【昔話】 ❀ 西方ヒストリア2

文字数 855文字

お殿様は、助けた忍者をたびたび呼んでは、彼の持つについて話をきいた。


忍者は喜んで、自分の妙技について、お殿様に語った。

遁走術(とんそうじゅつ) は「逃げ・隠れ」の技でございます。


「逃げ」は、勝つための策ともなりうるのです。

ほほう。逃げるが勝ちとな?

その通りでございます。


勝ち目のない戦いを強いられた時、必ずしも正面から立ち向かうことが得策とは限りません。

然れど、それでも引けぬ戦いの時には?


逃げようにも逃げられぬ時は?

劣勢の時は、こちらの兵力を知られてはなりません。


そのため、逃げたように見せかけたり、一旦は身を隠すのです。


味方の数が足りないのなら、数が多いように見せかけることもできます。

数が多いように見せかける・・・ほう、興味深い。


どのような技じゃ?

・・・・・・。

すると忍者は急に無言になり、ふすまの方をじっと見た。


ふすまの向こうに人の気配がしたからだ。

殿。今、よろしいでしょうか。
ふすまの向こうにいるのは、家臣のようだ。

おお、そちか。入れ

ふすまが開いて、家臣が入ってきた。

忠平(ただひら) はすごいのう。


そちがふすまの前に控えたと、すぐに察しおったわ

忠平(ただひら)
その者の名じゃ。
この忍びの者の・・・。ほう?

家臣は、忍者・忠平を、じろりと見た。


この忍びが悪さをしないかと警戒しているのだ。

折り入って、殿のお耳に入れなくてはならないことが。


実は、またが出て・・・

なに、またか!

蝉籠村の方でも、山鶴村の方でも、村人たちが「物盗りに遭うた」と申しております。


山賊たちは、猪や鹿をむやみやたらに狩っております。

近頃の山賊には手が焼ける。


このあたりは山深く、隠れられたら探すのも一苦労じゃ

恐れながら。


賊を捕まえるのでしたら、私に妙案がございます

まことか?

しかし家臣は神妙な面持ちで、忍者・忠平を見つめた。

妙策がなにかは知らぬが、殿の御前で、安易に物を申すな。


身の程をわきまえよ。

そう申すな。おまえは頭が固いのじゃ。


今は急ぎ、策を練らねばならぬ。


わしは策が聞きたい。忠平、遠慮せず申してみよ。

はい。では・・・

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登場人物紹介

日高萌栄 (ひだか・もえ


中学2年生、13才の少女。

カピバラをこよなく愛する。

重黒木 鋼じゅうくろぎ・はがね


中学2年生、13才の少年。機械いじりが得意。

椎葉 発(しいば はつ)


中学2年生、13才。

萌栄の友達。花火師の孫。

黒木 殿下(くろき でんか)


萌栄のライバル

那須 雨音(なす あまね)


殿下の友達。

黒木 媛(くろき ひめ)


殿下の妹

日高 結芽(ひだか ゆめ)


萌栄のお母さん

日高 地平(ひだか ちへい)


萌栄のお父さん

日高 雲水(ひだか うんすい)


萌栄の祖父

重黒木 功(じゅうくろぎ こう)


鋼のお父さん

重黒木 理玖 (じゅうくろぎ りく)


鋼のお母さん

椎葉 康次(しいば やすじ)


発の祖父。花火師

黒木 智子(くろき ともこ)


殿下、媛のお母さん。

黒木 未夏 (くろき みか)


クラスメイト

中武 陽(なかたけ はる)


クラスメイト

那須 貴也(なす たかや)


クラスメイト

那須 由子(なす ゆうこ)


クラスメイト

お殿様。


西方の里を治める、お殿様。

南朝の忠臣、その子孫。

忠平(ただひら)


お殿様が助けた忍者。

加藤清正に仕えていたが、毒殺の濡れ衣をかけられ、逃げてきた。

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