the Beginning

エピソード文字数 1,587文字

 ― イギリス・ソルシティの一角で ―

 珍発明で有名な科学者ドクター・フリックが、火、水、雷、土の四つの属性を持つエネルギー体「エレメンタルウエーブ」を開発した。しかし作者の管理が甘かったために、それらは研究所を突き破って暴走した。
「ほえ~、これは大変だす。急いでエレメンタルウエーブが当たった者を見つけるだす」


 一方その頃、グレイ家の四兄弟 ― 彼らは皆、日本で言う「ニート」である ― が、兄弟みんなでビリヤード場に行こうとして、家の外に出た。
 そのときだった。赤い光線が長男フレディに、青い光線が次男ブライアンに、黄色の光線が三男ロジャーに、そして茶色の光線が四男ジョンに直撃した。
「おわっっ!!」
 4人全員が突然の事態に軽く苦しい顔をした。彼らは何が起きたのか理解できなかったが、フレディが弟たちに声をかけた。
「おまえら、大丈夫?」
 すぐ下の弟のブライアンは上半身のあちこちを触ったあと、落ち着いて答えた。
「ああ、取りあえずけがはしてないようだ」
 ロジャーが言葉を継ぐように言った。
「でも、何だったんだ、今のは?」
「まだ何か変な感じがするなぁ」

 末弟のジョンがそう言ったとき、彼の手から砂がさらさらと落ちた。
「え、え、今、僕の手から砂が!?」
「や、まさか。何も持ってないのに…」
 そう言ったロジャーの手の周りに、電気がバチバチ鳴った。
「えっ!!?今、俺の手から電気が!」
「人体から電気が流れる訳ないだろ…うおぉ!?」
 ブライアンの手の周りに、らせん型に回る水が出現した。
「…何かのトリックか、これ?」
「そんな、あり得ないっしょ」
 今度はフレディの両手のひらから、赤い火がバーナーのように現れた。
「ああっ!今、何か俺の手から火が出た!」
 それぞれの体に起こった異変を見て、兄弟たちはパニック状態になった。

 「俺、何かの拍子に放火するかも!」
「電気製品とかしばらく触れねえな」
「人に触れたら感電させそう…。うわ、考えただけで怖い」
「いろんな物を砂だらけにしちゃうかも。はあ~あ…」

 グレイ家のニート兄弟がそんなふうに騒いでいると、眼鏡を掛けた白衣姿の太ったおじさんがやってきた。
「ほやほや、レーダーが強く反応してますなあ」
「あっ、ドクター・フリック」
 フレディは、珍発明家を通称で呼んだ。
「ドクター・フリックのしわざかよ」
 ジョンが、あきれたように言った。
「いったい俺たちに何が起こったんだ。説明してくれ」
 ブライアンにそう言われて、ドクター・フリックは説明をはじめた。
「実はわし、『エレメンタルウエーブ』っちゅうものを開発したんだす」
「エレメンタルウエーブって、何だ!?」
「ほえ~。エレメンタルウエーブというのは、火、水、雷、土の四つの属性を持つエネルギー体なんだす。それを浴びた生物は、その属性の能力を使えるんだす」
「じゃあ、俺たちの体に異変が起こってるのは、そのエネルギー体の影響なんだな」
 ブライアンが真顔で言うと、ドクター・フリックがうなずきながら答えた。
「ほえ、そういうことだす」
「属性とかエネルギーとか、何かゲームの世界みたいだな」
 ロジャーがちょっとワクワクしながら発言したが、末弟のジョンが心配そうに尋ねた。
「じゃあ、僕たちどうすれば元に戻るんですか。この体じゃ、普通に暮らせなくなりそうだ」
 ドクター・フリックも困った顔をした。
「いや~、それなんだすが…今、エネルギーを無力化する装置を開発中で、今しばらく時間がかかりそうだす。もう少し我慢してほしいだす」

 グレイ家の四兄弟は、そろってため息をつき、長兄フレディがつぶやいた。
「マジかよ」

 しかし、このときの彼らはまだ知らなかったのだ。自分たちがとんでもない戦いに巻き込まれることを。
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