第9話
文字数 2,043文字
4人で楽しく話している時に、後ろから
「あ~ん、もーやだーっ永嗣ちゃん!お通し買い忘れてもう残り少ないわー!和ちゃんと買ってきてー!」
マスターが困った顔をして近づいてきた
雅貴もテーブルから離れ
「おれもちょっと別のテーブルにいるわ」
と移動したので、永嗣も和を引っ張った
「ほら、和。行くぞ」
「えー!おれ従業員じゃないっすよー!」
ぼやいている和を見て永嗣は
「…分かった、ビール1本おごってやる」
「いいんすか?やった!行きましょー!」
永嗣と浮かれる和が外に出た後、マスターは楓花をカウンターに誘導した
「永嗣ちゃんと付き合ってくれてありがとね」
「いえ、私こそ…大事にしてくれて…」
「あの子の性分よ、優しいんだけど不器用で…見た目あんなだから怖がる人もいるかもしれないけど、本当はとても繊細なの。美咲ちゃん…永嗣ちゃんのお母様の影響かしら…」
「永嗣のお母さん?」
楓花は興味を覚え身を乗り出した
「そ、井上美咲といえばこの界隈では有名な高級クラブのママだったのよ」
「井上…?」
楓花は首を傾げると
「あらやだ、永嗣ちゃん自分の苗字も言わなかったのー?やーねー!」
それでも楓花にとっては一つずつ永嗣の事が分かるのが嬉しかった
「もう気丈な人でね…そりゃそうね、23歳で先代からママを引き継いで店を大きくしたんだから…25で永嗣ちゃんを生んだけど、育児・お店はぬかりなくこなしていったわ。ただ…」
マスターは少し間をおいてまた話し始めた
「亡くなるまで苦労している美咲ちゃんを見ているから…だからなのかもしれないわ…」
「え…?」
「女の子に対して臆病なのよ。心配させまいと勝気を通した美咲ちゃんみたいに女の子に負担を掛けさせるんじゃないかってね」
「そんな…!」
自分もそう思わせてたのではないかと頭の中でこれまでの事を巡らせていた。確かにどこか気を遣わせている部分がある、そう思うと落ち込んでしまった
「あ、だめよ。自分ばかりが悪いと思っちゃ。所詮別の場所で生活してきた他人よ?すぐに意気投合するわけでもないし、長年の夫婦であっても分かり合えないものがあるんだから」
楓花は俯きながら頷いた
するとマスターは楓花の頭に手をポンと乗せ
「これからお互いを少しずつ知ればいいと思うわ。こんな私で良ければ頼ってちょうだい。なんせ私は永嗣ちゃんのもう一人のママだと思ってるから」
とマスターが微笑んでるのを見て、楓花も笑顔になった
そしてある点に気づいた
「永嗣のお父さんは…?」
マスターは少し俯きながら
「…永嗣ちゃんがお父様を知ったのは美咲ちゃんが亡くなった後なの。それまでいることすら知らなかったの」
楓花は驚いた。親子が離れている家庭は珍しくないだろうけど、知らされていないというのはどういう状況だろうと。そして、その時の幼かった永嗣の胸中はどうだったんだろうと…
「お父さんは何をされているんですか?」
すると今度はカラッとした表情になり
「それは永嗣ちゃん本人に聞いた方がいいわ」
と、少し口をつけた楓花のグラスにジュースを足した
そうだよね、こういうことは本人から聞いた方がいいね
と、楓花も納得した
「楓花ちゃん、今までの永嗣ちゃんの恋愛 、知りたい?」
「え…?」
正直興味がある、以前のこととはいえ実際にあったこと…嫉妬をするかもしれない、でもやはり興味が先立った
こくんと頷くと
「あの子ねー本当に初心 で不器用で…」
とまた乙女チックなマスターに戻り、楓花は驚いた
「永嗣ちゃんのお部屋に行きたいっておませな女の子がいたらしくて、連れて行ったら無理やり押し倒されたんですって!(笑)ああいう子だから逆に逃げちゃったんだって~(笑)きっと…いえ、あの子絶対チェリーよ~(笑)」
それを聞いて顔を赤くしている楓花の横に大きな買い物袋をドサッと置く永嗣
「マスター、楓花に変な話しないでくれる?はい、伝票」
と、永嗣も顔を赤くしていた
「あら、おかえり~」
「おかえり~、じゃねーよ、まったく油断もすきもない…」
暢気なマスターを見て、永嗣は呆れていた
すると永嗣と同じくらいの買い物袋を重たそうに抱えている和が
「本当のことだからいいじゃないっすかーっただ最初下手っすよ、楓花ちゃん」
「だから楓花にそういうこと言うなっつーの!…楓花、もう遅いから送るよ」
困った顔をして赤くなる永嗣を自分も赤ら顔になりながらくすりとほほ笑んだ
「じゃあママ、また遊びに来ます」
「いつでもいらっしゃいっ」
