第1話(1)

エピソード文字数 1,216文字

「と張り切ったけど、その前にやることがあったな」

 俺はリビングに移動し、そこにあるテーブルさんの前に座る。
 皆様、ごめんなさいね。自分は学生ゆえ、夏休みの宿題をやらないといけないのです。

「師匠は、全部片付けてから遊ぶ派ながやね。ワシとは大違いぜよ」
「へぇー、アンタは後で一気タイプなのか。それっぽいよね」
「従兄くん、そうじゃないのよ。フュルさんは、最後まで少しもやらずに先生に叱られるタイプなのよ」
「にゅむむ。小学生(しょーがくせー)と中学生(ちゅーがくせー)の時は、いっつも怒られてたよねー」

 コイツ最低だ。まさか、某Kさんに似たヤツがいるとはな……。

「先生に、師匠。ワシは…………叱られても結局は宿題をやらんかった件を、心底後悔しゆうがぜよ……」

 傍にあるソファーに腰をかけたフュルは、溜息を一つ。アンニュイな表情を浮かべた。

「急にどうしたよ。なんなのさ」
「ワシらぁは力を得たき、義務教育中の先生以外は学校に行けんようになったが。毎日毎日仕事仕事で、時々『あの時もっと真剣に学生をやればよかった』って感じるがよね」

 ここで背もたれに体重を預け、ゆっくりと天井を仰視する。

「働けば勉強しなくていい――。そんなコトを言いよった自分が、バカぜよ。仕事を辞めて、学校で友達と勉強をしたいもんぜよ……」
「だったらフュルさん、今から入ればいいわよ? 勇者は仕事が少ない上に秘書さんは超が付くほど有能で、独りでこなせるから」
「えっ!?

 皆さんはきっと、金堂フュルは目をキラキラさせていると御思いでしょう。ですが彼女は、『ゲッ』っとなっております。

「にゅむんっ、フュルちゃんはお勉強(べんきょー)をしたかったんだねーっ。あたしも、入れるよーにサポートするよーっ」
「あ、いいや、ほ、ほらあれよっ。英雄は、個人的な理由で仕事を放棄したらいかんがぜよ! 自より他を優先せないかんがよっ!」

 フュルちゃんは、汗がダラダラ垂れている。これは……。

「ワシは勉強をしたいけど、この頭脳は国の平和のタメに使わないかんがよね! あんなコトに頭を使うのは嫌――しまっ!」
「ついに本音が出たな。貴様は宿題の話を誤魔化したくて、心にもない言葉を発しやがった――お前は演技がヘタッピだから、前々から用意してたんだよなぁ?」
「…………すまんぜよ! それが出た時に備えて、コッソリ準備しちょりましたっ。頭を使う勉強大嫌い、主に身体を使う仕事大好きながです!」

 彼女は、ものすごい勢いで土下座した。
 怒られないようにするために、練習って……。力の入れ所が違ってます。

「勉強は、勘弁してつかぁさい! 脳が壊れますき!」
「…………ったくぅ、くだらんことに時間を使わせるなっての。もう宿題やるぞ」

 俺は、はぁと嘆息。いつものように呆れまくり、ジト目を送ってからプリントさんに目を落としたのだった。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

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