第1話 みんなでLet'sVヴぁと!

文字数 1,178文字

埼玉県熊谷市のとある小学校。

放課後の校庭で、少女たちはカードゲームに興じていた。

スプラッシュっっ!!
きゅぅー……もうダメー……
はい、そこまで! 今回の勝者はミキちゃんだよー

にゃがにゃがー

あー! おしい、あと一歩だったのに!
うふふ、勝利のミキぷる~~ん
ヴァーチャルキャラクターをホログラムで投影して戦う『Vヴぁと』。

老若男女問わずに現在大人気のカードゲームである。

ミキちゃんさすがー! 強ぉーい!
スミレちゃんも相性が悪いデッキ相手なのに、あと一歩までがんばったよ!
この間エリちゃんと遊んだときも全然敵わなかったし、

やっぱりこの三人は断トツで強いよね!

えへへー、ありがとうだよーぅ
エリ。あんまり調子に乗りすぎるなよ?
んー、スミレっち、負けて機嫌悪いん?
いや、そうじゃなくて。アタシらそろそろ『帰る』時間だろ?
ええー。まだ学校終わったばっかりだよー?

もっと遊ぼうよー。

(……私たちの『帰る』はそういうことじゃないんだけど)
ちょうどそのとき、三人の耳にだけアナウンスが聞こえた。
当図書館は間もなく閉館時間となります。

使った資料を返却して、速やかに退出してください。

(うにゃーん、もうそんな時間なん)
実はこの世界は『現実』ではない。
技術特異点(シンギュラリティ)後の2045年、その図書館にアーカイブとして残る2021年のバーチャルデータである。
エリ・スミレ・ミキの三人は、

夏休みの自由研究のためそのアーカイブデータにアクセスしている、2045年の小学生であった。

じゃあ、二人とも、また明日ね。
うん、ばいばーい!
最近『Vヴぁと』カードを狙うハンターが出るらしいから気を付けてねー!


校門を出た三人は、すぐ近くの寺の境内に入る。

誰もいない夕方の境内は、ともすれば少し物寂しい。

毎回思ってるけど、ポータルの位置が悪趣味すぎ。
私はこういう雰囲気、嫌いじゃないけど……

もしかしてスミリン、怖い?

な!? そんなことより、閉館時間過ぎてるんだから帰るぞ!
スミレっちがごまかしたー
ごまかしてない!
三人は輪になるように手をつないで、境内でジャンプする。
「「「ログアウト!!!」」」
……あれ?
……にゃーん 何も起きないねぇー
あー、こんなタイミングでサーバーエラーか

にしてはアナウンスとかなかったけど……

ログアウトできないんだったら仕方ないね

そのうち何かアナウンスがあるだろうし……それまではこっちにいましょ

あー、どうせすぐ帰れないんだったら、もう一戦くらい『Vヴぁと』しとけばよかった
(……本当にただのサーバーエラーなん?

なんか嫌な予感がするよー)

おまけのコーナー!
『Vヴぁと』はVチューバーやVツイッタラーなど、

全てのVの者が参加できるカードゲームだ!

君も『Vヴぁと』でLet'sヴぁとる!!

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登場人物紹介

※この小説はYoutubeチャンネル『シンギュラリティで待ってます。』および同チャンネルのカードゲーム企画『みんなでヴぁとる!!』の二次創作です。キャラクター・世界観設定等は公式を参考にしていますが、若干異なることをご了承ください。

【春日エリ】

スミレ・ミキとともに2045年から自由研究のためやってきた少女。

元の時代に戻る方法を探すうち、『Vヴぁと』をめぐる騒動に巻き込まれていく。

ちょっぴり天然なムードメーカー。

【星野スミレ】

未来から来た三人組のまとめ役。

ときにシビアなことも言うが、熱いハートを秘めている。

【木乃葉ミキ】

エリやスミレの親友。飄々としていて、どこか風変わり。

そしてちょっぴりおませさん……?

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