あらすじ②
文字数 1,176文字
荷物の中にあったボロボロのサッカーボールをレオがからかうと、そのみぞおちに頭突きをかますみどり。うずくまったレオの首筋には無数のやけどが。あわてて隠すレオ。
日向FCの二軍・アンブレラは鉄、SO、レオ以外の全員が五年生以下。コーチは彼らを「小人ども」トップチームの選手を「羽根つきの猿」(地上戦も空中戦も強い)と呼ぶ。トップチームの練習場は専用の人工芝のピッチなのに対し、アンブレラはレンガのようにボコボコの、極端に縦に長い土のグラウンドを使用している。グラウンドじゃなくて道だ、とぼやく千住に「とっとと黄色いレンガ道とおさらばしとくれ」と返すコーチ。
アンブレラの一員となったみどり。サイドに立てば白線の上で綱渡りを始め、味方ゴールを守らせればオウンゴールして喜び、周りが何を言ってもずっと鼻歌まじり。
仕方なくそこしかできないフォワードに回されるみどり。しかしパスの出し手である鉄はオフサイドポジションにいるみどりにパスが出せず、パスを出せと言い張るみどりとぶつかる。だがパスを出すまではオフサイドポジションにいてもパスが出る一瞬だけオンサイドポジションに動くみどりが正しい、とコーチ。
不承不承アイコンタクトでパスを出すタイミングを図る鉄。だが視線を合わせようとしないみどりとどうしてもタイミングが合わせられない。コーチは動きを悟られないようにするのがストライカーだと切り捨て、その上で目に見えるものに頼りすぎだとヒントを出す。耳を澄ませる鉄。するとみどりが動き出す直前に乾いた音がするのに気づく。それは棒立ちから加速するための小さなジャンプであり、その時に新品のスパイクがぶつかる音だった。そして動く方向もそのスパイクが教えてくれた。爪先が体の向きとは無関係に向いた方向に動くのだと。
みどりと鉄のコンビが噛み合いだすと今度はゴールを決められまくるレオが激しく落ちこみ、相手に向かっていけない自分をなげく。みどりはレオに歩み寄り、固い地面に身を投げ出してゴールを守れるのに臆病なの? と問いかける。仲間が一生懸命取った得点を死守することの重要性を説くコーチも現役時代はキーパーだったのだ。
練習が終わるとレオの実家の焼肉屋にくり出す。うまそうに肉を食べる仲間をよそに、野菜にしか箸をつけないSO。コーチはSOの目の前にほどよく焼けたカルビをちらつかせ、食べなくてもいいってことほ食べてもいいことなんだと誘惑する。その会話が聞こえないように肉ばかりをむさぽり喰うみどり。
少しずつ、日向FCとの再戦の日が近づいていた。