詩小説『うんとお腹をすかせてきてほしい』3分の食卓。全ての恋人へ。

エピソード文字数 488文字

うんとお腹をすかせてきてほしい

うんとお腹をすかせてきてほしい。
私の味、私の作るモノ。私の全てで満たされる。

うんとお腹をすかせてきてほしい。
前菜からデザートまで。そのフルコースであなたの身体は作られるの。

うんとお腹をすかせてきほしい。
迷子にならないように。灯りを灯して。間違えることなく。導かれるように帰って来て。

うんとお腹をすかせてきてほしい。
小さな世界の片隅で。
世界が終ろうともここで待つ。

レモンを絞り、果汁に指が汚れた。
舐めて思わず顔をしかめた。
枯れ葉色のこの部屋は静かに。
食べる音だけで作られる。

うんとお腹をすかせてきてほしい。
今日の料理がまたあなたの身体になり、それを使って愛し合う。
うんとお腹をすかせてきてほしい。
途方に暮れたはぐれ鳥。岬の灯台に気付いて。私という止まり木で羽を休める。

うんとお腹をすかせてきてほしい。
汚れた皿もそのままに、満たされたお腹で私達、ベッドへ飛び込んだ。

うんとお腹をすかせてきてほしい。
流れ星を振るようなこの小さな世界。

うんとお腹をすかせてきてほしい、この愚かな世界の片隅で。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み