第18話中華料理店店主 楊
文字数 935文字
午後3時、近所の中華料理店の店主が入って来た。
「いらっしゃいませ、楊さん」
飛鳥は、いつものように、ふんわりとした挨拶。
楊は、にこやかに飛鳥の前に座る。
飛鳥は、楊の前に、冷たいほうじ茶を置く。
「仕込みは若い人に?」
楊は、ほうじ茶をゴクゴクと飲み、またにこやかな顔。
「美味いねえ・・・これ・・・」
「うん、息子に任せてる」
飛鳥は、楊の前に、大福餅を置く。
「餡は、和風ですよ」
楊は、うれしそうな顔。
「これこれ・・・ここの店伝統の大福」
「若い頃からだから・・・先々代から食べている」
「・・・って半世紀?」
飛鳥は、深く頭を下げる。
「長いお付き合い、ありがとうございます」
話題は中華料理の流行だった。
楊
「横浜で何か流行ると、こっちまで影響してね」
「フカヒレ、肉まん、タピオカ、酸辣湯、飲茶、最近は揚げ小籠包か」
飛鳥
「中華料理は幅広く、美味しい物にあふれていますから」
「春巻きでも、昔はカスタードクリームが中に入るとか」
「アレンジする力も、すごいなあと」
楊
「この神保町も激戦区でね」
「いろんな店で、切磋琢磨」
飛鳥
「神保町には、かつての国家主席の周恩来さんが学生の頃に通った店とか」
「池波正太郎先生ごひいきの店は、独特の焼きそばと、冷やし中華は元祖とか」
「そういう豪華な中華料理店もありますし」
「昔ながらの、関東風中華そばと炒飯の店もある」
楊は、飛鳥の顔を見た。
「ところで、気になっていることないかな」
「飛鳥君が、日本人として・・・とか」
「同じ業界の人として」
飛鳥は、少し考えて答えた。
「味とか料理、そのものは言いません」
「やはり、日本人が求めるものは、店の清潔感」
「店員の接客態度も、気にします」
「楊さんのお店は、安心して入れますが」
楊が頷くと、元は続けた。
「整理整頓がなされていない、掃除が徹底されていない」
「店員に愛想がない、水を置く所作一つでも、酷い店もあるとか」
「もっと酷いのは、お皿が欠けているとか」
「よく洗って拭いていないのか、水のコップが生臭いとか」
「そういう店は、やがて何か失敗するリスクがあるかなと」
楊は厳しい顔になった。
「神保町の中華で、食中毒を出せば、全体に関わる」
「会合で話してみるよ、ありがとう」
「俺もね、少し感じていたんだ」
と、そのまま飛鳥の手を握っている。
「いらっしゃいませ、楊さん」
飛鳥は、いつものように、ふんわりとした挨拶。
楊は、にこやかに飛鳥の前に座る。
飛鳥は、楊の前に、冷たいほうじ茶を置く。
「仕込みは若い人に?」
楊は、ほうじ茶をゴクゴクと飲み、またにこやかな顔。
「美味いねえ・・・これ・・・」
「うん、息子に任せてる」
飛鳥は、楊の前に、大福餅を置く。
「餡は、和風ですよ」
楊は、うれしそうな顔。
「これこれ・・・ここの店伝統の大福」
「若い頃からだから・・・先々代から食べている」
「・・・って半世紀?」
飛鳥は、深く頭を下げる。
「長いお付き合い、ありがとうございます」
話題は中華料理の流行だった。
楊
「横浜で何か流行ると、こっちまで影響してね」
「フカヒレ、肉まん、タピオカ、酸辣湯、飲茶、最近は揚げ小籠包か」
飛鳥
「中華料理は幅広く、美味しい物にあふれていますから」
「春巻きでも、昔はカスタードクリームが中に入るとか」
「アレンジする力も、すごいなあと」
楊
「この神保町も激戦区でね」
「いろんな店で、切磋琢磨」
飛鳥
「神保町には、かつての国家主席の周恩来さんが学生の頃に通った店とか」
「池波正太郎先生ごひいきの店は、独特の焼きそばと、冷やし中華は元祖とか」
「そういう豪華な中華料理店もありますし」
「昔ながらの、関東風中華そばと炒飯の店もある」
楊は、飛鳥の顔を見た。
「ところで、気になっていることないかな」
「飛鳥君が、日本人として・・・とか」
「同じ業界の人として」
飛鳥は、少し考えて答えた。
「味とか料理、そのものは言いません」
「やはり、日本人が求めるものは、店の清潔感」
「店員の接客態度も、気にします」
「楊さんのお店は、安心して入れますが」
楊が頷くと、元は続けた。
「整理整頓がなされていない、掃除が徹底されていない」
「店員に愛想がない、水を置く所作一つでも、酷い店もあるとか」
「もっと酷いのは、お皿が欠けているとか」
「よく洗って拭いていないのか、水のコップが生臭いとか」
「そういう店は、やがて何か失敗するリスクがあるかなと」
楊は厳しい顔になった。
「神保町の中華で、食中毒を出せば、全体に関わる」
「会合で話してみるよ、ありがとう」
「俺もね、少し感じていたんだ」
と、そのまま飛鳥の手を握っている。