょっかいを出す。

ルーリアの事が昔から好きだが、

その想いは相手が純粋すぎて

届いたことは一度も無いらしい、

可哀想な子。一応吸血鬼。

坂詰 テトラ/Sakazume _ _ _


如月とルーリアと同学年の少女

で親は下級貴族の身である。

人を見下す癖があり、例えそれが

相手がルーリアだろうと容赦無い

のだが大人の前では猫を被る。

本当はただ構って欲しいだけだが

親の躾のせいでこうなったらしい

リュンヌ・ロフェニカドール・ノーランディア


ノーランディア国王であり、

学園長の男性。普段から本当の

姿を現さず“仮”の姿で生徒の前に

現れるという。ルーリアの実の父

であるので彼女は顔を見たことが

あるようだ。無口無表情だが、

感情は一応しっかりある。

ティーナ・シザンサス


中等部一年担任でエリンジウム寮。

明るく活発な性格だがドジな

一面を持ち、生徒の方が優秀

だった、なんて事も多いという。

熱血漢で何事も全力で取り組む。

近距離戦が大の得意。魔法なんて

全くもって使えない、とのこと。

時雨/Shigure


水を操るのが得意な学園に住む

亡霊。夜な夜な学園中あちこちの

水道を開けて水遊びをする。

見つけても手を出さないように、

と言われている妖の1つである。

夜の妖(ダリア)


妖の中でも高位である危険な者。

普段は世界のあちこちで悪人を

懲らしめていたが日に日に人々

から災厄の妖だと言われるように

なり学園でも要注意妖として

指定されているものの、主人公

達が関わってしまう。名前は、

その時に彼らにつけて貰った。

天福 弥生/Amane Yayoi


人々に幸せをもたらしてくれる

優しい妖の少女。一応鬼神であり

学園に居候して生徒と仲良く

している。本来なら校則違反だが

彼女については何故か黙認されて

おり、その理由は後々わかる。

似た種族の如月を慕っている。

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