五十二 エージェント永嶋

文字数 436文字

 二〇二五年、十月二十六日、日曜。
 N市K区の永嶋の自宅で、デスクトップパソコンの外部通信着信アラームが鳴った。
 映像表示回線を開くと、ディスプレイに洋田が現れた。

「永嶋くん、予定変更だ。モーザは回収しない」
「了解。記憶は?」と永嶋。
「理恵の記憶はそのままにしておく。いずれ、娘から事実を知るだろう」
「いきなり知らされるより、その方がいい。本間と佐伯はどうしてる?」
「商務省内と経済界のクラリックを炙りだせそうだ」
「順調だな」
「また連絡するよ」
 ディスプレイから洋田の映像が消えた。

 永嶋は机のタバコを取って口にくわえて火を点けた。
 大東重工と東亜重工のクラリック殲滅作戦は完了した・・・。
 今も、クラリックの存在は公にされていない。そのため、十月十九日のテレビの緊急報道後、大東重工と東亜重工のクラリック殲滅作戦は報道されなかった。
 クラリック全てを殲滅したわけではない。今も国内外にクラリックは存在している・・・。
(Ⅱ World wide① 精神生命体マリオン 了)
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