第6話

文字数 3,231文字

普通の生活に戻って5年後、剛が居る森林に勇気が現れた。

「久しぶりです」

「勇気さん!どうしてここに」

「白さんからの伝言を伝えに来ました」

「白から」

「新たな水晶の気を感じるから気をつけろと」

「新たな水晶」

「学も気を感じたと言ってました」

「俺も感じた」

スーツ姿の水晶が現れると勇気と剛は驚いた顔で見つめた。

「その格好どうしたんだ」

「大介の店でスタッフとして働いてるんだ」

剛の問いに水晶がそう答えると剛が口を開いた。

「大介、一言も言わなかった」

「俺が剛には言わないでくれと言ったんだ」

「スーツ姿、似合ってるよ」

「そうか」

「それじゃ俺は帰ります」

「知らせてくれてありがとう」

「……」

剛に向かって頭を下げると勇気は森林を歩いて去っていった。

「仕事が待ってるから行くよ」

「水晶もありがとう」

「気をつけろよ」

「あぁ」

「じゃあな」

「……」

歩いて去っていく水晶を見送ると剛は魔法の杖で新たな水晶を調べ始めた。

「俺には感じないが」

剛が魔法の杖で調べ続ける頃、大介が経営しているホストクラブクリスタルに1人の男性が近づいていた。

ーホストクラブクリスタル、社長室ー

机の椅子に座ってパソコンで仕事をしているとスタッフが現れた。

「大介さん」

「どうしたんですか?」

手を止め椅子から立ち上がると大介はスタッフに近づいた。

「ホストになりたいと男性が来てるんですが、面接しますか?」

「来てるのに帰すのも悪いから面接します」

「わかりました」

返事をしスタッフが社長室を出ていくと黒一色の服装で黒水晶のブレスレットを手首にはめた男性が入ってきた。

「お座りください」

「……」

ドアを閉めソファーに近づくと男性はソファーに座っている大介を立たせそのまま唇を重ねた。

その後、男性は唇を離し口を開いた。

「やっと会えましたね、大介さん」

「どうして俺の名前を」

「あなたのこと黒水晶で見てました」

大介の頬に触れたその時、ドアが開き水晶が現れた。

「良いところだったのに」

「……」

「大介さん、また会いましょう」

そう言って黒水晶のブレスレットに触れると男性は一瞬で消えていった。

「大介さん、大丈夫ですか?」

「大丈夫です」

近づいてくる水晶に返事をすると大介はソファーに座った。

「暫くの間、剛さんの側に居た方が良い」

「店をほったらかしにはできません」

「店は俺が守るから心配するな」

「わかりました」

大介がソファーから立ち上がると1人の男性が現れた。

「お待たせしました」

「来たか」

「水晶さん、彼は?」

大介が問いかけると水晶が口を開いた。

「彼の名は晶(しょう)、俺が生み出した」

「晶さん」

「晶が森林まで護衛する」

「行きましょうか」

「はい」

大介が晶に近づくと水晶が晶に向かって口を開いた。

「晶、気をつけろよ」

「はい」

水晶に向かって頭を下げると晶は大介を連れて社長室を出ていった。

「結界を張っておくか」

そう言って水晶は店ごと結界を張り仕事に戻った。

ー森林ー

魔法の杖で調べていた剛は大介のことが気になった。

「大介、大丈夫だろうか」

魔法の杖を消し大介を迎えに行こうとしたその時、剛の前に黒一色の服装で黒水晶のブレスレットを手首にはめた男性が立っていた。

「いつのまに」

「初めまして黒金(くろがね)といいます」

「君が水晶達が言っていた新たな水晶玉」

そう言って剛は魔法の杖を出現させ掴むと構えた。

「俺は戦いをしに来たんじゃありません」

「戦いをしに来たんじゃないなら何しに来たんだ」

近づいてくる黒金に剛が口にすると黒金は剛の前に立ち耳元で囁いた。

「大介さんを俺にください」

「大介をお前に…ふざけるな」

そう言って剛が魔法の杖で攻撃すると黒金は攻撃を避け口を開いた。

「簡単にくれないですよね」

「大介は物じゃない…大介は俺の大切な人だ」

「大介さんをものにするにはあなたを倒すしかないようですね」

そう言って黒水晶のブレスレットに触れると黒金は黒水晶の杖を構え剛に向かって黒水晶の光線を放った。

