「定番」を受け取れるという喜びと、「当たり前」を贈れる勇気。

文字数 388文字


花好きの母さんには、
母の日には毎年品種を変えた花束を贈るというのが通例でした。

お花以外に関しては食べ物でも装飾品でも、物欲を一切口にしない母なので、

毎年の誕生日はいつも贈る物に悩むんです。



和菓子を贈ってみたり、
はたまた誕生石のブレスレットを贈ってみたり。

今年も例に漏れず選ぶのに苦心したのですが、
我が子の誕生日や頂き物でない限り、自らケーキを買う事のない両親なので、

思い切って小さめのホールケーキを贈ってみたんです。




カーネーションやブルースター、
バラやアイビー等の花束に見立てたフラワーケーキ。

今までケーキを贈った事がなかったのは、実家に居た頃母が「洋菓子は苦手」と呟いていたからなのですが、
仕事終わりにスマホを見ると、
母から留守番電話が入っていました。




「ケーキを貰ったのは初めてだった」

そう言う母の分かり難くも弾んだ声。



歩きながら胸が熱くなりました。

贈る事が出来て良かった。
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