3話 ステータスが酷すぎる
文字数 2,722文字
「暖かい」
なんとか機嫌を取り戻したようだ。そもそもなんで怒っていたんだっけ。
「そういえばさっき着ていた服はどうしたんだ?」
「ボロボロにされたから捨てたの。あの時はありがとう。あのまま誰も助けてくれなかったら今頃私はここじゃなくて、アイツらのアジトでされるがままに……」
赤面した顔は途端に顔色が悪くなり、青くなる。
「そういうのはあまり想像しない方がいい。気分を悪くするだけだよ」
俺はリュミナの前に座り、とりあえず話を聞く姿勢を取る。ただそれでも顔を直視するというのはやはり俺には厳しそうだ。
「君には本当に感謝しかないなぁ……」
涙を指で拭き取り、はにかむ。
「あの男達は一体なんなんだ?」
「……あいつらはこの街で暴れている集団。主に奴隷商売をしているっていう噂」
「それで何故リュミナが絡まれることに?」
「助けようとしたんだけど……思いの外強くって失敗しちゃったんだよね」
周りに居た人々も恐ろしいから助けに入ることが出来なかったようだな。そりゃあまぁそうか。首を突っ込まなくてもいい事は避けて通るほうが良い。
だが、それを知っていながらも対抗したと言うのは凄いことだな。
「挙句の果てには助けて貰っちゃいましたし」
気が付かずに上を向いて歩いていたなんて言えないなぁ。
「もし……そう、もしですよ!?」
「は、はい!?」
いきなりどうしたんだ!? 泣いたり怒ったり驚かしに来たり、忙しいな。
「命の恩人である貴方が……もっと欲しいと仰るのでしたら……もう一つだけなら良いかな……って」
そういえばあのホログラムには物に名前を付けて保存する力があるんだったな。それなら俺の能力でもある、武器によるステータス上昇も切り替えながら戦えるようになる訳だ。
そもそもどうやってホログラムを意図的に出すか分からないが。
とりあえずもう一本選んで良いらしいので選ぶとするか。当たり棒を引き当てた感覚に何処か似ているなぁ。
「で、ですからして……ですね? も、もし水着姿の赤毛の女の子を選べば……ってちょっと!!」
なんか怒っているな? 本当に忙しい子だ。そういえば魔弾装填とかいう能力がLvUPの拍子に追加されたような。もう少し詳しく見てみたい気もする。どうすれば良いんだ。
「うあっ……あぁ……」
勝手に出てきた。ヘルプという項目らしい。内容はホログラムの表示の仕方、との事だ。まるで電子説明書だなおい。
どうやら、ホログラムは人差し指で空気を弾くようにすると出るようだ。試しにやってみるとしよう。人差し指で空気を弾くようにか。
なるほど。ホームという項目らしい。現れたホログラムには、ステータス、道具、能力、ヘルプ。っといった項目に移動できるものが備わっていた。
まずは少しばかり気になる能力を見てみようか。
なんだか鍵付きの項目がズラリとあるようだが。ウェポンズステータス、ガイドホログラム、魔弾装填。これだけは確かにくっきりと見えるが、それ以外だ。鍵がかかっているようで、詳細を確認することも出来ない。
一体どういう事なんだろうか。まぁ……それは後回しでも良さげかもしれない。女神が言っていた予期せぬ出来事。とはこの事かもしれないからな。慌てるな。
次はステータスを見てみるか。女神曰くどうやら俺は貧者なステータス配分にされているそうだ。見たところで何も分からなそうではあるが、一応。
秋斗 幸磨。俺の名前だ。名前の隣には現在のLvが記されており、その下にはステータスを表す八角形が存在した。八角形の角にはそれぞれ、体力、物理攻撃力、物理防御力、瞬発力、魔力、魔法攻撃力、魔法防御力、洞察力が記されていた。ただし、本当に貧者なステータス配分をされているようで、俺の八角形の中にはまるで点のような物しか入っていなかった。これがどうやら俺の素のステータスのようだ。
「これはひどい……」
だが、女神曰く、武器を持った状態のステータスも反映されるとの事なので、一応最初に決めた長剣を手に持つことにする。
