紐付きの飼い猫

文字数 1,109文字

 数日後、アランは再びニコライに呼び出された。この際、ニコライは外出許可の日時が決定したことをアランに告げ、移動に車を使って良いことも告げた。アランは、外出中常にカメラ付きのチョーカーを着けていなければならず、外した場合は罰が待っていることを告げられた。

 また、現在の仕事について口外することも許されず、話した場合は聞き手を消すとも伝えられた。アランは動揺しながらもそれらを聞き入れ、指定された日時にニコライの元へ向かった。彼は、そこでカメラ付きのチョーカーを装着され、外してはならないことを強調される。

 そうした注意を受けた後、アランはベルカの案内を受けながら建物の外へ出た。この日の天気は快晴で、アランはその日射しの強さに目を細める。
 
「車は、手入れされたものが用意されています。それでは、お気をつけて」
 ベルカは、そう伝えると頭を下げた。この際、アランは彼女に対して礼を述べ、用意された車に乗り込んだ。車は直ぐに走り出せる様にキーが刺さったままで、それを見たアランは小さく息を吐く。

「この場所じゃ、盗られる心配も無いってか?」
 キーを回し、アランは車のエンジンをかけた。彼はベルカを一瞥してからアクセルを踏み、車の癖を確認しながら目的とする場所へ向かい始めた。
 
(土産、買ってくか)
 アランは車を停め、財布の中身を確認してから店へ入った。彼は、そこで様々な物を買っては車の後部座席へ乗せていく。そして、購入品の数を声に出して数え、確認を終えたところで運転を再開した。その後、アランは休憩を挟むことなく運転し、彼が育った場所に到着する。アランは、その場所を眺めると頬を緩め、購入した品々を抱えて孤児院へ入った。

 昼どきに到着したせいか孤児院に子供達の姿はなく、アランは買い込んだ荷物を持って食堂へ向かう。食堂にも子供達の姿は無かったが、アランはそれを気にすることなく調理場に入った。

 調理場に人影はなく、アランは綺麗に片付けられたテーブルへ荷物を置いた。彼は、調理場にあるホワイトボードを見付けると、専用のペンを手に取った。そして、アランはホワイトボードに用件を書き込み、最後に自らの名を小さく記した。彼は、そうしてから運びきれなかった荷物を運ぶ為、小走りで車の元へ戻る。

 その後、アランは残りの荷物を抱えて調理場へ向かった。この時も、移動中に誰とも会うことが無かった。しかし、調理場に入ったところで、彼はホワイトボードを眺めている女性を見つけた。その女性は恰幅が良く、年齢はアランと同じ位である。
 
 その女性は、調理場へ入ったアランに気付くなり笑顔を浮かべた。そして、アランの方へ向き直ると、楽しそうに口を開く。
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登場人物紹介

アラン


ガチムチ脳筋系の兄貴キャラ。
それでいて上の指示には従順な体育会系な為に社畜と化す。

純真な心が残っている為、それで苦しむが、何が大切かを決めて他を切り捨てる覚悟はある。

ニコライ的には、瞳孔が翠で良い体格の(おっちゃんなもっとデカなるでな)理想的な茶トラ人間バージョン。
なので気にいられてる。

ニコライ・フォヴィッチ


裏社会で商売している組織のボス。
ロシアンブルーを愛する。

猫好きをこじらせている。
とにかく猫が好き。
話しながら密かにモフる位に猫が好き。
昔はサイベリアンをモフっては抜け毛で毛玉を育てていた系猫好き。
重症な猫好き。
手遅れな猫好き。
猫には優しい。
猫には甘い。
そんな、ボス。

アール


ニコライの側近。
眼鏡でエルとは瓜二つ。
服も支給品の同じスーツなので、見分けは右にある黒子。

ニコライ的にはタキシード模様の猫その1。
黒い毛並みを維持する為の投資は厭わない。

エル


ニコライの側近。
眼鏡でエルとは瓜二つ。
服も支給品の同じスーツなので、見分けは左にある黒子。

ニコライ的にはタキシード模様の猫その2。
黒い毛並みを維持する為の投資は厭わない。

青猫
ニコライの愛猫。
専用の部屋を持つ部下より好待遇なお猫様。
ロシアンブルーだからあまり鳴かない。
そこが気に入られる理由。
専属獣医も居る謎待遇のお猫様。

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