ひつじさんの毛刈り

文字数 675文字

とある牧場の初夏の日。
そろそろここに住んでいるひつじさんたちは、毛刈りのシーズン。

牧場に住む人間は、大人のひつじさんたちの毛刈りで大わらわ。

そんな中、不安に思う一匹の子羊がいました。
子羊はお母さんにたずねました。

「ねえねえ、お母さん。人間たちがお父さんを捕まえたよ」
「大丈夫よ。人間はお父さんに悪いことはしないわ」
「ねぇねぇ、人間たちは大きな機械を持ってるよ。怖いよ」
「大丈夫よ。人間たちは私たちのこのふさふさな毛を刈ってくれるのよ」
「毛を刈るのって痛い?」

子羊はお母さんにたくさん質問します。

質問しているうちに、子羊の番になりました。

「お母さん、怖いよ。痛いのは嫌だよ」
「大丈夫だから。行ってらっしゃい」

子羊は一瞬人間から逃げようとしましたが、すぐに捕まって、脚をつかまれてしまいました。

「怖いよ、怖いよ!」
「ああ、この子は初めての毛刈りだったね。大丈夫だよ。すぐに終わらせよう」

人間は大きなバリカンをブイーンと鳴らすと、子羊の体に当てます。

「怖いよ、怖いよ!」
「大丈夫、大丈夫」

人間は子羊の毛をごっそりと落とすと、取れた毛の山を子羊に見せました。

「暑かっただろ? こんなに取れたよ。すっきりしたかな?」

子羊はびっくりしました。
あれだけ怖かったのに、バリカンの音が止むとも体が軽くなっています。

終わると、すぐにお母さんの元へとかけよりました。

「お母さん、僕、どうなっちゃったの?」
「ふさふさだった毛がなくなったのよ。涼しくなったでしょ」
「そう言われれば、そうかも」

こうして子羊の毛刈りは無事に終わり、牧場は夏に向けての準備がいよいよ始まるのでした。
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