すると、武器を所持したときに現れるホログラムが現れるのと同時に、俺のステータスの伸びが確認出来た。
伸びたのは物理攻撃力と瞬発力、洞察力で、そのどれもが八角形を飛び出る程のものだった。
もし、二つ持ったとしたならばどうなるだろうか? 試しにあの狙撃銃を持ってみよう。
現れたホログラムには、狙撃銃。魔力上昇、魔法攻撃力上昇。っと二つだけ書かれており、特殊スキルという普段見かけない欄には、魔の狙撃手とだけ書かれていた。レアリティはいつもの如く十星。
ステータスの八角形を見てみると、やはり魔力と魔法攻撃力が共に飛躍的に上昇しているようだった。それに持っている限りは重複も効くらしい。
「ねぇってば……あっ!! その銃カッコイイでしょ!! わかるわかる。スリスリしたくなるよね!!」
ホログラムをまじまじと見ていた時に、リュミナが声をかけてきた。
「まあ……そうだな」
確かに形状はシャープで無駄がないように感じるし、配色は黒一つでカッコイイ。やはりこう言った銃があるって言うだけで目を見張る物がある。
「……そ、それよりも凄い良いものがあると思うんだけど」
いや、まぁ、なんとなく分かったような気がする。私を選んでも良いんだよ。って事なんだろう……? 何故水着なのかも分かった気がする。本当は狙撃銃を置いて今すぐにでもその大きな胸を揉みしだきたいところだが、此処は我慢だ。欲を悟られるほど付け込まれやすくなるものは無い。
「この剣と狙撃銃が欲しい。良いか?」
「えっ……」
悪いな。心理戦とかは対人ゲームでしか考えたことが無かったが、俺はそう易々とは堕ちない。と思う!!
「ダメか?」
ふらふらとこちらに向かい歩き出す。
「……!!」
リュミナが取った行動は、抱きつく。だった。
「これでも……選んでくれないのですか?」
胸が!! 柔らかい人智を超えた何かが俺の腕を包み込む!! あぁ、涙ぐんだ目に、キュッとしまった唇、恥ずかしそうな表情、そして上目遣い……。
「負けました。選びます……」
「やったぁ!!」
結局、俺は男としての本能には逆らえず、負けてしまった。
なんとか機嫌を取り戻したようだ。そもそもなんで怒っていたんだっけ。
「そういえばさっき着ていた服はどうしたんだ?」
「ボロボロにされたから捨てたの。あの時はありがとう。あのまま誰も助けてくれなかったら今頃私はここじゃなくて、アイツらのアジトでされるがままに……」
赤面した顔は途端に顔色が悪くなり、青くなる。
「そういうのはあまり想像しない方がいい。気分を悪くするだけだよ」
俺はリュミナの前に座り、とりあえず話を聞く姿勢を取る。ただそれでも顔を直視するというのはやはり俺には厳しそうだ。
「君には本当に感謝しかないなぁ……」
涙を指で拭き取り、はにかむ。
「あの男達は一体なんなんだ?」
「……あいつらはこの街で暴れている集団。主に奴隷商売をしているっていう噂」
「それで何故リュミナが絡まれることに?」
「助けようとしたんだけど……思いの外強くって失敗しちゃったんだよね」
周りに居た人々も恐ろしいから助けに入ることが出来なかったようだな。そりゃあまぁそうか。首を突っ込まなくてもいい事は避けて通るほうが良い。
だが、それを知っていながらも対抗したと言うのは凄いことだな。
「挙句の果てには助けて貰っちゃいましたし」
気が付かずに上を向いて歩いていたなんて言えないなぁ。
「もし……そう、もしですよ!?」
「は、はい!?」
いきなりどうしたんだ!? 泣いたり怒ったり驚かしに来たり、忙しいな。
「命の恩人である貴方が……もっと欲しいと仰るのでしたら……もう一つだけなら良いかな……って」
そういえばあのホログラムには物に名前を付けて保存する力があるんだったな。それなら俺の能力でもある、武器によるステータス上昇も切り替えながら戦えるようになる訳だ。
そもそもどうやってホログラムを意図的に出すか分からないが。
とりあえずもう一本選んで良いらしいので選ぶとするか。当たり棒を引き当てた感覚に何処か似ているなぁ。
「で、ですからして……ですね? も、もし水着姿の赤毛の女の子を選べば……ってちょっと!!」