楓花を抱くマスターを見て驚き、すぐに引き離した永嗣はまた楓花と手をつなぎ車へ向かった
「あ~ん、もーやだーっ永嗣ちゃん!お通し買い忘れてもう残り少ないわー!和ちゃんと買ってきてー!」
マスターが困った顔をして近づいてきた
雅貴もテーブルから離れ
「おれもちょっと別のテーブルにいるわ」
と移動したので、永嗣も和を引っ張った
「ほら、和。行くぞ」
「えー!おれ従業員じゃないっすよー!」
ぼやいている和を見て永嗣は
「…分かった、ビール1本おごってやる」
「いいんすか?やった!行きましょー!」
永嗣と浮かれる和が外に出た後、マスターは楓花をカウンターに誘導した
「永嗣ちゃんと付き合ってくれてありがとね」
「いえ、私こそ…大事にしてくれて…」
「あの子の性分よ、優しいんだけど不器用で…見た目あんなだから怖がる人もいるかもしれないけど、本当はとても繊細なの。美咲ちゃん…永嗣ちゃんのお母様の影響かしら…」
「永嗣のお母さん?」
楓花は興味を覚え身を乗り出した
「そ、井上美咲といえばこの界隈では有名な高級クラブのママだったのよ」
「井上…?」
楓花は首を傾げると
「あらやだ、永嗣ちゃん自分の苗字も言わなかったのー?やーねー!」
それでも楓花にとっては一つずつ永嗣の事が分かるのが嬉しかった
「もう気丈な人でね…そりゃそうね、23歳で先代からママを引き継いで店を大きくしたんだから…25で永嗣ちゃんを生んだけど、育児・お店はぬかりなくこなしていったわ。ただ…」
マスターは少し間をおいてまた話し始めた
「亡くなるまで苦労している美咲ちゃんを見ているから…だからなのかもしれないわ…」
「え…?」
「女の子に対して臆病なのよ。心配させまいと勝気を通した美咲ちゃんみたいに女の子に負担を掛けさせるんじゃないかってね」
「そんな…!」
自分もそう思わせてたのではないかと頭の中でこれまでの事を巡らせていた。確かにどこか気を遣わせている部分がある、そう思うと落ち込んでしまった
「あ、だめよ。自分ばかりが悪いと思っちゃ。所詮別の場所で生活してきた他人よ?すぐに意気投合するわけでもないし、長年の夫婦であっても分かり合えないものがあるんだから」
楓花は俯きながら頷いた
するとマスターは楓花の頭に手をポンと乗せ
「これからお互いを少しずつ知ればいいと思うわ。こんな私で良ければ頼ってちょうだい。なんせ私は永嗣ちゃんのもう一人のママだと思ってるから」
とマスターが微笑んでるのを見て、楓花も笑顔になった
そしてある点に気づいた
「永嗣のお父さんは…?」
マスターは少し俯きながら
「…永嗣ちゃんがお父様を知ったのは美咲ちゃんが亡くなった後なの。それまでいることすら知らなかったの」
楓花は驚いた。親子が離れている家庭は珍しくないだろうけど、知らされていないというのはどういう状況だろうと。そして、その時の幼かった永嗣の胸中はどうだったんだろうと…
「お父さんは何をされているんですか?」
すると今度はカラッとした表情になり
「それは永嗣ちゃん本人に聞いた方がいいわ」
と、少し口をつけた楓花のグラスにジュースを足した
そうだよね、こういうことは本人から聞いた方がいいね
と、楓花も納得した
「楓花ちゃん、今までの永嗣ちゃんの
「え…?」
正直興味がある、以前のこととはいえ実際にあったこと…嫉妬をするかもしれない、でもやはり興味が先立った
こくんと頷くと
「あの子ねー本当に
とまた乙女チックなマスターに戻り、楓花は驚いた
「永嗣ちゃんのお部屋に行きたいっておませな女の子がいたらしくて、連れて行ったら無理やり押し倒されたんですって!(笑)ああいう子だから逆に逃げちゃったんだって~(笑)きっと…いえ、あの子絶対チェリーよ~(笑)」
それを聞いて顔を赤くしている楓花の横に大きな買い物袋をドサッと置く永嗣
「マスター、楓花に変な話しないでくれる?はい、伝票」
と、永嗣も顔を赤くしていた
「あら、おかえり~」
「おかえり~、じゃねーよ、まったく油断もすきもない…」
暢気なマスターを見て、永嗣は呆れていた
すると永嗣と同じくらいの買い物袋を重たそうに抱えている和が
「本当のことだからいいじゃないっすかーっただ最初下手っすよ、楓花ちゃん」
「だから楓花にそういうこと言うなっつーの!…楓花、もう遅いから送るよ」
困った顔をして赤くなる永嗣を自分も赤ら顔になりながらくすりとほほ笑んだ
「じゃあママ、また遊びに来ます」
「いつでもいらっしゃいっ」
楓花を抱くマスターを見て驚き、すぐに引き離した永嗣はまた楓花と手をつなぎ車へ向かった