第1話 教室の檻
文字数 499文字
クラスメイト達が競うように群れ作りに勤む4月中旬に、教室の隅で“それ”を眺めていると、まるで動物のドキュメンタリーをテレビで眺めている時みたいな気持ちになってくる。
高校2年生は、子供、として遊んでいられるピークだと思う。きっとみんなもそれを理解してる。だから、今はとても重要な時期なのだ。今からどのグループに属すかで、この一年は全く変わってくる。
お互いが自分のために必死だけど、誰もそんなことはおくびにも出さず、爽やかな笑顔を振りまいている。
私は群れに属したいとは思ってないし、ニコイチな誰かを作ろうとも思ってはいない。が、体育などで少人数のグループにならなければならない時のために、知り合いは作っておかなくてはならない。
今の所クラスでボッチなのは私と、もう一人、暗そうな男子だけだ。だが、男子とは何を話せばいいかわからないし、学校生活において利用用途があまり無い。できれば女子がいい。
残念なことに、私と同じような静かな感じの女子達は、すでにグループを築いていた。話しかけようと思っても、なんだかよく分からない趣味の話をしていて、諦めた。
こうして今の私(安定のボッチ)が出来上がった。