なんか怒っているな? 本当に忙しい子だ。そういえば魔弾装填とかいう能力がLvUPの拍子に追加されたような。もう少し詳しく見てみたい気もする。どうすれば良いんだ。
「うあっ……あぁ……」
勝手に出てきた。ヘルプという項目らしい。内容はホログラムの表示の仕方、との事だ。まるで電子説明書だなおい。
どうやら、ホログラムは人差し指で空気を弾くようにすると出るようだ。試しにやってみるとしよう。人差し指で空気を弾くようにか。
なるほど。ホームという項目らしい。現れたホログラムには、ステータス、道具、能力、ヘルプ。っといった項目に移動できるものが備わっていた。
まずは少しばかり気になる能力を見てみようか。
なんだか鍵付きの項目がズラリとあるようだが。ウェポンズステータス、ガイドホログラム、魔弾装填。これだけは確かにくっきりと見えるが、それ以外だ。鍵がかかっているようで、詳細を確認することも出来ない。
一体どういう事なんだろうか。まぁ……それは後回しでも良さげかもしれない。女神が言っていた予期せぬ出来事。とはこの事かもしれないからな。慌てるな。
次はステータスを見てみるか。女神曰くどうやら俺は貧者なステータス配分にされているそうだ。見たところで何も分からなそうではあるが、一応。
秋斗 幸磨。俺の名前だ。名前の隣には現在のLvが記されており、その下にはステータスを表す八角形が存在した。八角形の角にはそれぞれ、体力、物理攻撃力、物理防御力、瞬発力、魔力、魔法攻撃力、魔法防御力、洞察力が記されていた。ただし、本当に貧者なステータス配分をされているようで、俺の八角形の中にはまるで点のような物しか入っていなかった。これがどうやら俺の素のステータスのようだ。
「これはひどい……」
だが、女神曰く、武器を持った状態のステータスも反映されるとの事なので、一応最初に決めた長剣を手に持つことにする。
すると、武器を所持したときに現れるホログラムが現れるのと同時に、俺のステータスの伸びが確認出来た。
伸びたのは物理攻撃力と瞬発力、洞察力で、そのどれもが八角形を飛び出る程のものだった。
もし、二つ持ったとしたならばどうなるだろうか? 試しにあの狙撃銃を持ってみよう。
現れたホログラムには、狙撃銃。魔力上昇、魔法攻撃力上昇。っと二つだけ書かれており、特殊スキルという普段見かけない欄には、魔の狙撃手とだけ書かれていた。レアリティはいつもの如く十星。
ステータスの八角形を見てみると、やはり魔力と魔法攻撃力が共に飛躍的に上昇しているようだった。それに持っている限りは重複も効くらしい。
「ねぇってば……あっ!! その銃カッコイイでしょ!! わかるわかる。スリスリしたくなるよね!!」
ホログラムをまじまじと見ていた時に、リュミナが声をかけてきた。
「まあ……そうだな」
確かに形状はシャープで無駄がないように感じるし、配色は黒一つでカッコイイ。やはりこう言った銃があるって言うだけで目を見張る物がある。
「……そ、それよりも凄い良いものがあると思うんだけど」
いや、まぁ、なんとなく分かったような気がする。私を選んでも良いんだよ。って事なんだろう……? 何故水着なのかも分かった気がする。本当は狙撃銃を置いて今すぐにでもその大きな胸を揉みしだきたいところだが、此処は我慢だ。欲を悟られるほど付け込まれやすくなるものは無い。
「この剣と狙撃銃が欲しい。良いか?」
「えっ……」
悪いな。心理戦とかは対人ゲームでしか考えたことが無かったが、俺はそう易々とは堕ちない。と思う!!
「ダメか?」
ふらふらとこちらに向かい歩き出す。
「……!!」
リュミナが取った行動は、抱きつく。だった。
「これでも……選んでくれないのですか?」
胸が!! 柔らかい人智を超えた何かが俺の腕を包み込む!! あぁ、涙ぐんだ目に、キュッとしまった唇、恥ずかしそうな表情、そして上目遣い……。
「負けました。選びます……」
「やったぁ!!」
結局、俺は男としての本能には逆らえず、負けてしまった。