光線を防ごうと剛が魔法の杖で結界を張ると黒水晶の光線は結界を破り剛の身体に突き刺さった。

「……」

手から魔法の杖を離すと剛は仰向けで倒れた。

「たいしたことありませんでしたね」

そう言って黒金が一瞬で消えると晶を連れて大介が現れた。

「剛さん!」

叫びながら倒れている剛に駆け寄ると大介は剛の身体を抱き起こした。

「剛さん…剛さん…」

「……」

「水晶さんを呼んできます」

目を覚まさない剛を見て晶がその場から居なくなると大介は身体に突き刺さった黒水晶の光線を抜き声をかけた。

「剛さん…俺の声が聞こえますか…剛さん…」

目を覚まさない剛に大介の目から涙が流れると剛の目が開いた。

「…大…介…」

「剛さん…」

目を覚ました剛に喜び大介は剛を抱きしめた。

その後、大介が剛の身体を寝かせると剛が苦しみだした。

「うああー」

「剛さん!」

「うああー」

「剛さん…」

どうして良いかわからない大介が苦しむ剛の姿を心配そうな顔で見つめていると傷に築き目を向けた。

「ここは光線を抜いた場所…俺が抜いたから傷に毒が…」

光線を抜いたことに大介が後悔していると晶が水晶を連れて戻ってきた。

「剛さん!」

水晶が駆け寄ると大介が口を開いた。

「突き刺さった光線を抜いたら苦しみだしたんです、抜いた光線はあれです」

そう言って大介が指をさすと水晶は光線を掴み見つめた。

「黒水晶の光線…」

「……」

心配そうな顔で大介が剛を見つめていると水晶が大介に向かって口を開いた。

「この光線に毒が塗られてます」

「その毒が身体の中に入って剛さんは苦しみだした」

「そうです」

「毒を抜く方法はないんですか?」

「勇気なら知ってるかも」

「俺が勇気さんを連れてきますから水晶さんは剛さんを頼みます」

そう言って大介が立ち上がり走っていくと水晶が晶に向かって口を開いた。

「晶、大介さんを頼む」

「わかりました」

晶が大介を追いかけていくと水晶は毒の進みを遅らせるため剛自体に水晶の結界を張った。

「大介さん、待ってください」

「……」

「待てって言ってるだろ」

力一杯走り大介に追いつくと晶は大介の手首を掴み止めた。

「何するんですか」

「走ってもいつ着くかわからない、瞬間移動でいくらから勇気さんの店の場所を思い浮かべて」

「わかりました」

晶に手首を掴まれたまま大介が勇気の店の場所を思い浮かべると晶は感じとり瞬間移動でホストクラブユウキに向かった。

ーホストクラブユウキー

勇気が女性客を接客していると大介と晶が近づいてきた。

「勇気さん!」

「大介さん!どうしてここに」

「話しはあとです」

大介が勇気の手首を掴みソファーから立たせると皆が見ている前で晶は大介と勇気を連れてその場から消え森林に向かった。

ー森林ー

水晶の結界の中で苦しむ剛を心配そうな顔で水晶が見つめていると大介と晶が勇気を連れて現れた。

「勇気…」

毒が塗られた黒水晶の光線を水晶が見せると勇気が口を開いた。

「黒水晶…毒が塗られてるな」

「剛さんが毒にやられて苦しんでる、今は毒の進みを遅らせるために水晶の結界を剛さん自体に張ってる」

「わかった、水晶」

1人にしてくれという顔で勇気が見つめると水晶が口を開いた。

「何かあったら知らせろよ」

そう言って水晶が大介と晶を連れてその場から消えると勇気は水晶の結界を解き傷に手を当て金色の瞳の力で身体の中の毒を治療し始めた。

ー大介の家ー

寝室の中に姿を現すと大介が水晶に向かって口を開いた。

「どうして離れたんですか?」

「勇気が1人してくれといったから離れたんです」

「……」

「側に居たい気持ちはわかります」

「……」

「男の癖にうるさいな」

そう言って晶は大介に近づき唇を重ね気絶させるとベッドに寝かせた。

「晶!」

「勇気さんから連絡が来たら目覚めさせますから心配しないでください」

そう言って晶が壁にもたれながら体育座りで座ると水晶も壁にもたれながら体育座りで座り勇気の連絡を待った。
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