(二)-11

文字数 359文字

 披露宴会場の中では、奥の方では衝立とデスク、椅子を運び込まれるのが見えた。矢部翠という西高井戸署の交通課の巡査が古淵警部の指示の下でテキパキと作業をしていた。
 そして新婦の両親は都庁の職員なのでただの公務員なのだが、新郎の父親は神奈川県警の現役警察官だった。
 警察関係者の多くは、古淵に手伝いを買って出た。しかし、現場の保全と事情聴取の関係から、丁寧に断って少人数で現場を回そうとしていた。
 署轄の総務係をしていた警察事務官の倉見朱美は、事件のショックで倒れてしまった。臨港警察署の刑事が到着した頃には意識を戻したが、事件が起こる前から白かった顔は血の気を失って真っ青だった。
 私たちは披露宴での自分の席に座り、状況を見守っていた。私もみなみも同じ警察官なのだが、若干お酒が入っていたこともあり、黙っていた。

(続く)
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