七日の約束

文字数 1,115文字

 夏場、子供だけで河辺で遊んでいた時のことです。勿論、子供だけで河辺で遊ぶ、

だと大人達からは禁止されていたことでした。しかし、そこは子供。好奇心や遊びたい心が、平気で嘘をつく大人の言い分より勝ってしまったのです。

 水辺、それは昔から溺死の起きる場所。幾ら水泳の成績が良くとも、それは流れのない、深さも一定なプールでの話。ましてや、水着と良く水を吸う服とでは、泳ぐ難しさは格段に違います。とは言え、痛い目にあったことのない子供はそれを知らず、大人達も上手く説明出来ずにいました。この為、河辺で遊ぶ子供達は増水にも気付かず、ふざけて川岸に居た友達を突き飛ばしたのです。

 突き飛ばされた子供と言えば、踏ん張って体勢を直そうとしました。ですが、その時、川から無数の透明な手が伸び、その子供を仰向けの姿勢で川に引きずり込んだのです。暫くの間、子供達は誰も動けませんでした。その間にも、川に引きずり込まれた子供は流され、初めこそ水面から出ていた手はついに水面下に沈んでしまいます。

 残された子供達は、彼らなりに助けようとしました。しかし、時すでに遅し。流された友人の名を呼んでも反応はなく、その場所すら定かではない。子供の一人が警察を呼ぶことを提案しますが、一番力のある子から「川で遊んだのがバレるからやめろ」と言われ、解散宣言すらだされてしまいました。子供達は、罪悪感を持ちながらもグループのボスには逆らえず、しぶしぶ帰路につきました。当然、その日の夜には警察沙汰に発展しますが、ボスを恐れる子供達は口を堅く閉ざし続けました。

 それから一月以上経った日のこと、今度はグループのボスが亡くなりました。それも、自宅の浴槽で。
 ボスの死は、肺にまで水か入ったことによるものでした。ただ、その水は濾過され消毒されたものではなく、近くの川の成分と良く似ていたと言います。友人を二人失った子供達と言えば、ひたすらに怯えました。そして、ボスが居ないことも手伝って、洗いざらい河辺で起きた出来事を話し始めたのです。

 直ぐに、問題の川の捜索がなされました。しかし、時間が経ってからの捜索は簡単なものではなく、その間にも子供達は泣きながら流された友人に謝り続けました。ある日、子供の一人が夢を見ます。流された子供が、川のどこかで佇んでいる姿を。そして、佇んでいる子供は言うのです「七日、あげる」と。

 夢を見た子供は飛び起き、その日の内に友人に夢の内容を話しました。しかし、誰一人としてその場所が分からず、夢を見た子供は次の週には帰らぬ人になりました。グループの残された子供は恐怖に怯え、その数日の内に友人が話したものと同じ夢を見たのだと言います。
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