立っていたのが。

文字数 1,240文字

「…あなた、誰さん!?

 校舎の入り口を探していた私は、声のした方に視線を動かしました。

 そして固まります。

 立っていたのが…私だったから。

「え~とぉ。。。」

 もう一人の私は、しげしげと私を見ました。

「あ。」

 前の高校の制服を着ている事に気付き、声を上げます。

「─ もしかして転校生さん?」

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「学校でスマホに電話して来て…何の用?」

 廊下の奥から、1人の女生徒がこちらに向かって来ました。

 踏み出そうとした足が、私を見てピタリと止まります。

「…?」

 その姿は、制服以外 私そのままでした。

 私の横に立っている女の子が手を振ります。

「あ・こ・ちゃーん!」

「佳子?」

「彼女、転校生なんだって♡」

「え?」

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「お2人は…双子さんなんですか?」

 同じ顔の一方が微笑みました。

「私は、紀伊佳子。で、こちらが妹の亜子ちゃん。」

「ほ、穂積華です…」

 亜子さんの隣から、私の横に移動する佳子さん。

「世の中には、自分そっくりな人間が3人はいるって…言うじゃない?」

 頷いた私の腕に、佳子さんが腕を絡めます。

「コンプリート…させてあげる♡」

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「かぁ~。電話で言われた通り、たぁと なぁを連れて来たよ~」

 廊下の角から現れた、3人の女生徒。

 いずれもが、私と瓜二つでした。

「だ、誰ちゃん?!

「あなた…佳子さんじゃ無いですよね?」

 姿形が同じ4人が立ち竦みます。

 隠れていた佳子さんが、亜子さんの手を引いて現れました。

「姉さま方、転校生の華ちゃんです♡ 私達にそっくりでしょ?」

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「み、三つ子さんですか?」

 尋ねた私に、3つの同じ顔の1つが答えました。

「私が長女で曽斗野奈美。こちらが次女の多美さん。で、佐美さん」

 横に立っていた佳子さんが、私の肩に抱き付きます。

「彼女は、穂積の華ちゃん♡」

 亜子さんは、佳子さんを私から引き剥がしました。

「転校してきたのは…華さん一人?」

「はい。そうですが?」

「まあ、そうだよねぇ…」

 私から剥がされた佳子さんを手招きする多美さん。

「以前、話題にした事があってねぇ」

 抱きついてきた佳子さんの髪の毛を撫でます。

「双子と三つ子が揃ったから…次は、四つ子のそっくりさんが現れるかもって」

 頭を撫でられながら、佳子さんが呟きました。

「でも…1人と双子と三つ子で、1・2・3と揃いました♡」

 佳子さんのほっぺを、佐美さんが突きます。

「じゃあ次こそは…四つ子が登場するかもだね! かぁ」

「…そんな冗談みたいな事、起きると思います? 佐美姉さま」

 口に出さずに、私は思いました。

(1つの高校に、6人の同じ容姿の人間が揃うだけで…十分『冗談みたいな事』だと思うのだけど。。。)
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